ハンサムな彼女


「コートでは相手が誰であろうと、私が何歳であろうと関係ない」

左脚のけがに苦しみ、昨夏からトレーニング方法を変更。昨年11月に世界ランキングが146位に下降したが、ツアー下部大会で優勝するなど盛り返し、全豪の本戦出場を勝ち取った。全豪では25歳だった1996年大会以来の1回戦突破。2009年の復帰後では初勝利だ。
「ここにきて体とテニスと精神状況がぴたっと合った」
従来の全豪女子最年長勝利記録を持っていたバージニア・ウェード(英国)は4大大会で優勝3回、殿堂入りの名選手。心技体が充実した伊達が、歴史を塗り替えた。

海外メディアが42歳:クルム伊達公子に興味津々である。
試合後の記者会見には海外メディアが殺到。「みそ汁に効果があるのか?」「それとも水風呂?」と鉄人たるゆえんを探った。クルム伊達は「秘密はなにもない。よく食べて、よく寝ること。子どものようにね」と笑顔。どれくらい現役を続けるのかと問われ「シーズンが始まったので全うしたい。今はプレーを楽しんでいる。後のことはわからない」と自然体でコメントした。

Wikipedia:クルム伊達公子
思わず笑ってしまったのは、クルム伊達公子選手は旧友から「クレイジー」と言われ、テニス界の女王を君臨していたシュテフィ・グラフからは「テニスを辞めて子供産め」と言われる始末。思わず笑ってしまった記事でした。
Wikipedia:シュテフィ・グラフ

2008年に現役復帰したとき、クルム伊達公子選手をコメントしていた松岡修造さんの言葉が蘇る。
「伊達さんの現役復帰への練習を拝見しましたが、凄まじくタフなメニューをこなしてます。正直、現役時代の伊達公子選手のメニューよりキツイメニューをバンバンこなしてますよ。」みたいな感じだったと思う。
早いと言われた現役引退、そして過酷といわれる37歳からの現役復帰。彼女のどんな選択がそうさせたのだろう。
伊達公子選手は引退後に結婚、しかし子供はいません。
通いつめた不妊治療。なぜ出来ないのか? そして描いていた日常に何か欠けた流れる時間だけを感じていた。
幼い頃からテニス三昧。女の子として、女性としての普通の日常も得られなかったのかなって思うと、26歳の現役引退は納得がいくもんです。伊達選手といえば、謎っぽい思考的な方で簡素なコメントとみられがちだけど、わたしからみると逆で、シンプルに自分の時間を大切にしたいとも感じられるんです。そして自分の生き方に正直なんだと思いますね。

今、ここまでハードな練習メニューをこなし、世界中の連戦に出場。33のわたしでも体力落ちたなあと思わずにはいられないのに、42歳の年齢もコートの上では同じ土俵ととらえるあたりフェアな方なんだなってわかります。
なにより肉体につけてメンタル面の強さも並はずれています。
負けても、ランクが降格しても伊達選手はくじけません。常に先をみて前に進もうとし、成長しています。
逆に現役なんてありえない!てな年齢だから負けても気にならないのもあるかのような余裕も感じられるのです。
いわば、歳は歳なんだからとふっきれてるかのよう。

昔よんでいた少女漫画で、"ハンサムな彼女"ってのがありました。
これはドイツ出身の女優、マレーネデートリッヒを表現した褒め言葉で、凛としてカッコイイ姿を表したものです。

クレイジーといわれるテニスプレーヤー:クルム伊達公子選手にふさわしい代名詞だと、わたしは彼女を讃えたい。