Hatena::ブログ(Diary)

まだまだペンキぬりたて

2016-06-26

[][]そんな世界は壊してしまえ2 ―クオリディア・コード

ストーリー
カナリアが都市外で暮らす落伍者たちの援助をおこなっていることを知った朱雀。
都市を追われた人々の思いに触れ、朱雀は自分の正義を見つめなおす。
逡巡の末、新たな仲間たちを指揮することにした朱雀だったが……。



プロジェクト・クオリディア東京編の第2弾は、神奈川編に続いて今回で一段落。
前を向く人間だけを全て愛するという独特の正義を持っていた朱雀が、カナリアたちに感化されて人間らしい思いやりや優しさを知っていく……。
まだまだ間違い続ける朱雀ですが、隣にカナリアたちがいてくれればまた歩いていけるかな、と希望の持てる終わり方でした。


極端すぎる人間愛を振りかざしていた朱雀。
しかしカナリア経由で都市外に暮らす落伍者たちと触れあい、また前回東京主席に見捨てられた冬燕桃華を見舞ったことで、その価値観を少しずつ変えていきます。
戦う力だけをひたすら求めればそれでいいのか。都市を守ることができれば、人の思いなど関係ないのか。
ここまでやってきて、ようやく倫理的な面が朱雀に芽生えてきました。前巻での朱雀は、快活青年のようでいて、人間味の欠如っぷりがずいぶん激しかったですからね……。
切り捨てられた人を拾い上げる朱雀と、次々に切り捨てていく主席。対照的なふたりの構図がお話を盛り上げてくれます。


一方で、どこまでもブレないのがカナリアという女の子。
やってることはハチャメチャだし、朱雀に対してもちょいちょいお姉ちゃんぶるし、なんならほぼギャグ要員といっても過言ではないくらいなんですけど、彼女がいたから朱雀の変化があったのもまた確か。
一度希望が裏切られて、失敗して、世界を壊してしまえとさえ思った朱雀ですが……。そんなときも、やっぱりカナリアはブレませんでした。なんなんだこの超ポジティブドM体質ヒロイン。実は作中最強キャラなんじゃないの。
朱雀とカナリア、とんでもない凸凹コンビではあるけれど、見ていて妙に飽きないふたりの活躍をまだまだ見ていたいですね。できれば鷹匠さんやつぐみも! 特につぐみはかなり好きなキャラなので、2冊だけで終わってしまうのはもったいない!
今のところ、本作の続きが出るかどうかは分かりませんが、まずはアニメに期待するとしましょう。


鶉野さん、登場4ページでおもらしとか最高かよ……ありがとう、カントク神ありがとう……。

2016-06-25

[][]小和田くんに隙はない? 飯田さんの学園事件簿

ストーリー
気になることはとにかく首を突っ込みたがる飯田さんは、今日も小和田くんに無理難題をふっかける。
クールだけれど飯田さんを放っておけないことには定評のある小和田くん。
ふたりは今日も学園に起きた謎の事件に巻き込まれていく……。



友達もほぼいない地味な少年・小和田くんが、幼なじみの飯田さんの頼みだけは断れずに学園にまつわる謎を解いていく学園ミステリー!
持ち前の好奇心で奇妙な事件に首を突っ込んでいく飯田さんと、彼女に頼まれて渋々事件解決に付き合う小和田くんというふたりの関係性が最高でした。
ミステリーとしてはひとつひとつの事件は弱めかもしれませんが、その裏の人間ドラマに味わいがあってよかったですね。青春だ。


家が隣同士で生まれたときからの幼なじみ、小和田くんと飯田さん。
飯田さんは、気になることがあるとすぐにすっ飛んでいくアクティブな女の子。学園でちょっと不思議な事件が起こると、自分からすぐに関わっていっては、小和田くんに事件解決の協力を求めてくるのでした。
小和田くんは、飯田さんが唯一の友達といっていいくらいに地味で物静かな男の子。基本周囲と関わりたがらないのだけれど、飯田さんだけには頭が上がらなくって、彼女に頼まれると嫌と言えないという弱みを抱えています。
別に付き合っているわけではないのだけれどいつも一緒にいる、友達以上カップル未満、という感じのふたりの関係がとてもいいですね。
小和田くんはたぶん飯田さんのことが好きなんだろうなと思うんですが、飯田さんの方はそういったことにはまるで無頓着で、何も気にせず小和田くんにベタベタしていく。なんなら水着姿だって平然と披露しちゃう。小和田くんはそんな飯田さんにため息をつく。男子の一方通行な想いに気付かない女子、という姿に思わずニヤニヤしちゃいます。


