MotorolaのAndroidケータイ "ソーシャル・スマートフォン” は、来年第2四半期に

Motorolaモトローラ)が起死回生をかけて開発中というAndroid(アンドロイド)搭載端末の発売は、当初のアナリストなどの予測から大幅に遅れて、来年2009年の第2四半期になりそうだ、とアメリカのメディアが報じている。

The phone will have a large touch screen, a slide-out QWERTY keyboard, and will undercut the HTC G1 by $30.

http://www.informationweek.com/blog/main/archives/2008/10/motorola_our_an.html

Motorola's version will boast an iPhone-like touch screen, a slide-out qwerty keyboard, and a host of social-network-friendly features, BusinessWeek.com has learned.

Bloomberg - Are you a robot?

ということで、明日22日にアメリカで発売が開始される初代Android機"HTC G1"よりも、スペックとしては同じか上回り、値段はG1より30ドル安い、といったところだが、上記BusinessWeekの記事によれば、Motorola製の特徴は、”social networking phone(ソーシャルネットワーキングフォン)”あるいは”social smartphone(ソーシャルスマートフォン)”と呼ばれるように、FacebookMySpaceといったSNSとの連携が図られるものになるらしい。詳細は明らかになっていないが、

Such phones let users message in-network friends directly from phone contact lists, for example.

ということだ。

考えてみれば日本のmixiもそうだが、SNSの役割と、携帯電話のアドレス帳の役割には重なる部分、深く関係するが多いと思う。これまでも、SNSのwebサイトやiPhoneであればアプリ(app)という形でケータイからもSNSを使えたが、その連絡先はケータイのアドレス帳とのリンクをしておらず、有機的に結びついていたとは言えなかった。

同じSNSの中であれば直接eメールなどを使わなくても、メッセージを送ったり相手のサイト上にメッセージを残すといった、気軽なコミュニケーションが出来る。電話をしたりメールを送ったりするまでの用事もないけれどちょっとした挨拶を交わす、というようなことがSNSであれば可能だ。それを、アドレス帳という携帯電話の機能と深く結びつけることが出来れば、SNSのユーザーにとって魅力的な製品となるかもしれないし、そういうユーザーの数も大きなボリュームとなるだろう。日本においても、mixiに代表されるSNSのユーザーは無視できない数になっている*1。こうしたユーザーは、これまでのビジネス中心のスマートフォンユーザーとはまた違った層になると思われるので、その点でもスマートフォンユーザーを新規に獲得することが期待できる。その意味でも、G1よりさらに30ドル安いということは、案外大切なポイントだと思う。

ただ、Motorolaにとって問題は、タイミングだろう。

来年の第2四半期、つまり4−6月ということであれば、NOKIAの5800も発売され、iPhoneの3世代目が発表されているかもしれないし、他社のAndroidケータイもすでに登場しているかもしれない。

今の時点で”social networking phone”あるいは”social smartphone”というコンセプトがリークされてしまっているので、類似のコンセプトや機能を備えた対抗機種が出てくる可能性だってあると思う。これから発売までの半年〜9ヶ月に、どれだけ”social smartphone”としての完成度を高められるかが勝負になりそうだ。

また、SNSは、各国によってサービスの知名度が異なっており、どの国に行ってもFacebookMySpaceがメジャーであるとは限らない。例えば日本なら、mixiを無視するわけにはいかない。その上、SNSは各サービスによって機能的にもかなり異なる要素が多い。そうなると、特定のSNSに向けて作り込めば作りこむほど、他のサービスには適合しなくなり、結果として多国での販売が難しくなるのではないかと思われる。iPhoneの場合はappでこの問題に対応しているが、Motorolaはそこをどう解決するのか、あるいは米国+αの国での販売に焦点を絞るのか、注目されるところである。