Hatena::ブログ(Diary)

Apes! Not Monkeys! はてな別館

2016-03-15

[]トリヴィアは所詮トリヴィア

ここでまとめられてる、先週私のTLにも流れてきた件。発端はこのツイート

まあこの手の人間にはなんでも「サヨクの陰謀!」「グンクツ脳!」に思えるのかもしれないけど、ちょっと考えれば「赤紙」が戦時動員の代名詞として記憶されるようになったことにはちゃんと理由があることがわかります。

第一に徴兵検査は平時でも行なわれていたわけで、徴兵検査をうけて現役で入営もしたけど戦争にはいかずにすんだ、というひともいるわけです。これに対して予備役や後備役が動員されるのは戦争になりそうなとき、すでに戦争になっている時なわけで、徴兵検査より「赤紙」の方が戦争の記憶として印象に強く残っても不思議ではない。戦争が始まる前に徴兵検査を受けていた世代にとって戦時動員=赤紙なんだから。平時編成から戦時編成に移行すると人員が倍くらいになるんですから、戦争になれば多数の予備役・後備役が動員されたわけです、実際。

第二に、予備役、後備役から招集されれば(当時の世相なら)妻も子どももいるケースも多かった。20歳で徴兵検査受けるときに妻も子どもも……というのは当時でも少数派だったはずで*1、「赤紙」で招集されたケースと徴兵検査→入営→そのまま戦地へのケースとでは、前者のほうがそれを記憶した妻と子どもがずっと多かったわけですよ。そうすると戦後になって「赤紙」の記憶が優位になってもぜんぜん不思議じゃない、と。

*1:アジア歴史資料センターの「第二回幹事会 東北六県人口統計摘要」レファレンスコード=A15060342500によれば、日中戦争前の1936年の時点で男性の平均初婚年齢は27歳を超えている。

hokusyuhokusyu 2016/03/15 16:15 というか戦争になれば戦争に行くのは君達若者だぞというアピールをする際、徴兵検査→入営→戦地への流れと予備役・後備役を召集し戦地への流れを区別することって本質的にはどうでもよいことですよね。

ApemanApeman 2016/03/15 16:19 ですよね。そういう文脈を無視しているところがまさに「トリヴィアのためのトリヴィア」たる所以かと。

davsdavs 2016/03/15 20:33 徴兵検査を受けて兵役に適すると判定されたけれど、定員の問題から、入営は免れた者は、補充兵役となった訳ですが、日中戦争の頃には彼らも召集令状で戦地に送られました。それを考えるとリンク先の「「赤紙」って徴兵され訓練も終わって故郷に戻った在郷軍人の臨時呼び出し状に過ぎない」というのは正確ではありませんね。太平洋戦争末期には、兵士には適さないという判定を受けた第二国民兵役の者まで、招集されましたから、「赤紙」で「問答無用で前歴無しにいきなり」戦地に送られるのは珍しいことではなかったと言えるでしょう。

ポロロッカポロロッカ 2016/03/15 22:02 三島由紀夫は徴兵検査では合格したものの、召集令状を受け取ったあとの検査で誤診され戦地に送られずにすんだ人間ですが、昭和二十年に召集令状を受け取るまでの人生で、彼が軍事訓練を受けていたなんて話は聞いたことありませんね。
そもそも、赤紙が徴兵制の代名詞になったのは、戦争末期に赤紙を乱発して兵員を募ったという事実があるからでは?

ApemanApeman 2016/03/15 22:15 davsさん

補足をありがとうございます。
さらに言えばそもそもいわゆる「赤紙」の一般的なイメージに「前歴無しに」なんてのが伴ってるとは思えないんですけどね。

ポロロッカさん

いわゆる「根こそぎ動員」期の記憶、ですね。たしかにアジア太平洋戦争の初期より後期の記憶のほうが戦後に影響をより与えてるような気がします。

sutehunsutehun 2016/03/15 22:19 そもそも大日本帝国は徴兵制を布いてたんだから、徴兵検査・訓練を受けて予備役になってる人たちのほとんどは職業軍人ではないことくらい想像つくだろうになぁ
そして現役の兵卒が足りなくなったらそういった「訓練を受けた民間人」から先に引っ張られていくわけで、「赤紙がうちの人を兵隊に連れて行った」ってのは陰謀でもなんでもないただの事実でしょうに

