Hatena::ブログ(Diary)

FULL MOON PRAYER このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

15/05/17

星読島に星は流れた / 久住四季

ずっと待ち続けた久住四季の新刊がついに……! というだけで割りと胸いっぱい感があるのですが、読んでみてしみじみと良い作品だったので、本当に良かったなあと。待ったかいがあったというものです。

という訳でミステリ・フロンティアからの新刊は、年に一度ある時期に隕石が降ってくるという星読島、その主であるサラ博士に集められた7人の人々、そして外界から途絶された孤島で起きる殺人事件というとてもミステリらしいミステリ問題となるのは誰が、どうやって、何のために殺したのか。それを妻子を失いアメリカ町医者をしていた主人公の盤が追いかけるような形のお話

話としてはきっちりしっかりで、びっくりするようなトリックがあったりとか、斜め上にぶっ飛んでいくような展開だったりとか、一点突破で突き抜ける魅力だったりとか、そういうものはないオーソドックスな感じ。ただ、非常にリーダビリティが高い文章キャッチーキャラクターとしっかり積み重ねていく丁寧な展開で読みやすく印象が良いです。しかし天才少女科学者ツンデレ系な美宙とマイペース底が見えない系美人科学者車椅子)なサラ博士ダブルヒロイン(?)が、わざわざプロフィールライトノベル出身と謳われるだけののことはあるというか、ベタだけどやたら魅力的だったのでちょっとズルいぞこれという感じが。もうどう考えても登場した瞬間から何かあるぞこの人ってなるサラ博士、好きです。

それは置いておいて、その端正さだけでなくこの作品の魅力だったと思うのはそのテーマ。星、宇宙人類最後の日、孤島に立てられた観測所一年に一度降ってくる隕石。そんな浮世離れしてロマンあふれる設定と、その裏を走っていた地上を這いずる人々の欲と執念。ただ、素敵だったのはそれによってこのロマンティックな世界が壊されるだけではなくて、暴かれた後にもう一度そのテーマをかたどって別のものが浮かび上がってくるところ。その時に、このテーマであった意味、そしてこのタイトルだった意味が明らかになるところが、とても美しい作品だなと思いました。

決して派手さや衝撃のあるような一冊ではありませんが、読み終わった時に欲しいものが欲しいところにすっとハマったような感覚のあって、良い物を読んだなあと素直に満足できる作品でした。面白かったです。

15/05/16

杏が遠い……。という感じでひたすらグラブルを触っているうちに毎日が過ぎ去っていきます

アイマス10thの二日通し券が確保できたのですが、真夏西武ドーム二日間にだいぶ慄いております果たして生きて帰ることができるのか。

イチゴーイチハチ! 1 / 相田裕

GUNSLINGER GIRL相田裕最新作は打って変わって舞台生徒会現代学園青春モノ。

生徒会高校でというと何か特別権限があったり、やたらキラキラ輝く青春していたり、もしくはただひたすら可愛くて平和日常だったりとか、そういう先入観が私の中にあったりするのですが、これはそういうものではなく、かなり地に足がついたというかどこかありそうな感じの生徒会お話です。

そして同時にこの作品の特徴的なところは挫折者の物語であることなのかなと。タイトルの15と18は作中のキャラクターシニア野球をやっていた頃の背番号中学時代女子男子に混じって野球を続けることに限界を感じた現生徒会長彼女に引導を渡す形になった少年野球肘でその道を絶たれ、せっかく入った強豪校で先を見つけられず。放課後の別棟みたいな、どこかすえた匂いのある体温低めでああ高校ってこういう感じだったと思わされるような空気と相まってダウナー雰囲気。でも、ただ沈んでいくだけではなくて、お祭り好きで血気盛んな高校生徒会という場所でできる何かがあって、見つけられる何かがある。

簡単に大丈夫とは言わないし実際大丈夫ではないけれど、決してそれによって世界に見捨てられることはないような、前向きさと後ろ向きさの絶妙なバランス。その上で彼ら彼女らが織りなす物語は、何だかすごく素敵な青春なんじゃないかと思うのでした。良いなあこれ、と。

