『世界怪魚釣行記』


『世界怪魚釣行記』武石憲貴
 ナイル川アマゾン川パプアニューギニアにタイ、そしてモンゴル。ただひたすら怪魚を求めて世界の秘境に挑んだ釣りキチのディープすぎる記録。狙う獲物は幅2mオーバーの巨大エイ、古代魚ピラルクー、金色に輝くバラマンディ、モンゴルのイトウ、そしてワニ!?

 著者の武石憲貴は秋田県在住の釣り師。2年半でサラリーマン生活に見切りをつけ、巨大な怪魚を求め26カ国を放浪したという。この本の中でもマラリアに感染し、首絞め失神強盗を目撃し包丁を持った遊牧民に命を狙われている。しかし、著者の印象は百戦錬磨の猛者というよりただひたすら釣りが好きで好きでしかたがない純真な少年だ。世界遺産カンボジアアンコールワット、ここでのコメントが最高に印象的だ。「ここを訪れる観光客が遺跡にしか興味がないように、釣り師である僕もまた釣りにしか興味がない」著者はアンコールワット正面を素通りし、世界遺産の外堀でロッドを振るのだ。カッコイイ!!

 自分は釣り師ではない。だから世の釣り人達の気持ちは分かりかねるのだが、この本によって釣り師の気持ちが少しわかったような気がする。四六版厚さ2cmオールカラー365ページのこの本の最初から最後まで、釣って釣って釣りまくる。そう、ただひたすら釣ることが好きなのだろう。この本一冊で一体何匹の魚が釣られたのだろうか。釣り人のバイタリティと情熱がほとばしる、恐るべき一冊だ。

世界怪魚釣行記
作者: 武石憲貴
出版社/メーカー: 扶桑社
発売日: 2009/04/10
メディア: 単行本