days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Mulan


先日車を運転していたところ、どうやら妻が聴いていたままほったらかしにしていたらしく、『ムーラン』オリジナル・サントラ盤が再生されていました。
中国の漢詩『木蘭辞』を基にした1998年のディズニー・アニメです。
新婚当時に妻を劇場で楽しんだアクション・アドベンチャー作品です。
当時のレヴューはこちらをご覧になって頂くとして、今や忘れられた感のある映画ですが、良く出来ているし面白い出来だと思います。


音楽は巨匠ジェリー・ゴールドスミス
晩年の作品で、インタヴューを読んだ記憶では、実写とアニメの違いもあって難しかったものの、作曲家本人も満足の行く仕事だったようです。


ディズニー映画なのでミュージカル部分もあるにはあるのですが、曲は数曲のみ。
デヴィッド・ジッペルとマシュー・ワイルダーの公開当時は中国風にアレンジされた曲に違和感を感じたものの、CDを繰り返し聴く内にそれも気にならなくなって来ました。
エンドクレジットに使われていた2曲、今や大スターのクリスティーナ・アギレラの歌う『リフレクション』や、98°&スティーヴィー・ワンダーの『トゥルー・トゥ・ユア・ハート』も楽しい
むしろ正統派のヒロイックなアクション・スコアを付けたゴールドスミスの仕事振りが素晴らしく、当時はその楽曲が絶賛されていたものです。
生前最後のアカデミー賞候補作でもありました。


ムーランのテーマをアレンジしてあちこち顔を出させ、統一感をもたらしながらも飽きさせず、的確な配置を行っているのはプロの仕事。
この人には、基本的に2つのテーマで全編押し切った『カプリコン・1』などという傑作もありました。
子供も観られる映画だから、などという言い訳などはなからする気が無いかのように、迫力満点のアクション音楽も鳴らしています。
美麗、華麗、優しさ、力強さ、荘厳さ、緊張感。
そのような要素が織り込まれ、耳に残る旋律が貫かれています。
実際に映画を観ると、画面を邪魔せず、しかし画面を効果的に持ち上げています。
これぞ職人技。
これぞ巨匠の技。


本来エンドクレジットにはゴールドスミスの曲が使用予定でしたが、歌に差し替えられてしまいました。
この使用予定曲もサントラCDでは聴けます。
再生すると、来日コンサートでも聴けて感動したのを思い出させました。
ムーランのテーマに始まり、ジッペル&ワイルダーの歌をインストぅルメンタルのメドレーで聴かせる構成は、映画の最後に相応しい曲。
実際に映画に使われても良かった。


日本版はLUNA SEAの歌も1曲オマケで入っていて、今回初めて聴きました。
うーん…どうでも良いというか、映画用に書かれた曲ではなさそうなので、あって良い事は無いですね。


ともあれ、これはゴールドスミスの傑作でもあるCDなのです。
全曲収録のCDも限定版で出ているので、そちらを聴いてみても良いかな。


ムーラン サントラ(英語版)

ムーラン サントラ(英語版)


北米あまぞんでは完全盤も出ていますが、超高い価格が付けられています。
これは幾ら大ファンでも手が出ないですねぇ。