やさしいセカイのつくりかた 6 / 竹葉久美子

完結。

何はともあれ、悠が、葵が、ハルカが、冬子が、ちゃんと区切りをつけて、前を向いて歩みだしてくれたことがとても嬉しい気持ちになれる、そういう最終巻でした。特にギフテッドとして生まれその才能を親に気味悪がられたことで歪に縮こまってしまっていた葵が、その鎖を自ら振り切ったこと、彼女が救われたということが、ここまで読んできて本当に良かったなあと。そういう気持ちになる辺り、このキャラクターたちは愛すべき存在であったのだなと思います

シリーズ通して少女漫画的な生っぽさと電撃的な萌えっぽさの絶妙なバランス、みたいな印象が強かったかなあと思う作品恋愛関係周りは結構きわどいラインを攻めつつもどこか柔らかくて爽やかな印象の残る素敵な作品だったと思います

艦隊これくしょん−艦これ− いつか静かな海で 2 / 田中謙介・C2機関・さいとー栄

原作ゲームもそうだったと思うのですが、この作品、明確な敵も、何のために闘っているのかも、どこで闘っているのかも描かれません。少女の姿をとった艦娘たちは何者かと戦い続けて、お互いの絆を深めて、そうやって過ごしている。そこに描かれるのは、かつて戦禍の中に沈んでいった彼女たちの叶えられなかった想いだとか、そこにあっただろう決意や信念だとか、そういうものたちで。

からなのか、これは凄く死後の世界っぽい作品だと思うのです。とても抽象的で輪郭の掴めない世界の中で、その身におった役割や果たせなかった想いを繰り返し再生し続けるような。そしてその魂の在り方は、まさに今の時代役割をおって生きる同じ名前護衛艦へと受け継がれていくという。であれば、この作品自体が一つのレクイエムというか、本来意味での過去に手向けた鎮魂歌なのかなあと、そんなふうに思うのでした。

15/05/09

これは近づいたらアカンやつや……と思ってモバマスコラボ第1弾、第2弾とスルーしてきたグランブルーファンタジーを突然始めたくなった結果、土曜日が丸一日消失しました。これはアカンやつや……。

ひだまりスケッチ 8 / 蒼樹うめ

3年生だったヒロと紗英が当たり前に大学に進学して、当たり前にひだまり荘からは出て行って、そういうごく普通にどこでも起こりうる出来事が、当たり前に特別ものとして描かれている感じが凄く良かったなあと思います卒業式、そして引っ越し空っぽになった部屋。感傷的だけど優しくて、けれどくどくはならない空気の描き方がひだまりスケッチという作品視点なのだろうなと。

そして春は別れの季節であり、出会いの季節でもあるということで、また今までになかったタイプの新入生の登場。一番上のお姉さんとして頑張るゆの宮子の姿にもほっこりするのでした。

しかし相変わらずこのマンガ、実に自然にというか前提のように百合百合んしててちょっとびっくりしますね!

魔法使いの嫁 3 / ヤマザキコレ

様々な事件交流を通じてチセエリアス関係、というか関係に対するそれぞれの意識に少しずつ揺らぎが生まれてくる。少女を買った人外魔法使いと買われた捨てられた少女の一線を引いた、けれど安心関係が、一緒にいる中でそれだけではいられなくなっていく。そして物語はお互いを縛る過去へと……ってそんなの萌えるじゃん! というのを相変わらず全力で投げつけてきやがりますですね。

過保護でお兄ちゃんな墓守の犬(人間形態も取れる)とかもう趣味全開っていう感じのキャラクターシチュエーションをもってきつつも、全体としては落ち着いたファンタジー空気を損ねない辺りは一粒で二度美味しい的な魅力を感じます。やっぱり面白い作品だなあと。

甘々と稲妻 4 / 雨隠ギド

甘々と稲妻(4) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(4) (アフタヌーンKC)

