『のための哲学』(永井均・ISBN:4061493019)
日本の哲学界では結構有名な、永井均さんの著で、哲学するための入門書という趣の本です。哲学書って大体難解なものが多いですけど(たとえ入門書であっても!)、これは結構わかりやすいかなーと思いました。とは言っても、哲学書の難解さというものは、書いてあることが自分の中の哲学に近いか、自分の中のコトバの意味と合致しているかーみたいなものに大きく左右される(と思う)ので、一概には言えなかったりするのですが。
主な内容は、「私」はなんで「私」なのか、という問題と、何故悪いことをしてはいけないのかについて、永井先生の感じ、考えたことを書いたものです。文中にも書いてありますけど、専門用語がわからない人は、飛ばし読んでも全然オーケーだと思います。内容を理解するより、「哲学するということはどういうことをすることか」を感じるための本です。
「私」についての問題は、例えば「もし完全なコピーマシンがあって、まったく中身の変わらない自分が二つできたら、どっちが自分か」や、「世界は自分ひとりの舞台なんじゃないか、そうだとしても何も不都合はないのではないか」みたいなことから出発して、「私」を構成するものについて考えているもので、正直「私」問題が苦手なぼくにとっては、はーぅーみたいな感じでした。不思議なことは不思議ですけど、あんまり興味が出ないのです。
二つ目の善悪についての問題は、「何故悪いことをするべきではないか」や「道徳って何?」といった問題で、こっちはかつて同じような疑問を持ったことがあったので、結構面白かったです。身近な例では「信号が赤でも、車が近くに走ってないのなら、横断歩道渡るのか、渡るとしたらそれは悪いことなのか?」から始まるような問題かなぁ。
ぼくは若いがゆえに、反社会的で、ニヒリスティックなので、基本的なスタンスは道徳やルールを疑ってみるという風にできています。そういう人はたぶん考えたコトがあると思いますけれど、結局「道徳」などというものは、自分が生きてく上で、自分の利益になるように誰かが作ったモノであり、絶対的な存在でなく、利用されるモノ、利用するモノなんじゃないのか、というコトを追求したものでした。実は「道徳」って恐怖政治に似てるなーとか、〜しなければならない!などという人にはロクな人がいナイ!とか、本当に道徳的な人にとって、道徳は害、ないほうがいいものなのでは?と、いろいろな考えが浮かびました。無償の行為を尊いと感じるのは、それが道徳的に善いコトだからではなく、そういう人がいれば自分がタダで得ができるから、それを人にやらせるために、それを道徳的で、よいことと偽装したんじゃないか、とか。
と、「道徳」についての議論も楽しめたのですが、一番いいなーと思ったのは、「問いの後に」ある「哲学とは?」というところでした。上にも書いたように、哲学はどういうことかについて、永井先生なりの答えについて、真摯に語られています。哲学的と哲学はどう違うのかーみたいな。さらっと試しに読んでみたい哲学入門者の方は、はじめの方とここを読んでみて、気に入ったら全部読んでみるのがいいかもしれません。ぼくはこういう考え好きです。といってもそんなに哲学者知ってる訳じゃないですけど。
それにしても、哲学書って、やっぱり気合入れないと読めないですよ。読み流すとホントに何も残らないのです。たいへんたいへん。
評価:★★★
今日のさわお。
SSTVのStudio Grownという番組で、the pillowsというバンドのvocal&guitarの山中さわおさんが出てました。30分の短い番組ですけど、テレビでピロウズ見たの初めてなので、ちょっと感動。でもさわおはなんか、どっかから出てきた地下生物みたいな感じで、正直ダイジョブなのか?でした。
ピロウズってなんじゃって人は公式サイト(→ここ) にいってみると、確か試聴ができたと思います。是非に。ギターロックで、でもそんな激しくなくて、やさしーとかせつない感じです。でもちょっと違うかなぁ。むなしい?うーん、上手くあらわせません。いい意味でポップな感じ。なんか訳わからないですね……。有名どころで似ているの挙げるとしたら、ミスチルやスピッツ、バンプが近いかなー。音も好きですけど、歌詞がとってもいいのです。しみる。
いいなーと思った方は、最近出たアルバム「TURN BACK」がオススメです。2000円と安いですし、聞きやすいですよー。宣伝宣伝、と。