頑張って池田先生の話の矛盾部分を擁護してみると……

底抜けブラックバス大騒動

底抜けブラックバス大騒動

僕なんかが池田先生のことをどうこう言うのは、前にも書いたとおり不遜に過ぎるし、擁護などというのもおこがましい話なわけですが。

それと、ゼブラさんその他の方に申し訳ないのは、僕自身について、「なんだよ、初めから結論きまってて、なんとか言い逃れしてるだけじゃんかよ〜」という、僕自身でもツッコミを入れたくなるようなこと。

全然、僕は、ものわかりもよくないのですね。

やっぱり、僕は、バス釣り好きだし、守りたいし、それが、こういうブログを書く原動力・モチベーションにもなってるんです。

だから、「げっ、に、2ちゃん……」となったときも、「へこたれないぞ」と思って。

ただ、認めるところは認めて、納得するところは納得して、お互いにとって、いい未来が築けたらいいなあっていうのは、僕の変わろうとしてる部分です。

(D-J法で検索しても、海外のサイト、それらしいところがヒットしないんですけど(^^;;)

――前置きはともかく……

僕は、「FRONT」の論争も読んでいないし、「生物多様性保全」否定論者だとばっかり思ってました。だから、今度の本を読む前に「すべては『時のたわみ』に……」と仰りたいんでしょうね、みたいなことも書きました。ただ、蓋をあけると良し悪しおいといて、そうじゃなかった。

  • 生物多様性はなぜ保全すべきかというのは情緒的な問題だけどもないよりはあったほうがいいと思う。常識的な人はそうだろう。だけど、もとが情緒的な問題なんだから、例えば、えらくお金がかかるとかそういうことならやめた方がいい。利害得失を考えた上でやるべきだ。ブラックバス問題を考えた場合、それを考えたらおかしな話だ


 といった感じでしょうか。で、ゼブラさんの非常にわかりやすい説明で、この中に論理矛盾があることは納得できてしまいました。うーん、残念(;´▽`A``
まあ多分語りおろしだろうというのはゲラチェックしてるだろうから理由にならないと思うので、そういう矛盾ができてしまった原因を僕なりに想像してみると……

◆仮説Part1 池田先生の「不徹底」「妥協」が矛盾を生んだ説

池田先生の「生物多様性」は、「ないよりあった方がいい」「莫大な無駄金を使うのでなければやった方がいい」(要約)という「常識的な話」だとの言い方だけれども、池田先生自身は、実は、「生物多様性保全」はどうでもいいと思っている。繰り返しになりますが、僕は、池田先生は水口先生と違って
{多分、池田清彦さんは、中岡教授のように「人為」と「非人為」で区別することに反対で、「すべては『時のたわみ』に吸収・些少されていくものだ」という意見なんじゃないか?
と思っていました。

池田先生は、実は「なるようになるだけだ」と思っているのだけども、遺伝子の多様性とかそれほど興味なくって昆虫の種類が減るのも困るくらいな感じなんだけれども、一般の「常識的な話」……多数の理解を得るために「常識」の方ににじり寄ってしまった(池田先生すみません<(_ _)>)。

だから、「一般的な常識論」と「池田先生の本心」が齟齬を来して、論理が混線してしまった。


◆仮説Part2 池田先生は、「保全すべき」じゃなくて「保全してもいいよ」派だった説

実は、池田先生は、一応、生物多様性保全の支持者であると書いている(語っている)けれども、そのグラデーションの一番薄いところに立っていた説です。


―――――――――――――――――――――――――
ゼブラさんの図を援用させてもらうと、

生物多様性保全すべきだ
外来種生物多様性を減少させる
生物多様性はすべてに優先する価値(金科玉条だ)

┌鄯生物多様性の価値観を認める人たち─────┐
│①②                    │
│                      │
│         ┌鄱生物多様性原理主義者┐│
│         │①②③        ││
│         └───────────┘│
└──────────────────────┘

というより、
――――――――――――――――――――――――――
生物多様性保全すべきだ
(①’生物多様性は情緒的な話として保全できるならした方がいい)(トーンが違う)
外来種生物多様性を減少させる
②-B.外来種は必ずしも種を減らすとは考えていない。
生物多様性はすべてに優先する価値(金科玉条だ)
③-B.生物多様性はそんな錦の御旗(金科玉条)になりはしない。

        ┌鄯生物多様性の価値観を認める人たち─────┐
        │                      │
┌───────┼─┐                    │
│③-B   ①’│①│②      ┌鄱生物多様性原理主義者┐│
│②-B     │ │       │①②③        ││
└───────┼─┘       └───────────┘│
        └──────────────────────┘

こ、こんな感じ?(^^;;
で、重ねるべきじゃなかったかもしれないけれども、①が入っているのは、ダッシュなんだけども、常識に日和った部分?(池田先生すみません<(_ _)>)。

こんなんでましたけど違うかな〜???