これはもう優しさですよね。\いよっ、人の優しさ/ みたいな気分になるマンガです。そして的確に狙いすましたように涙腺が破壊されるという……。

それにしてもつむぎは天使だしおとさん天使だし小鳥天使だし、なんならしのぶも八木さんも天使なので、とかくこの世界天使ばかりだという気持ちになります。地上の民はただ天使たちの優しさに癒やされ救われるのみなのです。

15/04/28

クールアニメも(見きれなくて)ぼちぼち視聴数を絞って来たのですが、数を減らすとどうしても続編や再放送ばかり見てしまう中でSHOW BY ROCK! が最高に面白くて毎週何回も見てしまうのですがこれは一体。

ケモで女の子向けの雰囲気を漂わせながら、狙ったところはどうも男性大きいお友達層っぽくて、しかし何故かシンガントラクロ周りを始め女子層に刺さったらしいという、まずターゲットからしてどこを目指しているのか全くわからないアニメなのですが、圧倒的カオスの中で意外と王道ストーリーと出来の良い楽曲TVアニメクオリティ凌駕したCG演奏シーン(ただしケモアバター)が見事に調和してるんだか調和してないんだかわからないけどとにかく面白いのでみんな見よう! みたいな。なるほどこれが噂に名高いサンリオ狂気……と。あれです、幕末Rockが好きだった人はマストですね!

Nein / Sound Horizon

9th Story CD『Nein』 初回盤 (CD+DVD)

9th Story CD『Nein』 初回盤 (CD+DVD)

まずリードトラックタイトルが『檻の中の箱庭』だった時点で「これはあかん」とローランたちを戦慄させた約1キロの立方体こと第九の地平線がついに世に解き放たれたわけですが、まず初めに聞いた時の衝撃たるやね。

いや、分かってた。分かってはいたんですよ。みゃおみゃお言っている猫サイバーリードトラックで歌われているんですよ。これまでの地平線に対して幸福な結末に至る可能性を探そうって。

から通常版のジャケットが隠されてたのもああそういうことかと思ったし、これはもしかしたら1stから聞き直さないといけないんじゃないかとも思ってたんですが。いや、本当に来るとちょっとこれがね。まず何やってんの!? って思った後に安らかに死亡するよね、って。

まさしく10周年記念らしい記念作。ヴァニスタの頃にやたらと「間口を広げる」と陛下が言っていたのが、まさか広げた間口から入ってきた人々に半年猶予を与えた上で、サンホラ作品知っていること前提の地平線を投げつけてくるための伏線だったとは。やたらと物語音楽の「解釈」の自由について語っていたのが伏線だったとは。

という訳で第九の地平線はなんでもござれの「公式二次創作」。しかも超本気。自我を持った未来グラサンこと便宜上R.E.V.O.が箱のなかでそれぞれの地平線をNeinすることで生まれるifの物語公式がそれをやっちゃう!? なんてのは序の口。新キャラ新設定いくらでも。キャラ崩壊じゃないのこれってのもいくらでも。解釈自由ってここまで含めてだったのか……とポカーンとなります

いやしかしですね、これが良いんですよ。「Nein」された彼女たちの物語はずいぶんとはっちゃけ具合の高い物語になっているのですが、美しい悲劇の色濃い元ネタに対して、皆強かに生きること生きること。テーマ的には母と失われた子、迫害されるもの残酷に迫る運命といったところは残したまま、彼女たちはそれでも彼女ちらしく生きる。幸せと不幸に翻弄され落ちては上がってを繰り返しながら。それが本当に良いと思いました。

その代表みたいな曲が『憎しみを花束に代えて』。あの『StarDustの子が彼を撃たなかったifなのですが、そこから運命的に出会った初老デザイナーに見初められモデルとなって、彼といい感じになりながらビアンであることをカミングアウトして、初めはバトルを繰り広げた先輩モデル(彼をかすめ取った!)に恋したりふられたりしながら、あなたの生は無意味じゃない! と児童福祉団体への援助の仕組みを作るという、ちょっとお前何いってんの? という話。ですが、Fukiさんの力強い歌声と相まって、憎しみも苦しみも哀しみも花束に代えて私は私を生きる! という叫びがカッコ良いのですよ。あと、スタダのあのサビメロが来た瞬間のうおおおおおおお! って感じはもう仕方ない。仕方ないんだ……。

