『整理HACKS!』

 いつの間に「ハック」という言葉は市民権を得たのだろうか。Yahoo!で「ライフハック」という言葉を検索すると898万件。「徳川家康」より250万件ほど多かった。びっくり。

 ビジネスや日常生活の場で、より効率的に、簡単に、そして楽しく事を進めるためのノウハウが詰まった「HACK本」の一冊。タイトル通り、「整理」に関するHACKが沢山詰まっているのだけれど、普通のHow to本と異なるのは、HACKそれ自体に熱中し楽しむ事を前提にしている点。目的である「整理」の方はまるで副産物であるかのように思えてくる。不思議な本末転倒、主客逆転がこの本の魅力。

 あらためて目次を見ると、全部で90ものHACKが収録されている。中には「おぉ、コレは今日から導入したい!」というHACKもあれば、「うーん、今の仕事では意味ないなぁ」というようなHACKもある。少ないけれど「ソレってオレ昔からやってるョ」なんてのもある。それでよいのだと思う。読者は「あ、コレいただき!」と思えるものだけを選び、試しにやってみればよい。何かを背負うような義務感や悲壮感はゼロ、オイシイ所どりの気楽さも「HACK本」の良さなのだろう。

 さてこの「整理HACKS!」の中で今日からやってみたいHACKが一つ。「机の上とデスクトップはきれいにして帰る」というHACK。実は会社の机の整理に手を焼いている。整理しようと心掛けてはいるのだけれど、少し気を許すとあっという間に机上はカオス。「あの書類、どこだっけ?」と書類捜索に毎日10分20分という時間が浪費されている。コレって年間通したらどのくらいのロスになっているのだろうか?空恐ろしい。このHACKを自分のものにできれば、毎朝真っさらな状態から気持ち良く仕事を始められる。やる気も増し、仕事の能率も上がり、時間的余裕も増える…はずだ。

 このHACKの次にチャレンジしてみたいHACKも実は選んである。忘れないように目次に順番を書き込んだ。でも実行するのは先のひとつに絞る。一度にあれもこれもは良くなかろうし、自分の注意も持続しない。絶対に尻切れトンボになる自信がある(この手のHACK本を読み、やる気まんまんで導入したが長続きせず、結局何も変わらないって人、世界中に何万人いるのだろう?)。その意味では自分に合わない、やっても効果がない、自分には無理!と判断した場合も深く考えず次にいく(深く考えるべき大切な事は他に沢山ある)。次、次とやってみて、3つ位やってみて全部ダメならその本に見切りをつけるべきではなかろうか。著者は自分とは違うゾーンの人達を読者として想定したのだろう、

 「HACK本を買ったらやりたい順番をつけ、欲張らずひとつずつ導入する。自分に合わないと思ったら迷わず次にいき、3つダメなら見切りをつける」これって「HACK本HACK」にならないだろうか。

整理HACKS!―1分でスッキリする整理のコツと習慣

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