常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

wear and tear

「寿命はあと何年なのか」すべての生物にとってそれは永遠の謎でした。Mail Onlineでは,新しい血液検査についての記事がありました。テロメア(染色体の末端)の長さを調べることで,あと何年生きられるのかがわかるようです。今回は,この記事の書き出しから英語表現を拾います。
Follow me around for a day and you probably wouldn’t think I am particularly youthful. If I run up the stairs, I’m out of breath. When I comb my hair, I’m confronted by an ever-bigger bald patch. When I look down, I can’t avoid my beer belly.
Yet I’ve just been told by an eminent scientist that I have the body of a much younger man. Well, to be precise, two years younger. My body shows the wear and tear typically seen on a 40-year-old man, whereas I am 42. So I’m winning!
http://www.dailymail.co.uk/health/article-2018765/Are-YOU-brave-test-tells-long-youll-live.html#ixzz1TDzRgEzo
さて,強調箇所のwear and tearとはなんのことでしょう。wear「着る」とtear「涙」では,なんのことかわかりません。文脈から考えてみると,40-year-old manを強調していると考えられます。『オーレックス英和辞典』(旺文社)を見てみるとwearが他動詞で「すり減らす」名詞で「使い古し,着古し,すり切れ」,tearには「裂け目,ほころび」という意味があります。そして,wear and tearで「(長期間ふつうに使った結果の)痛み,損耗,劣化」という意味があります。さらに,wear and tearの綺麗な韻律を確認することもでき,この文章を音読したときに,なめらかに響くように思われます。
たとえば,このようなライミングを含んだ表現は,いろいろなところで見つけることができます。
Kate Middleton advised to 'stay pretty, produce an heir and a spare... and don't do a Fergie' by royal expert James Whitaker.
http://www.mirror.co.uk/news/top-stories/2010/11/17/kate-middleton-advised-to-stay-pretty-produce-an-heir-and-a-spare-and-don-t-do-a-fergie-by-royal-expert-james-whitaker-115875-22721205/#ixzz1TEFHZcX7このan heir and a spareは「王位継承者と予備」という意味です。
なんの映画だったか忘れてしまいましたが,別れの場面で,“See you later alligator”, “After a while crocodile”という表現も聞いたことがあります。こちらも単純ですが,なめらかな韻律です。
学習で重要な “No pain, no gain”という言葉も非常な綺麗な脚韻を確認することができます。 非常にシンプルなことばですが,われわれ英語学習者にとっては,ひとつの道標です。
脱線した話を,記事に戻します。階段を駆け上れば息が切れ,髪をクシでとかせばハゲを見つけてしまう,下を向けばビールっ腹を見ざるを得ない,疲れたきった40歳の典型のような42歳のこの男性。なんとなく,ジョージ・バーナード・ショーピグマリオン』に登場するイライザの父アルフレッド・ドゥーリトルを連想させました。この書き出しの自虐ネタからは,イングランドのセンス・オブ・ユーモアを感じることができます。(Othello)