特急つがる24号ドア異常

4日15時20分頃、JR東北本線青森〜東青森間を走行中の青森発八戸行特急つがる24号(6両編成)で、車両の扉の異常を知らせるランプが運転席で点灯したため、運転士が列車を東青森駅に緊急停止させた。乗客約50人にけがはなかった。
4両目の左右の扉2箇所が開いており、事故につながりかねない重大インシデントに該当するが、JR東日本国土交通省に報告したのは6日正午頃で、同省は「安全に対する認識が甘い」としてJR東日本を厳重注意した。
扉は空気圧で閉める構造で、配管が壊れて空気が漏れ、扉が開いたとみられる。
国土交通省は2001年に鉄道事故事故調査委員会の調査対象に加えた際、事故やインシデントの事例をまとめて鉄道各社に周知しており、走行中に扉が開くケースも明示している。
(2006年2月6日=asahi.com

7日、2人の航空・鉄道事故調査委員会調査官が、青森市を訪れ、JR東日本社員立会いの下、車両下にある配管や運転室や故障が起きた扉などを重点的に調査した。調査官によると、扉の開閉時に空気を送る直径1.5〜2cmの配管が折れており、配管から空気が漏れ、扉が開いた可能性が高いという。同調査委員会は、配管を持ち帰り、破断面などを中心に折れた原因を調べる。
国土交通省への報告が遅れたことが問題視されているが、JR東日本盛岡支社によると、故障発生時、運転士から連絡を受けた担当者が、重大事案にあたらないと判断した。同省への報告要件となっている、けが人や3時間以上の遅れなどがなかったことから、詳細な確認を怠ったという。6日に同支社の別の部署の担当者が、故障事案をまとめている際に気がついたという。
(2006年2月8日=asahi.com

7日、国土交通省航空鉄道事故調査委員会は、調査官をJR青森車両センター青森市)に派遣して、事故車両(E751系)を調査した。三浦良宣調査官は原因について、「扉を空気圧で開閉するための配管が折れたため」と説明した。
今回の事故で、JR東日本盛岡支社が本社や国に扉が開いたことを報告したのは、4日の発生から2日後だった。盛岡支社の本間崇運輸部長は「運輸指令の担当者が、よくある扉の故障と思い込んだ」と説明した上で、「利用者に迷惑をかけた」と陳謝した。列車は約110km/hで走行中で、扉は約30秒間、開いたままだった。JR東日本によると、特急の車掌は事故発生直後、盛岡支社の運輸指令に「扉が全開になっている」と連絡した。しかし、当日の当直担当職員は、単純な扉の故障と判断して本社に伝え、青森支店も「ドアの異常を知らせるランプが点灯した」とだけ発表していた。週明けの6日になって、盛岡支社安全対策室が調査した結果、事故の詳細が判明した。
(2006年2月8日=河北新報

<2007年4月27日追記>

国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は27日午前、「原因は、床下にあるドアの開け閉めのための空気配管が、硬い雪との接触を繰り返したことで疲労破断し、そこから空気が漏れたため」とする調査報告書をまとめた。
報告書によると、パイプは直径1.7cm、肉厚約2mmで車輪付近に設置されている。破断面には疲労破断の特徴とされる多数の平行な凸凹があった。ドアを閉じた状態に保つ圧縮空気が破断で漏れて4両目のドアが開き始め、非常ブレーキによる急な減速で左右のドアが全開になったという。
調査委は「積雪寒冷地では、雪が床下などに付着するのは避けられない。雪の影響を受けにくい構造などを十分に考慮することが重要」と指摘している。
JR東日本はトラブル発生後、配管下部に保護板を取り付けたり、床下に雪を巻き込みにくい構造としたりするなどの雪害対策を実施。同調査報告については、「報告書がまだ届いておらず、確認できていないので、コメントできない」と話した。
(2007年4月27日=東奥日報