ポロロッカポロロッカ 2016/03/15 22:20 上の僕の文章で三島由紀夫は軍事教練を受けていないと書きましたが、誤りでした。撤回します。
申し訳ありません。

rawan60rawan60 2016/03/16 14:19 では、右翼はどのように出征を描き、語っているのか、「陰謀」なきところを教えてもらいたいところです。

TeruTeru 2016/03/16 19:46 今や今後の国策に職として関わる、
防衛省防衛研究所で「防衛招集」や「兵役法」をまとめた論があります
(末尾に、兵役法・防衛招集規則の改正、という付表あり)。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I5422980-00
http://www.nids.go.jp/publication/senshi/pdf/200003/06.pdf

>予備役や後備役が動員されるのは戦争になりそうなとき、すでに戦争になっている時
の大日本帝国の状況として、防衛研の論では次のように述べています。

「昭和十七(一九四二)年、大東亜戦争が南方に拡大するに伴い、
兵員の急激な増員が必要となってきた。しかしながら、毎年徴集できる人員数には限りがあり、
その不足分を在郷軍人で補ってきたが、精強な在郷軍人も枯渇しつつあった。
一方、在郷軍人は、地方にあっては社会特に産業面での中核を形成しており、
軍要員と総動員要因が競合することとなった。」

この点、前段の日中戦争から、
日本の(内部で大陸派遣兵力削減案が出る位に)国家レベルの消耗を招いている点には注意。
http://www.geocities.jp/bbhusou/sensi/rokoukyou_022.html
>昭和14年ごろより陸軍省を中心に陸軍全般の兵力削減が検討された。
>事変勃発後に急激に膨張した陸軍の維持は、すでに予算的に不可能となっていた。
>また、中国戦線における現役兵の比率は1割程度にまで減少しており、兵質の低下が深刻化していた。

その後も「先軍」な動員を続けた大日本帝国では、
防衛研の論でも、最終的には兵役法自体で(検査を省き)いきなり徴兵できるようにしていると。

「二十年二月の兵役法改正では、「徴兵検査前に招集された第二国民兵に対し、
検査によることなく体格相当の役種を定める」こととなった。
第二国民兵の中で徴兵検査を受ける前の者の招集とは、
満十七歳と十八歳の者や徴収延期者の者を軍隊に招致することである。
本来は、徴兵検査を経なければ、現役か補充兵か国民兵かは決定されないが、
この改正によって検査が無くても現役兵や補充兵としての徴兵処分が出来るようになった。」

また、防衛研の論は沖縄戦における「防衛招集」の実態について論じた上で、
以下のように総括しています(本著作は2000年)。
「在郷軍人五〇〇万人と言われたなかにおいても、
未教育者を戦場に投入しなければならなかった事実は、
戦争における人的被害の大きさ並びに戦力維持の難しさを端的に表すものである。
これらは、現在の自衛隊の対して大きな教訓を与えており、看過することはできない。」

ちなみに、2000年以降の「大きな教訓」と言えば、
イラク戦争から続く米軍による統治の長期化に伴い、アメリカが州兵をイラクに投入したため、
カトリーナ(台風)対策で人が足りなくなった(ルイジアナ州では州兵の1/3が出ていた)事案もありますね。

紙の色紙の色 2016/03/16 23:29 リンク先の赤紙=予備役かのような表現からして、赤紙の対象になる兵役の区分や平時に徴兵検査で現役に振り分けられる割合の低さをわかった上で書いているのか疑問です。
ただし、補充兵の教育召集(白い紙)や防衛召集(青い紙)のことを考慮すると予後備役以外で「赤紙」を貰う人は曲がりなりにも訓練を受けていたことが多かったかもしれません。
とはいえ第二国民兵役の召集は「赤紙」でも不思議ではないし、仮に訓練済みの補充兵役であっても数ヶ月の教育召集と実際に戦場に行くというのは覚悟が違うでしょう。
そもそもapemanさんも御指摘の通り仮に現役で入営した経験のある「予備役」であっても戦場に行くのは「赤紙」が初めてだったということもありえます。多くの「一般人」が曲がりなりにも訓練を受けさせられていたり、最後は根こそぎ動員されたのが「徴兵制」なわけで、「赤紙」一枚で日常から戦場に引きずり込まれたという経験から「赤紙」が「徴兵制」の象徴となるのは至極当然の話でしょうね。
「『赤紙』で召集されたのは訓練を受けていた予備役なんだから、『徴兵制』の象徴ってのは左翼のレッテル張りだ」とか「左翼の矛盾を指摘したぞ!」などなどの反応を見て、知識以前に感覚がズレているなあと思いましたね。

rawan60rawan60 2016/03/17 00:41 「赤紙一枚で」ってのは、「国の命令一つで戦地で死ぬことをも強要された」ってことを、実際のペラペラの命令書で言い表しているんですからねぇ、まったく……

