もうITエンジニアは嫌だって

http://jibun.atmarkit.co.jp/lcareer01/special/cchange01/cchange01.html
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20060719/243731/

最近では「激務」に耐えかねて他業種への転職を目指すITエンジニアも多いという。

激務というよりは,コストパフォーマンスの悪さかな.

時代遅れな非効率なやり方がまかり通っているせいで,ハイリスク=ローリターンになっているのだ.

「隣の芝生が青く」見えるのか。

いや,「自分の所の芝生が枯れている」だけ.

しかも家主は「またいずれ雨が降れば,この芝生も青々と生い茂るようになる(はずだ)」と楽観的.芝生を張り替えたり水をまくなどの対策も全く行われていない.これではついて行けんわな.

ちょっと前であれば、多くの若手ITエンジニアが「あそこで働きたい」「あそこで自分のキャリアを積み上げていきたい」と「あこがれた」ようなSIerやソフトウェア開発会社であっても、現在は「人が集まりにくい」状況になっているのだ。

単純に化けの皮が剥がれただけでは?将来性のない産業は若者からは敬遠されるものだろう.

いくら人手が足りないとはいっていても、採用基準は下がっていません。新卒でIT業界に就職したい人が以前よりも少なくなっている。それにもかかわらず採用基準は下がっていない。現在の状況を分かりやすくいうと『優秀な若手ITエンジニアが足りなくなっている』のです

  1. 足りないのは単なる「人手」ではなく,優れた「人材」である.特にソフトウエア開発は個人の技量により生産性が一桁以上違うので,人材こそが生産性の鍵だ.
  2. 採用基準は以前と同等以上でありながら,給与面やその他の待遇については以前と同等以下である.また将来性もない.
  3. 「若手」を求めるのは,年功序列の給与体系において安い給与でこき使えるからである.こき使われる側にとってはメリットは何もない.

これをもって売り手市場と言えるだろうか.

採用基準を下げて人材を確保しても、それがプロジェクトの問題の要因となったり、人材育成に手間がかかったりと企業側にメリットはない。そのことをSIerも認識している

ようやくそのことに気付いたか.

しかし今となっては優れた新人が入ってくる可能性は低く,Sierには新人を育てる意欲も能力もない.待遇も改善されず,現状では限られたパイの奪い合いをしているだけだ.不足するのも当然と言えよう.

採用する企業側の担当者からしつこく求められているスキルは『コミュニケーション能力』です

「コミュニケーション能力」ほど企業側に都合良く利用されている言葉も珍しい.実際には極めて曖昧な言葉で定義などないに等しい.*1

将来を考えたときに、まったく一から自分のキャリアを再構築し直さなければならない。どんな業界・業種でも楽なところはないでしょう。再び最初から苦労することを考えたら、いま、人材不足から幅広いキャリア構築のチャンスがあるIT業界でキャリアを構築していく方が、賢い選択だと考えます

そんなことは百も承知だ.

にもかかわらず,それでもなおIT業界から足を洗うことを夢見るということが,一体何を意味しているのか分かっているのだろうか.

*1:ちなみに技術者が個人プレーに走るだとか,一般的な意味での「コミュニケーション能力」に劣るというのは偏見だと思うな.技術力のない人を相手に技術的な話を伝える術もなければ,力を借りることもできないというのは当たり前のことだろう.

ITエンジニアの拝金主義を笑うな

http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20060719/carrier
拝金主義というか,単に現実的なだけだと思うぞ.

転職先を選ぶ基準は断然「賃金」で,はぁそうですかという感じだが,僕も数年前に次男が産まれ,伸びない給与に嫌気が差して外資系を実力主義と憧れて転職をした者として,まぁそんなものかなと思う.

結婚して子供がいれば,賃金や将来性の問題は笑って済ますわけにはいかないと思う.

金がすべてではないとはいえ,金がない人間が幸せを掴むのはすごく難しい.しかもIT技術者は,私生活を犠牲にした上に金もないし,おまけに将来性もないと来ている.これで幸せを掴める人などいるのだろうか.

それなりに流動性のある社会では20代の頃は搾取されて場数を踏んだ方が,地位の安定性なり選択肢といった点で勝ち組だったりする気もする.

若い頃の苦労は金を出してでもしろというのは理解できる.それが自分にプラスに働くのならばだが*1.IT業界の嫌な所は自分にマイナスにしかならない点だ.

つまりIT業界は不足が解消される程度に技術者に給与を弾むか,もっと仕事の生産性を上げて今の頭数でもエンジニアが足りている状態まで持っていくべきなのだろう.

それに加えて,それができない会社はさっさと潰すべきだ

そうでないと

いずれにしても,ITエンジニアが足りないとかいってる輩は,現状を肯定して,自分にとって都合のいいITエンジニアを思った数だけ手配できないことを悩み,これからも搾取し続けようとしているのではないかとか穿った見方をしてしまう.

こういう考え方で動く人間をのさばらせる結果になるだけ.それは技術者のためにも,顧客のためにもならない.

本当に悩むのは,仕事してない奴が自分並の給料をもらっていることより,自分より遥かに結果を出している奴が自分以上に搾取されている時だったりする訳だが

これも同感だな.

  1. これにより上の人間に成果を適切に評価する能力や意欲,或いはその両方がないことが分かる.
  2. 自分が今後どれだけ努力して成果を出しても,待遇が改善されることはない.
  3. その成果を出している人が現状に嫌気がさして辞めていくのは時間の問題.一度そうなると自分に矛先が向くのも時間の問題.