奏でる少女の道行きは

第18回ファンタジア長編小説大賞・佳作受賞作の続編。「色」をキーワードに召喚を行う「名詠式」を題材としたお話の2冊目。
1巻の続きで、「名詠式」を学ぶトレイリア・アカデミーが夏に移動教室を行う所から話が始まります。その移動先に、前巻のキーだった『孵石』を精製した研究所があって...と言うお話。
とても面白かったです。無事にシリーズ化してくれたことにまず感謝。
前回はネイトと夜色の話でしたが、今回はそのクラスメイト・エイダの話。槍を使って名詠生物を送り還す『祓名民』の家に生まれながらも、その生まれつきの運命を嫌って「名詠式」の学校に来た彼女が主役。
生まれ素性から来る宿命に反発しながらも、事件を通して自分が何をやりたいのかハッキリと掴んでいく展開が非常に熱くて面白かったです。特に終盤、エイダが自分の決意と共に詠うシーンが、ホント素晴らしかった。
歌を歌詞付きで表現してる作品で、その歌詞が良かったモノって正直思い浮かばないんですが...これは別。歌と言うよりは詩に近いからかも知れません。物哀しい雰囲気を残しつつも、内容は覚悟と生き様の塊。1行読むごとに興奮度合いが上がっていきました。最高。
と言う訳で、満足な1冊でした。最近の富士見の新人さんではイチオシかも。次にも期待です。