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FULL MOON PRAYER このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

15/07/26

がっこうぐらし! 1〜5 / 海法紀光(ニトロプラス)・千葉サドル

アニメ新番チェックをしていて、またきらら系の日常モノかと思って、スタッフ特に脚本)を見て「ん?」となって、1話を見てやっぱりかあああああとなったがっこうぐらし。まああれ見たら翌日に全巻揃ってても仕方ないよねという訳で一気読みしたんですが。

途中からもう「つらい」「つらい」「救われてくれ……」しか言えなくなりますねこれ。

この作品アニメの一話だけ見た感じでいくとゆきの見ている世界けがいわゆるきらら日常萌えモノで、実はゾンビパニックアクションでしたという仕掛けになっています。それってともすればその見せ方だけの一発ネタで後が続かないってことになりかねないないものだと思うのですが、いやはや全然そんなことはなく。幸せゆるゆるな日常ものと極限状態のサバイバル、両極端をシームレスに行き来する演出とえらい可愛いのにそれだけじゃない千葉サドルの絵。そして作品の根幹の部分に、ゆきが見ている世界とそのゆきを見ている学園生活部のメンバーというものがある訳で。

なんらかのウイルス流出ゾンビが溢れて荒廃した街。たまたま屋上にいた事で難を逃れた少女たちが暮らす学校現実を受け止めきれずに幼児退行して幸せ学校生活を見続けるゆきの存在は、単純な損得勘定で考えれば足手まといでしかなくて、後からこの学校にきたみーくんがそうしたようにどうして目を覚まさせないんだと思うはずのもので、けれど彼女たちはそれをしない。

それは、彼女の見続ける幸せ世界が、彼女の心から笑顔が、どうしようもなく目を背けたくなる現実に紙一重のフィルターをかけてくれるから。消えることのないゾンビの脅威。何をするのも命がけでただ追い詰められていく毎日。けれどゆきにかかれば、ある意味閉じ込められたこの場所楽しい学校部活で、決死物資調達遠足で、絶体絶命の火災避難訓練になる。読み進めると、りーさんもくるみ精神的に限界で、本当に紙一重の中で生きていることが分かります。だから、そんな彼女たちはゆきを助けることで、ゆきに縋った。縋らなければ生きられなかった。それを初めは共依存と切って捨てたみーくんでさえも。

物資の不足、ゆりねえの真実、緊急マニュアル存在くるみ危機、助かったと思ったところからの。冷静に読めば状況は悪くなるばかりで、彼女たちの心を守る蜃気楼のような日常系世界は圧倒的な現実に塗りつぶされそうでも。絶望幸福を壊れたメーターのように針は振れ続けて、浮かび上がっているこれは辛い中でも必死に生きようという健気さなんて甘いものではない狂気。それはきらら日常萌えでもゾンビパニックでもない、それを組み合わせたからこそ生まれたこの作品の色であって、そこが面白いと思います。

しかしですね、それを一体どういうふうに受け止めればいいのかが分からないのです。この子はもうある程度状況を認識しているんじゃないかと思わされるバットをもって二人を救いに行こうとしたゆきの姿。学校にはもういられないという最悪に近い状況と楽しかった学校生活の終わりが混ざらないまま襲ってくるようでただ涙の出る卒業式のシーン。

ああ、なんて世界だ……と呟いて、精神をごりごり削られながら、ただ救いあれと祈るしかないような、そんな作品。これ、凄いんじゃないかと思います。

15/07/25

アイドルマスター シンデレラガールズ #15

これは2期の1話というかあくまでも14話なんだろうなあという先週の話から、2期が描こうとしてるものちょっと見えてきたのかなと思う15話だったのでちょっとメモを。


シンデレラプロジェクト倉庫のような部屋に押しやられて掃除をするシーンからシンデレラというモチーフがくっきり見えてきて、美城常務はまさに意地悪な継母のポジションキャラクターとして描かれているのですが。ただこの人はこの人で長期的な展望に基いてビジネスしているだけなんだろうなあとも。視聴者的には346のアイドル事業部が置かれてる外的要因は見えないので、軌道に乗り始めたCP理不尽を強いる存在に見える訳ですが、もしかしたら事業として上手くいっていないのかもしれないしまあその辺りはなんとも、という感じ。ただ意地悪な継母とがんばるアイドルたち、だと物語的にはスッキリして面白いというのはあるのかも。そんなスッキリした仕立てをしてくるアニメには思えないので何かあるような気はしますが。