今回描かれたのは、家からいなくなった飼い猫、調理室から突然消えたケーキと指輪、差出人不明の花束とラブレター、傷付けられた美術部員の絵、の4つの事件。
どの事件も、ヒントはわりと分かりやすく出ていて、犯人が誰かというよりも、どうしてそういう事件が起こるに至ったのかという部分が丁寧に描かれていたように思います。
個人的なお気に入りは、4話目の美術部のお話ですね。高校1年生にして未来を嘱望される画家の卵・礼堂さんの完成間近の絵が何者かに傷付けられた……という、他と比べてだいぶ事件性の高いエピソードになっています。
事件を追う中で見えてくる礼堂さんの不安定さや、複雑な家庭環境……。若き芸術家ならではの生みの悩みとか、亡くなった父親を巡る母親との確執とか、少しほろ苦くもあり、それでいて温かみのあるいいお話だったと思います。
一迅社文庫では単巻作品ばかり手がけていらっしゃるようですが、この作品はぜひ続いてほしい! 小和田くんと飯田さんのお話がもっと読みたいです! 続いてくれるといいなあ。


イラストは水月悠さん。飯田さんの競泳水着が眩しいぜ。
斑鳩さんや礼堂さんも可愛くて目移りしますね。


演劇部の西さんを密かに推していきたい。

2016-06-24

[][]ストライクフォール

ストライクフォール (ガガガ文庫)

ストライクフォール (ガガガ文庫)

ストーリー
人型のシェルを身にまとい、広大な宇宙を駆けるチーム競技、ストライクフォール。
鷹森雄星は、幼なじみの環に見守られながら宇宙を目指す高校生。
そして雄星の弟・秀俊は、トップリーグでプロデビューが決まった若き天才だった……。



宇宙を舞台にしたチームロボットバトル「ストライクフォール」で夢を叶えるため飛ぶ兄弟と、その幼なじみの少女が織りなすスペースアクション。
世界中から注目を浴びる天才の弟と、弟の影に隠れて伸び悩む兄。ふたりをずっと見守ってきた幼なじみのヒロインがいい味出してますね。
変に関係がねじ曲がってしまった兄弟が、空で再び絆を取り戻していく展開にグッとくる、のですが……。


宇宙における戦争の技術がスポーツ「ストライクフォール」となって世界中の人々を熱狂させている近未来の世界。
主人公・雄星は、ストライクフォールのプロを目指しユースのチームで特訓中の高校生。そして彼の弟・秀俊は、すでにプロチームの一軍でのデビューが決まっている若き天才プレイヤー。
圧倒的な才能の煌めきを持つ弟に対し、兄は射撃の腕前がひどく、久しぶりに帰ってきた弟との模擬戦でも全敗の有様……。
いやあ、辛いですね。兄として、弟や、ふたりの幼なじみの少女・環にいいところを見せたいのはやまやまなんだけれど、弟があまりに出来すぎて、追いかけられなくて、自分が情けなくて。しかも、帰ってきた自慢の弟が、自分とずっと一緒にいた環に告白なんてしちゃうもんだから、そっちの方でも焦ってしまう。
序盤は特に、天才の弟を持つ雄星の焦燥感が強く強く伝わってきて、落ち着かない展開が続きました……。


秀俊のチームメイト・アデーレとの特訓の機会を得て、秀俊とも再戦し、兄を待ち続けていた弟の思いを知った雄星。
弟は、ひとりで先に行ってしまったのではなかった。ずっと自分のことを待ってくれていた。不器用な兄弟ではありますが、真剣勝負の中でようやく確かめ合うことができたふたりの絆に、熱いものを感じました。
ストライクフォールの試合描写は、実にスピード感に溢れていて迫力満点。
地球上空でのバトルも良かったけれど、やっぱり宇宙での無重力バトルが素晴らしかったです。何千キロという空間をフルスピードで飛び交い、相対速度を計算し、一瞬のすれ違いで攻防する。これぞスペースロマンというもの!
しかし、科学技術がいくら発達しても、未だ宇宙とは危険と隣り合わせの場所でもあります。
大きな悲しみがありました。意地だけで栄光を手にしました。問題はこれからです。1巻から波乱続きだった彼らの物語がどこへゆくのか、この目でしっかと確かめたいと思います。次巻が待ち遠しい。


イラストは筑波マサヒロさん。ストライクシェルがカッコいいですね。
もっと試合でのストライクシェルのイラストもたくさん見たいです!


申し訳ないがアデーレ派だ……いやだってめっちゃ可愛くないですか?