池田先生本に対するゼブラさんの鋭い指摘

417 名前: ◆zebrajrX.Y [] 投稿日:2005/04/11(月) 02:27:37
> > でも読み始めると、繰り返されるのは生物多様性の概念自体の否定なんですね。
> > 原理主義者の否定なんてこれっぽっちもない。そりゃそうです。架空の論敵なんですもの。
>  ゼブラさんの常からの持論ですね。

これね、私の持論なんじゃなくて、論理的におかしいんですよ。論理のもんだい。
算数で言うなら1+1=3と言っているくらいおかしい。
これじゃ池田さん、就活のSPIの問題も解けないですよ。

包含関係を図にしてみますね。(罫線がずれるのは勘弁してもらって)
まず生物多様性という価値観を認める人たちの集団がありますね。

┌鄯生物多様性の価値観を認める人たち─────┐
│                       │
│                       │
└──────────────────────┘

418 名前: ◆zebrajrX.Y [] 投稿日:2005/04/11(月) 02:28:47
この枠組みの外側は「認めない人たち」です。
それで、原理主義者はどこに入るのかというと
生物多様性の価値観を認める人たち」かつ「それを金科玉条にする人たち」
なのですから上の四角の中に包含されるわけです。

┌鄯生物多様性の価値観を認める人たち─────┐
│                      │
│                      │
│         ┌鄱生物多様性原理主義者┐│
│         │           ││
│         └───────────┘│
└──────────────────────┘

それで、次のような主張がどこに入るのか(どの人たちが主張しているのか)
を考えてみると次のようになります。
生物多様性保全すべきだ
外来種生物多様性を減少させる
生物多様性はすべてに優先する価値(金科玉条だ)

┌鄯生物多様性の価値観を認める人たち─────┐
│①②                     │
│                       │
│         ┌鄱生物多様性原理主義者┐│
│         │①②③         ││
│         └───────────┘│
└──────────────────────┘

419 名前: ◆zebrajrX.Y 投稿日:2005/04/11(月) 02:32:48
生物多様性の価値を認める人たちだって①や②を主張しています。
原理主義者と違うのは③を主張しているかいないかということ。
そして池田さんは「まえがき」第4段落で、これを撃ちたい、つまり「生物多
様性の保全に反対しない」かつ「金科玉条にすることに反対する」立場だと言っ
ているのだから、①②を否定しちゃダメなんです。

でも第5段落を読むと、③への批判ではなく①②の否定が書き連ねてある。だ
からおかしいと言っているんです。

逆に第5段落(=①②の否定)が池田さんの主張だとするなら、既存の「生物
多様性」という概念(の一部)をおかしいと言っているのだから第4段落で
「(既存の)生物多様性の保全に反対しない」とは言えないのです。

こういった論理矛盾が「まえがき」にあって、第1章を読み始めると、ことご
とく鄯の否定とか疑問視の意見が書いてあって、鄱の批判はないんです。
これは小見出しだけでもわかることですけど。

420 名前: ◆zebrajrX.Y 投稿日:2005/04/11(月) 02:44:16
だから池田さん的には、言いたいことは「まえがき」のとおりなんでしょう。
ただご本人が論理矛盾に気づいていないだけで。

僕の反応

421 名前:デラ  ◆MNhxFoYj/U [sage] 投稿日:2005/04/11(月) 04:55:23
>>420
ゼブラさん、これめちゃくちゃわかりやすい!!!
なるほどぉぉ!
僕も、考えるとき、この図を思い浮かべながら、書くことにします。
これに矛盾しない形で、池田さんの本心(?)――いやここは良いように考えてもらって(汗)――を僕が書き直せるかどうか試してみます。いやそうなると僕の意見になっちゃうのかな? でも利用派も規制派も関係なく、えらいわかりやすいです。感謝!
これ、僕のブログに「規制派ゼブラさんはこう読んだ」的に転載していいですか?
理系はやっぱり数学的なロジカル・シンキングなんだなあ。脱帽。

「2ちゃんねる」の名無しさんからの指摘(専門家)

表現があれなのは、2ちゃんねるの特徴なんでそこは割り引いて読んでください(汗)。傾聴に値する指摘です。どなたか「そうじゃない」という方、もしいたら、コメントください。

422 名前:名無しバサー[] 投稿日:2005/04/11(月) 10:54:14
デラさん
ブログ,少しだけ目を通させてもらいました.
日本の生態系という言葉に違和感を持っているようですが,生物相を見ると,日本には固有種が多く棲息しており,生態系を構成している生物群集を考慮すると“日本の生態系”
という言葉もあながち的外れではないかと思います.特に僕が研究しているグループは種レベルではなく,属レベルで日本のみ,それも本州にだけ分布しています.

ちなみに,僕個人はウイルス利用派です(そんな派閥無いけど).
要するに手間をかけずに徹底的に駆除できる方法を模索する派です.