そういう構図の中で今までになかった価値観として出てくるのが、美城常務の優秀なアイドルピックして大きく売りだそうというやり方。競争させて、選抜して、より大きな舞台へ、より大きな人気へ、より大きな収益へみたいな。だとすれば、今のプロジェクト解体することでアイドルたちに影響が出るのは当然として、それを逆にチャンスだとして上を目指して這い上がってくる子以外はそもそも必要ない、位のことは考えていてもおかしくはないかなと。

ただ、その価値観って要は「矢吹可奈を切り捨てる価値観」なわけで。それは天海春香の選んだ修羅の道とはまた別の修羅の道で、映画765プロには否定されたものだと思うのです。だとすると、そういう分かりやすい価値基準に直面して、順風満帆だったCPが躓いた後、一体どういう答えをそこに返していくのか。それは彼女たちと武内Pにとって「アイドルとは何か」を問われるものに違いなくて。やはりアイマスであるからには「これがアイドル理想像」とまで謳ったあの映画と同じ所へ向かっていくのか、それとも全く別の答えを見せてくれるのか。

それが彼女たちにとって魔法の解ける12時の向こう側であって、15話はもうその向こう側にいる高垣楓が「ファンと共に笑顔で進む」という別の価値観を美城常務に対して啖呵を切ってみせた。そして16話は予告からすると恐らく、カフェバイトをするような境遇にある安部菜々の答えが見られるのかなと。そういう先輩たちの姿を見て、CPの子たちが何を考えて、どこを目指していくのかがとても楽しみです。だってOPで「探してたのは12時過ぎの魔法」と歌って、その先に走りだそうとしているんだから期待するでしょ! っていう。


あとは、その中でやっぱり空っぽに見える、こんな状況でも「レッスン頑張ります」としか言わない島村卯月という子が一体何を見て、何を考えて、何を信じて走りだすのかが描かれたら、それはとても嬉しいなと。そしてそれが彼女自身笑顔魔法であるのなら尚更。だってShine!! のあの歌詞で、卯月センターならそうじゃなくちゃ嘘だって信じてます

15/07/20

THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!! 2015 @西武ドーム 7/18・19

あの広い場所外野芝生席からグラウンドまで隙間なく客席になっていて、それがびっしりとプロデューサーに埋め尽くされていて、見上げればドーム天井があって、真ん中のステージ中村繪里子が「ドームですよ! ドーム!」と声を上げる。

私は別にずっとアイドルマスターを追ってきた訳でも、765の熱心なプロデューサーな訳でもないのですが、ゲームセンターの片隅から始まったコンテンツ10年という歩みの中で、嬉しい事も楽しいことも全部ひっくるめて一歩ずつ進んでここまで来て、届く訳がない夢だったはずのものをその看板を背負い続けてきた人が高らかに叫ぶのなら、その10年という道程の重みに感動しない訳がないじゃないかと思うのです。

そんな訳で行ってきましたアイマス西武ドーム熱中症対策必要と事前に言われていた通り、特に二日目は死にそうに暑くて実際後半はほぼほぼ外周通路で休んでいましたが、逆に全体を俯瞰で見ると、サイリウムの海と熱狂的な歓声、その真ん中の眩いばかりのステージで歌い踊る彼女たちの姿に、凄いな、ここまで来れるんだなと、これは目に焼き付けて置かないとなと思うくらいの景色が広がっていました。