他の曲もまあそんな感じで凄いのでちょっとサンホラをかじった事がある人は是非。死に行く運命に背を向けて、ひたすら兄を生存ルートへと引っ張って倫理すら振り切ってイチャイチャし続けるミーシャとか、お前なんてもんを公式でぶん投げてくんねんって思いますよ、ほんと。

そして物語を貫くのは「西洋骨董屋根裏堂」という店にヴァニスタのノエルが迷いこんで便宜上R.E.V.O.に出会うという話。この店に何故それぞれの地平線ゆかりの物品が集まってるのかとか、13人目の客ってどういうこととか、店主がどう考えてもミシェルですよねとか、そもそもここはどの地平線なの? とか考え出せばきりがないのですが、ここはひとまずノエル的に「俺はバカからわかんねーけど」と言いながら、熱く最後最後で彼らの人生勝手に不幸だとNeinするなと叫んでおけばいんじゃないでしょうか。

まあ、便宜上R.E.V.O.がどの地平線由来なのか、まだ見ぬ第八の地平線周りの怪しさだとか、例の文字列だとか、みたいな謎が謎を重層的に呼びすぎて考えると深みにはまっていくわけですが。深淵を覗きこんだら深淵が襲いかかってきた……みたいなことに。


ちなみに、歌詞カードあとがき? みたいなところに、解釈自由で第九は正解でもなんでもないからどんどん絵も文章も書こうな! (意訳)という、お前らかかってこい的メッセージが載せられていてもうほんともう! みたいな気持ちになりました。知ってたけどサンホラ沼は沈むのに覚悟がいる……。


【ライブレポート】Sound Horizon、物語を具現化する<9th Story Concert『Nein』>開幕 | Sound Horizon | BARKS音楽ニュース

さて、Story Concertも始まって東京公演二日目に行ってきたのですが、これが素晴らしかったです。こんなもの演ったらこの後どうするの? と思ったメルコンの全体としてのコンセプトを踏まえた完成度、みたいなものとはまた別の方向で、一曲一曲の完成度は更に上がっていてはあああってなりますし、何より音源だけでローランがバタバタ死んでいくCDがですよ、コンサートでやられたらそれはもう大変なことですよ。

まあ小さいところから大きなところまで悲鳴が上がる上がる。曲間にはあちこちから鼻をすする音が聞こえてくるという。斯く言う私もかなり最初の方からめっちゃ泣いていましたが。そして最後ローランによる国歌斉唱まで、作品のコンセプトもあってかいつにもまして宗教儀式の度合いが高いコンサートでした。いやほんと良かった……。良かった………。

15/04/19

妹さえいればいい。 / 平坂読

妹さえいればいい。 (ガガガ文庫)

妹さえいればいい。 (ガガガ文庫)

ガガガ文庫×平坂読だと!? これは何かぶっ飛んだものが……? と思って手に取ったらいつもの平坂読だったよ! というか「はがない」で大ヒット作家になったから忘れていましたが、平坂読はいだってぶっ飛んでいましたねっていう一冊。

妹キチなライトノベル作家羽鳥伊月を主人公に彼を取り巻く作家仲間や友人や弟たちとの日常ショートショート形式で描かれる作品残念系ヒロイン含めたキャラクターの極端さだったり、唐突エロをぶっこんできたりとドタバタ劇の向こう側に透けて見える、作家としてのこだわりというか挟持みたいなもの

スランプに入ってネタが出なかったりもしつつ、ゲームTRPGをして遊んだり、思い立ったように唐突旅行に出かけてみたり、税理士相談して節税に励んだりと、どこまでが真実でどこまでが創作かわからないような日々。これはもしやラノベ作家主人公にしたラブコメではなくて、ラノベ作家日常ラブコメキャラクターで塗りたくったものではないのか……? みたいな楽しさのある一冊でした。