アロンソ・カーノ

Alonso Cano生:1601年 没:グラナダ/1667年没
 スペインの建、彫、画。象眼細工師のミゲル・カーノ(Miguel Cano Pacheco, 16世紀後半活動)の息子。この父と絵の教師をしていた母に習い、早熟した才能が両親を驚かせた。また彫刻家マルティーネス・モンタニェス(Juan Martínez Montañéz, 1568~1649年)のセビージャにおける弟子であった。イタリア・マニエリズム、バロックをあやつりスペインののミケランジェロとさえ言われた。セビリアで画家ベラスケス(Diego Rodríguez de Silva Velázquez, 1559〜1660年)と知り合い友人となる。1638年にはオリベーラ公のおかかえ画家としてマドリッドへ出て、1652年再びグラナダへ戻り、ここで修道院の仕事をしている。彫刻家としての才能は高く評価されているが、彼の建築での代表作といえば、その晩年である1667年に計画され、エンリッケ・デ・エガス*によって工事が始められ、ディエゴ・デ・シロエ*によって続行されたグラナダのカテドラルのためのファサードのプロジェクトが挙げられるだろう。これはクッブラーによれば「スペインの建築中で最もパーソナリティーとオリジナリティーに富む作品」と言われている。調和がとれ、生気に満ちている作品だが、カーノの高名はどちらかといえばその彫刻作品から来ている。彼を評し、「ルネサンスの精神でバロックに迷わされた」と言われるが、彼の作品自体は静厳で迷わされているところはない。

三交社刊 建築家人名事典より

主要作品
レブリーハのサンタ・マリア教会の祭壇(Ratablo de Santa Maria, Lebrija, Sevilla, 1629)
サンタ・パウラ修道院(Santa Paula, Sevilla, 1635)
サン・アンドレス教会の門(San Andrés, Madrid)
グアダラハーラの凱旋門(Arco de Trimfo, Guadalajara, 1649)
グラナダアンヘル修道院(Convento de Ángel, Granada, 1653~1661)
グラナダ王立病院(Hospotal Real, Granada, 1650- )
グラナダのヌエストラ・セニョーラ・デ・ラス・アングスティアスの教(Nuestra Señora de las Angustias, Granada, 1664〜1671)
グラナダ・マダレーナスの教会(Iglesia de Magdalena, Granada)
病院付属の教会(Iglesia de Hospitalicos, Granada)
グラナダのカテドラルのファサード(Catedral de Granada)

グラナダのカテドラル

フライ・フランシスコ・カベサス
Fray Francisco Cabezas
生:Enguera[Valencia]/1709年 没:Valencia/1773年
スペインの建。バレンシアで数学と建築を学ぶ。同市のコローナ修道院の僧となる。アルシーラのサンタ・バルバラ(Santa Bárbara, Alcira) マドリッドのサン・フランシスコ・エル・グランデ(San Francisco el Grande, Madrid), サンタ・ファスの教会(Santa Faz, Alicante)、アルコイの教会の祭壇(Alcoy, Alicante), スエカのビルヘン・デ・サーレス教会(Virgen de Sales, Sueca)などを手掛けた。
《参考文献》
Enguera, J., 『Francisco Cabezas, el fraile arquitecto』, Levante紙, 1962年10月12日号

マリアーノ・カルボ・ペレイラ
Mariano Calvo Pereira
19世紀活動。
スペインの建。マドリッドの市の建築官。1870年にセバーダの市場を設計したことで知られている。(Mercado de la Cebada, 1870~1875年)。またモステンセスの市場(Mercado de los Mostenses, 1870-1875)も設計している。後者は1925年に壊されている。いずれも時代の鋳鉄とガラスを使った建築で、部材はフランスからの輸入であった。

■カマーニャ・イ・ブルセット、ホセ・サカリーアス
José Zacarías Camaña y Burcet
生:sagunto/1821年 没:Valencia/1876年
バレンシア大学の数学の教授。1864年以降は県の建築官として活動。主な作品にはバレンシアの劇場(Teatro Principal)のファサード、プリンセサ劇場(Teatro Princesa, Valencia), あるいは故郷サグントの劇場など多くの劇場を残している。エクラ(Yecla, Alicante)、レケーナ(Requena, Valencia, 1877年)の闘牛場など。
《参考文献》
Delicado Martínez, Francisco Javier, 『El arquitecto e ingeniero de caminos José Zacarías Camaña y Burcet』, revista de la Facultat de Geografia i Història, ISSN 0210-9980, Nº. 49, 1999 , págs. 463-472