私はアイマスは元々アーケードコンシューマの触っていなくてニコマスを良く見ていたくらいで、ライブ最初に見たのは確か初出場の時のアニサマ。その時はMC含めてちょっとどうなのかというようなステージだった記憶があります。それから5周年の幕張メッセを見て、良かったけれど一度見れば満足かなと思ってまたしばらく離れていて、デレマスはずっと触っていたこともあって久しぶりに足を運んだのが去年のSSA

まあ見違えたというか、明らかにエンターテイメントとしてのレベルが違ってきていて、とにかく圧倒的に楽しかったのです。それからデレ、ミリ、そして765ASと現地やLVで見てきて、そしてこの西武ドーム。765ASの先達たちが積み重ねてきたものがもたらす完成度の高さ、去年はまだどこか紹介されるお客様だったシンデレラミリオンが同じステージに立っていたこと、そして何よりすべてが結実するドーム公演にしてまだまだここからだと感じさせるようなライブだったこと。予想できなかったくらいに大きく育って、これからもまだまだ大きく育っていくコンテンツマイルストーンとしてのドームライブ。素晴らしかったです。


初日は765ASでアーケード曲のメドレーもあり10年を噛みしめるようなライブ。3万8千人の真実の赤が決まった瞬間会場がどよめいた沼倉愛美「Rebellion」。高い歌唱力神秘的で妖艶な魅力にもっていかれた原由実KisS」「風花」。そこに今の千早が見えたまさに圧巻の今井麻美「細氷」。中村繪里子「笑って」からMCを聞いてか最初から涙で声にならなかった釘宮理恵「またね」。中村繪里子今井麻美というこのコンテンツの中心に立ち続けた二人での「私たちはずっと…でしょう?」。あと「The 愛」「DREAM」「LOST」を全部やってくれたり、「虹色ミラクル」であまり泣く人のイメージがなかったたかはし智秋が涙ぐんでいたり、しんみりっていうと違うのですがしみじみとその重み、重ねてきたものを味わうようなステージだったと思います。

そして二日目はシンデレラミリオンを加えて、まさにこれからへ突っ走るような勢いのあるライブにして、昨日噛み締めた10年の重みで開幕からいきなり殴りかかられたような何か。「READY!!」「お願い!シンデレラ」「Thank You!」「THE IDOLM@STER 2nd-mix」で始まってやばいやばいと思っていたら、そこから「Welcome!!」「キラメキラリ」と続いてこれ休ませる機なんて毛頭ない殺しに来てるんだと理解。そして休憩に至るまでノンストップで3グループのキラーチューンが投入され続けるという。メドレー前の「ジレハートに火をつけて」「Shooting Stars」「Orange Sapphire」「ØωØver!!」「SMOKY THRILL」「乙女大志を抱け!!」「GOIN'!!!」の流れも大概でしたが、3ユニットシャッフルのメドレーに入ったらそれどころの騒ぎじゃないものが。

山崎はるか大橋彩香新世代の二人の赤で「素敵なキセキ」。渡部優衣松嵜麗のホムラジコンビによる「Super Lover」。夏川椎奈、黒沢ともよ伊藤美来の19歳トリオでの「Romantic Now」。愛美青木瑠璃子ロックコンビでの「Twilight Sky」。福原綾香田所あずさの今度は新世代の青二人で「Never Say Never」。こんなのやられたらもう曲がではなくて、この組み合わせの背景にある物語だけでいくらでもどこまでも行けますよね、というやつでした。

あとは10年前からずっとやってきた6人の「my song」。それを受けるような形でシンデレラの今最大のキラーチューンであるStar!!」、CD第3弾にツアーも決まってさあここからだというミリオン新曲「Dreaming!」、そして765ASの一つの到達点である「M@STERPIECE」と過去未来を全部のせて畳み掛けるような流れが凄かったなあ、と。

ラスト全員の「アイ MUST GO!」は、体調が悪くて退場しながら外周通路で眺めていたのですが、ステージに降り注ぐライトと良い顔をしている34人のアイドルたち、馬鹿みたいに広い会場をサイリウムの光で埋め尽くしながら一緒に歌っているプロデューサーたちに、ああ良いもの見てる、私今凄く良いもの見てると、来て良かったなあという満足感を感じさせてくれるドーム光景が広がっていました。

