バーク

WC028★★BARK−Jefferson Airplane ('71)

Bark

Bark

69年の「Volunteers」をピークとしてジェファーソン・エアプレインはゆるやかに失速をはじめます。マーティ・バリン(vo)、スペンサー・ドライデン(ds)の脱退、グレイス・スリックの出産、ポール・カントナーのソロ、ヨーマ・コウコネンとジャック・キャサディのホット・トゥナの結成、そして自身のレーベルGruntの創設など、様々な出来事を経て71年に出したのが「Bark」です。パパ・ジョン・クリーチ(vn)、ジョーイ・コヴィントン(ds)が参加し、ゲストにサンタナからマイク・シュリーヴとカルロス・サンタナが参加しています。

それぞれが持ち寄った曲はそれなりの個性的なのですが、全体にまとまりがないと感じるのはその後のジェファーソンの行く末を知っているからでしょうか。やや暗めな"Pretty As You Feel"がいいです。

原盤 Grunt:FTR1001  71年9月リリース。

ランドール・ブラムレット(Randall Bramlett)

ジョージア出身のssw。名前が似てるんでエリオット・ランドールとよく間違えるが、Capricornのアーティストとも交流があるセッションプレイヤー(g,kb,sax)としても知られています。ソロは75年の「That Other Mile」(Polydor)が最初。

★★★MAGNETIC SOUTHーMichael Nesmith & The First National Band ('70)

Magnetic South / Loose Salute

Magnetic South / Loose Salute

今ではマイケル・ネスミスがカントリー・ロックの始祖の一人と評価されてますけど、日本では80'sぐらいまで、元モンキーズのメンバーとカントリー・ロックがうまくつながらなかったようで、リンダ・ロンシュタットのライナーで、(リンダがソロ以前にいた)ストーン・ポニーズのヒット”Different Drum”(悲しきロックビート)の作者のネスミスがモンキーズのメンバーということが驚き、みたいなコメントが載ってました。

モンキーズそのものは詳しくないんで、モンキーズ時代のネスミスがどこまでカントリー・ロック志向だったのかよくわかりませんが、脱退後70年にファースト・ナショナル・バンドを組んでリリースしたこのアルバムは、ポップという面ではとても充実した楽曲ばかり。レッド・ローズ(steel)を前面に出したそのサウンドは、文句なしに楽しめるもので、これまた後期バーズ、FBBなどとは肌触りを異にします。いちばん近いのは初期のポコかな。南カリフォルニアらしいメロディアスなカントリー・ロックは、ポップロックがカントリーの意匠をまとっているような印象も受けます。
”Calico Girlfriend”のイントロから、わくわくするような感じ伝わってきます。

ジョン・ウェア(ds)、ジョン・ロンドン(b)、アール・P・ボール(p)といったセッション・ミュージシャンのそつのない演奏も光ります。

原盤 RCA:LSP4371 70年6月リリース。 

デラニー&ボニー・ブラムレット(Delaney & Bonnie Bramlett)

オリジナル・デラニー&ボニー

オリジナル・デラニー&ボニー

白人男女ゴスペル・ファンクの最高峰。TV番組「Shindig!」のハウスバンド、シンドッグスの参加からリオン・ラッセルらLA・スワンプ・コネクションをたどり、69年白人として初めてStaxと契約しリリースしたのが記念すべき「Home」('69)(これ以前の録音は71年にGNP Crescendから出た「Genesis」で聴ける)で若きデラニーとボニーの才気あふれるゴスペル・ファンクが堪能できる。ちなみにこれはラッセル一座は未参加でドン・ニックスがprod。当初はジョージ・ハリスンのプッシュでAppleと契約予定が、結局Elektraにレーベルを移しての「Accept No Substitute」はオリジナル・デラニー&ボニー&フレンズのクレジット。ラッセル(p)、カール・レイドル(b)、ボビー・キーズ(sax)、ジム・ケルトナー(ds)、ボビー・ウィットロック(kb)、ジム・プライス(tp)、リタ・クーリッジ(vo)らが参加。

更にAtcoに移っての「On Tour」ではエリック・クラプトン(g)、デイヴ・メイスン(g)が加わった全英ツアーのライヴ。これはおそらくは一度も廃盤になっていない意外なアイテム。

メンツをジョー・コッカーのマッド&ドッグス&イングリッシュメンに取られたので、以降は若干メンバーが異なっている。ディキシー・フライヤーズやケニー・グラッドニー(b)、サム・クレイトン(perc)の後のフィート組らが参加した「To Bonnie From Delaney」('70)。「Motel Shot」('71)は早すぎたアンプラグドともいえるもの。そしてColumbiaに移った最終作「Together」('72)は力のない寄せ集めで以後袂を分かつデラニーとボニーは別行動を取るのです。

ブランド X(Brand X)

MASQUES

MASQUES

ジェネシスフィル・コリンズ(ds)がジョン・グッドソール(g)、パーシー・ジョーンズ(b)、ロビン・ラムレー(kb)と結成したジャズ・ロックがこのブランドX。「Unorthodox Behaviour」('76,Charisma)に始まる一連の作品は、ジェネシスとはタイプが異なる音で、allインストのテクニック集団。aはコリンズがジェネシスの活動が忙しいため不参加となった為チャック・バーギ(後にレインボー)が叩いている。kbはゲストのピート・ロビンソン(クォーターマス)参加。