423 名前:名無しバサー[sage] 投稿日:2005/04/11(月) 11:27:12
>>421
そのような思考ができるのでしたら、底抜け本の事例のおそらくはほとんどが事実誤認もしくはウソであることにも留意されたし。間違いやウソに基づく論理展開は例え論理に矛盾がなくても正当性がないですからね。例えばサツキマス
水口凶授はサツキマスレッドリストからはずされたのは国交省の陰謀だなんて妄想していますけど、サツキマスとは海に降ったアマゴの「個体」をそのように呼ぶだけの話ですよ。しかもひとつの河川ですべての個体が海に降るわけじゃない。つまり、独立した個体群じゃないんです。
残念だけれど、そうした「個体」だけをレッドリストに入れることはできないんです。
陰謀でもなんでもなくね。だから「アマゴと同じ亜種だから」という説明は間違っています。
それと、もうひとつ。仮に「サツキマス」が地域個体群だったとして、もしそれが健全な状態を維持しているのだったら、それが全国で唯一長良川にしかいなくても、やっぱりレッドリストには掲載されないんです。レッドリストには減少の程度が絶滅の可能性を示すものだけが掲載されます。健全なら掲載される道理がないんですよ。これも残念ながらですが。
ついでですが、最近研究(Zoological Scienceに掲載された論文)じゃ池田凶授もその効用を認めているDNA分析からヤマメとアマゴは差がないと言っていいほど近い関係にあるんですよ。
むしろビワマスはかなり違っていた。池田凶授のサツキマスの主張は、水口凶授の受け売りみたいだけれど、少しは「科学的な知見」ていうものを調べてからものを言った方がよいと思います。

424 名前:名無しバサー[sage] 投稿日:2005/04/11(月) 11:46:00
>>423
最後の部分、補足しておくと、ヤマメとアマゴが最近「の」研究ではDNAレベルで差がなかったというのはすべてにおいてまったく同じという意味ではありません。
分析方法を工夫すれば違いが見つかる可能性がありますし、表現形では色彩ではっきり区別できるのですから、両者が進化の産物であることに違いないんです。
言いたかったのは将来ビワマスレッドリスト絶滅危惧種として掲載される可能性があるということ。もし、ビワマスが減少を続けており、将来絶滅が危惧されるっていうことになれば、十分候補となり得ます。遺伝的に違うことが科学的に証明されたのですから。
これも水口凶授や池田凶授は川○部の陰謀だなんて言うのかしらん。

425 名前:僕(一部改ざん) [sage] 投稿日:2005/04/11(月) 12:25:18
>>422さん
>>423さん
>>424さん

丁寧な説明、ありがとうございます。
こういった指摘があるということを僕のブログにも載せることを約束します。
もしもそれにまた異論があったら、誰かコメントしてくださるでしょうし。

>>422さんのお話でもいまひとつ得心できないのは「日本の生態系」の部分です。
確かに、大陸から分かれてこの方、日本特有の種の多様性ができていて、濃淡はありつつも、かなり類似した生態系があることはわかるんです。ただ、以前、某さんがサンフィッシュ科は、北米原産だから、中国系よりも云々という説明をされたときに、でも北米といっても、ニジとバスでは違うし、中国系でもカムルチーとかあるし、と感じたことがあって、また、日本の生態系と言ってしまうと、モツゴとシナイモツゴの問題、悪食・貪欲な日本ナマズの拡散とか、オイカワ、モロコ、ゲンゴロウブナ、それと鮎といった遺伝子の多様性の問題は、隠れてしまうんじゃないかっていうのがあって。

426 名前:名無しバサー[] 投稿日:2005/04/11(月) 13:07:25
>>425

>日本の生態系と言ってしまうと、[中略]遺伝子の多様性の問題は、隠れてしまうんじゃないかっていうのがあって。

もちろん、それも問題視されています。
外来生物法ではとりあえず範疇外というだけで。

中央環境審議会 野生生物部会 外来生物対策小委員会の
外来生物問題に関する総合的な取組について(委員長談話) 」
ttp://www.env.go.jp/nature/intro/statement.pdf

あるいは、学者さんたちの議論のようすが知りたければ
外来種(移入種)対策小委員会の議事録をひっくり返してみてください。
ttp://www.env.go.jp/council/13wild/yoshi13.html

ちょっと補足。

> 外来生物法ではとりあえず範疇外というだけで。

はい、これは、僕、「基本方針」のときのパブコメで書いて回答集に採用されて、同じように質問した人が結構いたみたいですけど、そのように環境省が答えてたんでわかるんです。
けど、どうしても、それだと、自然分布ごとの濃淡・ヒダとか、中禅寺湖の問題とか、そういうのが、がーっとローラーで一色の原色で塗りつぶしたような感じがしてしまうんですよね。
そもそも「生態系」っていう言葉の定義に幅がありすぎるからなんでしょうけど。