15/07/16

15-7-16

1期の2話で私これ無理だわと思って切ったはずのシンフォギアですが、3期をついうっかり見たらべらぼうに面白くて毎日見返しているんですがこれは恋なんですかね。

突っ込みどころをまき散らしながら好きなものを高らかに叫んで勢いで押し切る! 熱い! 頭悪い! 最高! みたいなテンションに積み重ねと作画がきっちりついてくるとここまでのものになるというか、最初から制作側の頭の中にあったものはきっとこれだったのだろうとしみじみと。あと脳使わないし見てると謎の元気出てくるし言うことなしですね! 「燃え尽きそうな空に、歌が聞こえてくるんだ。諦めるなッ!」とかヤバい

2期までを見ていないのでいまいち設定が飲み込めていませんが、今のところ状況的には大体なのはA'sだと思っていればよさそうなので問題はないような気がしている今日この頃です。あときりしらから尊さの気配を感じる。

ひとまず騙されたと思って冒頭6分を。

D

はたらく魔王さま! 13 / 和ケ原聡司

もう何度目かわからないちーちゃん凄いな……が待っていた13巻。芦屋に対する梨香は、人間と魔族の間の埋められないものと恋の物語として、優しすぎる芦屋が逆に残酷すぎて嗚呼となるところはありつつも、良いものだったのですが、真奥と恵美の変化していく関係に散々悩んで嫉妬してうじうじしていたところからそんなものを軽く飛び越えていく千穂の強さといったら。ライラの家に向かう中での真奥とのやりとりは、本当にこの子は器が違うわと思わされるエピソードでした。

とそんなお話もありつつも、ライラを鍵にした形でのエンテ・イスラという世界危機、そして日本での騒がしい日常と変化していく人間関係勇者大天使の母娘の埋まらない溝と相変わらずの盛りだくさん具合。そんな中で語られるエンテ・イスラ事情ライラプレゼンという形で完全に設定語りに入っているのはどうなのだろうと思っていたのですが、最後まで読んだらそれもまたチラ見せというか、ちょっと出しだったのかと納得しました。

というか、巻を重ねるごとに大きくなる話の規模に、この作者はもしかして設定を作りこむタイプの人なのかなと。だとするとこの膨大な設定を背景にしながら、思い切り描く範囲を絞り込んだ上で勇者-魔王モノのパロディとして仕上げていた1巻ってなにげに凄いことやっていたんじゃないかなあと今さらになって思ったりします。

そして設定がこれだけあって、キャラがこれだけ出ていて、それでいて一人ずつの心の動きだとか庶民っぽい生活事情だとかを丁寧に丁寧に拾いに行くスタイルは、やっぱり話が拡散するし、もはや1冊の中でも何の話をしているのかわからなくなるところもあるのですが、ここまでやるのならたとえ何巻かかっても何も捨てずに全部書き切っちゃうのを期待したいなと思いました。

15/07/09

淡島百景 1 / 志村貴子

淡島百景 1

淡島百景 1

歌劇学校とその寮を舞台人間関係繋ぎ時を繋ぎ少女たちの青春オムニバスに描かれる連作短編。それを志村貴子が描いたらそりゃあ素晴らしいに決まっているじゃないかと思ってはいたのですが、その中でも第3話「岡部絵美小野田幸恵」が本当にもうね、これがね。

その場にも行けなかった子。誰よりも美しかった子。そんな彼女に恋をした地味な子。才能、嫉妬、揺れる感情、壊れたもの、壊されたもの。季節は過ぎて大人になった彼女たちの歩んだ道。三つの時代、三人の人物から浮かび上がる、そこにあったもの。こんなに淡く儚いのに、読み終えて息をするのを忘れていたことに気付くくらいに鮮烈で。なんて美しくて醜いものなのだろうと。

本当に志村貴子という人は、こういう言葉にあらわせないような心の動きをマンガという形で描くのが上手いのだと改めて感じる一遍でした。ただため息をつくばかりです。