TeruTeru 2016/03/17 09:07 「赤紙」について回る表現には「一銭五厘」というのもあります。

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B0%EC%C1%AC%B8%DE%CE%D2
>転じて、一銭五厘という僅かな金額で集めることができるほど価値の軽い兵隊の命、
>という意味がこめられることもあった。

これとて、生還できた証言者なら本人の戦後にも「恩給」が、
たとえ戦死でも帝国として(遺族にも)ある程度の給付をしてきたのだから、
「召集経費」だけで難じるのは「嘘」だと言えてしまいますね。

採られた当事者は、訓練時点から
「娑婆っ気を捨てろ」位の扱いはされていたりするわけですが。

多分、ただのズレでは無くて、
「旧軍であっても言われるほど”馬鹿”ではないし、
俺はそういった利他的に見える言論よりは、属している国の方を”現実的””合理的”と信じる」といった、
信条表明も多分に含んでいるのではないかと。

それで、今後の話になると「徴兵あり得ない」論に化けると(これとて逆に、大型輸送船の船員を形式だけ自衛官にする話が動いていたりする)。

ApemanApeman 2016/03/18 10:13 しかしあれですね、本人は「フルボッコにしてやったぜw」と思っていただろうに、実は自分がフルボッコにされていた、と……。

TeruTeru 2016/03/19 10:36 >「グンクツ脳!」に思えるのかもしれないけど

>本人は「フルボッコにしてやったぜw」と思っていただろうに

新たな内閣法制局長官の答弁(質問は不詳)へのコメント見てると、
特に法文の字面は読めても文脈(考え方)は読めないのだなぁと。

核使用は憲法禁止せず
内閣法制局長官が見解
2016/3/18 14:31
http://b.hatena.ne.jp/entry/this.kiji.is/83427778624292343

>18日の参院予算委員会で、核兵器の使用は憲法違反に当たるのかとの質問に対し
>「わが国を防衛するための必要最小限度のものに限られるが、
>憲法上あらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えてない」

まず、「核兵器の使用」の主語が誰なのかが第一の論点。

その上で、「法理的」に「 憲法に非核三原則が明記されてない」といったコメントには、こう答えておく。

では、海の向こうの地下で試みるぐらいの、
核保有を狙う国なら「必要最小限度」と称する核爆発なら、
憲法9条が禁じる「武力による威嚇」や「戦力」に該当しないのかと。

アメリカ以外の他国が主語となれば、
既に日本側が法律いくつも変えてでも、「戦力たる武力による威嚇」扱いしている訳です。

この質疑は、実質的には、朝鮮戦争の延長でアメリカ軍が日本及びその周辺
(少なくとも日本海や九州北部の被爆込み)で核攻撃を行うことは、
「わが国を防衛するための必要最小限度のものに限られる」すなわち、
体制そのものを破壊するようなレベルでなければ、
日本国は(福島第一事故後の再稼働同様)容認しているという事でしょう。

ツイッターって罪つくりだツイッターって罪つくりだ 2016/03/28 18:08 http://ryukyushimpo.jp/column/entry-246225.html

ApemanApeman 2016/03/30 18:09 ご紹介の記事、

>かつてはマーカーを引いて暗記させられた。教科書の権威はどこへ行ったのか。

というあたりにちょっと危うさも感じますね。安倍政権は教科書に「権威」を与える気ではあるんですよね。ただし学問研究に根拠を持つ権威ではないですけど。

edo04edo04 2016/04/02 17:54 「臨時召集令状は戦前、戦中に在郷軍人を召集するための命令書。色が赤いので赤紙と呼ばれた。在郷軍人とは、平時は軍人以外の職業に就いているが、戦争などが起きたときに必要に応じて召集される人のことだ。」と書いちゃう「新聞社」が現れたようです。
http://www.sankei.com/premium/news/160326/prm1603260016-n1.html
記事の趣旨自体は、事実を検証しようとする姿勢で、この「新聞社」にしては、少しまともですが、もし、事実だったら大騒ぎしていたのは、間違いないと思います。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証