sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

大西英文『はじめてのラテン語』

はじめてのラテン語 (講談社現代新書)
大西 英文
講談社
売り上げランキング: 21034

 昨年末に上野でデューラーの版画を観たときのこと。彼の版画作品には16世紀の技術解説書みたいなものの挿絵となっているものがあり、展示されているもののなかにはそうした本からの抜粋があった。文章はもちろん当時のヨーロッパにおける汎用的言語であったラテン語だ。それを眺めながら「ああ、こういう文章がなんとなく読めるようになったら、とても楽しそうだなあ」と思ったのがラテン語を勉強しようと思った直接的なきっかけである。で、今年に入ってから『はじめてのラテン語』というテキストを使って地道に勉強を続けている。今日になってテキストをひととおり終えられたので記念に本をご紹介。それにしても講談社現代新書ってこんな本も出してたんですね……。これこそ巻末の野間省一による「刊行にあたって」の旨に相応しい本でしょう。


 ラテン語は西欧の言語の元になっていることはよく知られている。本書によればスペイン語やイタリア語、ポルトガル語は「ラテン語の方言」といっても良いらしい。もちろんゲルマン語派に属する英語にもラテン語源のものはたくさんある。だから、ラテン語の○○という表現は、英語では××という風に、ラテン語を勉強しながら英語の発見も多かった。個人的に一番「ユリイカ!」的叫び声をあげたくなったのは、前置詞を勉強していて「infra」の意味を知ったとき。これは「○○の下に」を意味する言葉だ。ラテン語の前置詞は、接頭辞となって他の単語とくっついて合成語となることがあるのだけれど「infrastructure」ってそういうことか!! と思った。


 テキストはこんな感じで今後も参照しやすいようにインデックスを貼り付けていったら、見た目だけとても立派な感じになってしまった。今後は先達が残してくれているラテン語学習のお役立ちツールを活用しながら、実際にラテン語の本を読むことで勉強していこうと思う。


 1.http://www.kitashirakawa.jp/taro/henka.html
 2.The Latin Library


 ↑こういうのね。1.は、日本語によるラテン語独習者のためのサイトの総本山山下太郎のラテン語入門のなかの教材的ページ。2.はラテン語の原文がアップされているサイト。このなかから、アウルス・ゲッリウスの『Noctes Atticae(アッティカの夜)』を拾い読みしていこうと思う(その格闘の模様はおそらくこのブログでもお伝えすることができるだろう)。それにしてもこんな風に教材や資料が揃っていて、質問があればメールやtwitterで誰かに聞ける世の中って独習者には最高な環境だよな!! と思う。インターネットは元カノとの性交写真を流出させたり、気に食わない学生の就職内定を取り消させるために使われるものでは断じてない!! と強く言いたい。

Cassell's Latin Dictionary: Latin-English, English-Latin
D. P. Simpson
Cassell's
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 ちなみにラテン語の辞書はこちらを買った。羅英、英羅が一冊になったモノ。これが2000円しないんだから安い……(日本で印刷された本ではかいだことのない独特なにおいがする。臭いわけではないのだが、なんか気になるにおい)。