『日本を貶めた10人の売国政治家』

日本を貶めた10人の売国政治家 (幻冬舎新書)

日本を貶めた10人の売国政治家 (幻冬舎新書)

 「ゴーマニズム宣言」を愛読していた。漫画という全く現代日本的な手法で主張することの新鮮さに驚き、魅力を感じたのを覚えている。ちなみにこの本は漫画ではない。小林よしのりと自称「国家意識」を持つ言論人が登場し、アンケートの結果選ばれた「売国政治家」10名を糾弾する。血祭りに上げると言っても良いくらい、カワイソウなくらいボコボコにする。

 今や選挙はマニフェスト。政策を明示し約束することにより選挙民の賛同を求めるという分かりやすい図式、「人より政策重視」の流れだ。そんな時代にあえて政治家個人の資質を問うのがこの本。「何を言おうがコイツはダメ!」「政策より人重視」の立場だ。この人は信頼できるがこの人はできない。ある意味根源的なアプローチがここにきて結構新鮮だったりする。

 えー、この人ってそうだったの?と驚く所もあれば、そうそう、そうなんだよねー、と頷く所も。国益とは何か?そして政治家にとって国益より優先すべき事が有りうるのか?という、ディープな悩みが後を引く。その主張の正否は別としても、漫画という自分のテリトリーに安住することない小林よしのりの姿勢は尊敬に値する。