エレール「1/35 AMX 30/105」

諸般の事情により粗めのパッケージ画像ですが、商品自体はバリバリに現行品なエレール製AMX30MBT。
しかしこのキットも息が長いです。一体いつごろから市場にあるんだろう?文芸春秋の「田宮模型全仕事1」によるとタミヤのAMX30が「ナポレオン」の製品名で発売されたのが1966年、同時期に3社競作でとあるからやっぱりそれぐらいの時期でしょうか。しかし3社目ってどこのメーカー??


実際に箱を開けて中身をみるのは初めてです。現行品はおそらく砂漠仕様をイメージしたブラウンの成形色だけれど、以前の版(写真パッケージの物がありましたね)では違ってるかも知れません。






なんだかんだ言って古い製品ですからパーツ自体もそれなりに、といったところでしょうか。パーツNoが全部通し番号で振られていて、その配置が必ずしも順番通りではないのは時代だなあ…


フィギュアは車長と操縦手の2体が別枠で独立したパーツとして入ってます。どうもこのパーツは初回以降に追加された設計のようで1982年と1994年の装備を選択できる仕様。


古式ゆかしいゴムキャタピラは初回からの物でしょう。一応エレール純正(?)の連結可動式キャタピラも製品としては存在します。


基本設計が古い(ように見える)割にはクリアーパーツは多めに使用されています。デカールは82年と94年の2種類付属ですが所属部隊名がフランス語表記なんでよくワカリマセン>< エッチングは「Made in Czech Republic」で後日アップデートされたものでしょう。


これらに加えてアンテナに用いるための金属線と、カモフラージュネットを自作するためのガーゼが付属しています。


ガーゼってΣ(゚д゚lll)


むかしの模型雑誌にはよくガーゼ使ってカモフラージュネット作る記事も載ってたけれど、まっさらのガーゼが入ってるプラモってはじめてみたぞケセラセラ。もろ医療用って感じですけど、消毒過程を経ているとは到底思えないんで医療に使うのはよしたがいいぞ。


ディティールに関してはキット開発時期を考えればよく出来てるものだと思います。シャーシー裏面も再現でそもそもフルディスプレイのこのキット、80年代初期の開発と言われても納得するレベルで…


ほんとに80年代のキットだったりしませんよね?


キットでは一体成形されているけれど車体前面に2枚装備されているのは河川渡渉時にエンジン吸気口を防ぐためのカバーで、昔のエーカゲンな雑誌記事では増加装甲だとかフカシてたらしいぞ。


フィギュアは胴体部分が貼り合わせのモナカ方式です。頭部が2種類付属でヘッドギアの違いで年式による装備変更を再現。


組み立ては説明書の手順をあっさり無視してまずシャーシーを箱組みしちまいます。ここはしっかり作っておかないと後々困ります。


サスペンション部分は思いのほかパーツの多い設計です。ボギーと作動肢、ホイールの取り付けバーまで別体化…ってことは歪みが出易い弱点もあるのですけれど。


素直に感心していたのはそこまでで、車体上部がもう合わねえのなんの。よくみたら上部パーツそのものがネジ曲がっていましたOTL。結局無理矢理ガチガチに固めていったけれど、これだったらサスペンションもあとで組み付けた方がよかったねえ。


比較的具合の良かった後部に合わせて組んで行ったので歪みはまとめて前縁に来ます。


それを瞬間接着剤と チ カ ラ ワ ザ で強引に合わせる!と、車体は合うのにフックが激しくズレるという恐ろしい結果に。なんでよorz
すでにキレキレだったワタクシはギルティ!とひと声吠えるやフックをキリ飛ばしてもうどんどんパテ埋めしちゃうのでした。なあにジャンクボックスから使えそうなパーツ探してくりゃいいのですよ(・ω<)テヘペロ


うん、まあ見つからないよね。そうそううまくはね。


サーフェイサーは七難隠すというが本当ですね。でもサフ吹くなら背景用紙変えた方が良かったですね。


車体前縁こんな感じ。けっこう痕が残ってんジャン!とかゆーなかれ、


実車もこの部分は結構なボコボコ具合なのですよぅ。


そんな過程を経てくると砲塔上下が合わないことにも全然驚かない。むしろパテ盛り→削りだけで対応できて安心なぐらいです。


ご自慢のCN-105-F1 105mm 戦車砲も凛々しい砲塔関係基礎パーツ。いやあ両サイドのラック部分はやっぱりチカラワザを要しましたよ?


ステイの長さが全然足りないところが出たんでその部分は適度に劣化した瞬着の表面張力だけで無理に固めて、とてもじゃないけどアップには耐えられないよなここから先はな。


ちなみに砲尾部分は組まない方が砲身がちゃんとはまり易いです。説明書を無視した方が良いというのもいかがなものかと思いますけど。


大型の車長用キューポラはクリアーパーツを多く使用して非常によい出来となっています。ハッチ開閉は勿論のことキューポラ上面の回転機構も再現されて、このギミックって大抵の戦車模型じゃオミットされる箇所なんでその点実にイイ感じですね。しかし機銃とスポットライトの取り付け位置はこれであってるんだろうかいまいち自信が持てないんだけど…


完成というより「なんとか形になりました」が正しいところでしょうか。ポリキャップも使わずに主砲の上下動作やすべてのホイールが回転するような設計は結構手が込んでいて、イタレリのカーロ・アルマートM13/40を想起させるような、ある種の好感触は在ります。


日本の74式戦車が登場するまでは冷戦時代の西側戦車でも最も低いシルエットを誇ったAMX-30戦車*1、その低い砲塔と対照的に大型のキューポラが独特なシルエットを形成します。長砲身のCN-105-F1 砲は当初特殊な成形炸薬弾(G弾)のみを対戦車戦闘に用いたり同軸機銃に20ミリ機関砲を装備したりと、戦後第二世代型戦車の中でもとりわけお国柄が出ていて面白い一両ではある。


探照灯ドアも開閉可能で内部はクリアーパーツで再現と意欲的な箇所が多いにもかかわらず予備キャタピラや砲身基部カバーまでゴム素材なのは宜しくない所で、限定版で出てた湾岸戦争時のB2仕様ではこれらの箇所をレジンパーツでなどで置き換えしてたはず。


ご覧のようにシルエットは美しい戦車なので新規開発キット…は、さすがに難しいだろうなあ。戦後第二世代型戦車って得てして60〜70年代の模型ブームのころに製品化されていて、キット自体は古臭くても積極的にリメイクするほど人気がないというのが残念ながら21世紀の現状でしょう。センチュリオンを新作で出したAFVクラブはもっと評価されるべきですYO!


フィギュアも一応、組んではみました。開閉ギミックのあるキューポラに出入りできる車長はともかく、操縦手の方は車体上下貼り合わせと共に内部に固定しろってキットの指定は難儀過ぎる…


由緒正しい伝統的なフランス料理のお店に入っていささか肩身の狭い思いをしたような、そげなインプレッションでごわす(田舎丸出し)

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*1:こう書くとすぐに「スウェーデンのSタンクはどうよ?」と言ってくるひとが必ずいます。そんなときは「あれは例外ですね」と微笑んで返すか「スウェーデンって西側じゃねーわよ」と冷たく突き放すか、相手との人間関係を慮って対応しましょう。「フランスって西側かな」と鋭く突っ込まれたら降参しましょう。