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まだまだペンキぬりたて

2016-07-30

[][]踊り場姫コンチェルト

ストーリー
全国大会を目指して、県立伊佐美高校吹奏楽部に入部した梶浦康規。
真面目な演奏しか取りえがない康規は、なぜか一年先輩の女子生徒・藤野楡の指導を命じられる。
「踊り場姫」の異名を持つ彼女は、天才的な音楽の才能を持ちながらも破滅的な指揮を振り続ける問題児で……。



高校の吹奏楽部に入学した主人公が、天才なのに指揮者としては壊滅的なひとつ先輩の女の子を生まれ変わらせていく青春音楽ストーリー。
高校生ながら天才的な作曲家、でも指揮が自由すぎて誰もついていけない、そんな自由人な先輩ヒロインが、あることをきっかけにして主人公だけに妙に懐いてくるのが実に可愛い!
指揮者と演奏者、ステージの上では離れていても、目と目で伝え合う気持ちがある……きゅんきゅんしちゃうね。


高校に入学した主人公・康規は、今年は全国大会を目指すという吹奏楽部に入部。しかしその吹奏楽部は、ひとりの天才によって振り回されまくっていた!
高校生ながら作曲家として天才的な才能を見せる二年生・藤野楡。彼女の作った曲を自由曲に据えたはいいけれど、指揮者になった楡が自由すぎて全く演奏にならない。
そこで、演奏が安定しすぎて堅いと言われる康規が、楡の自由さに影響を与えるようにと指導係に大抜擢されるのです……。
楡は天才肌の自由人を地で行くヒロインですね。別に他人を遠ざけたりしているわけではないのだけれど、自分の才能が発揮される音楽の場においてだけは、どこまでも自分勝手で孤高です。
それなら別の指揮者を立てればいいんじゃないかと思うけれど、本気で全国大会を目指すならばこの才能を眠らせておく道理はない。コンクールへの練習期間も無限ではない中、吹奏楽部員たちの苦悩がしのばれます。


楡の才能には遠く及ばないものの、実は同じく作曲をしていた康規。それを楡に知られたことがきっかけとなり、彼女から一気に興味を持たれる存在になりました。
気まぐれな猫が急に懐きだすみたいですけど、しかし可愛いですねこの先輩! 先輩ってのがまたいいんだなあ。年上なのに頭を撫でたくなる感じ。
家にやってきて未熟な曲を好きだと言ってくれたり、自分のお気に入りの場所を特別に教えてくれたり。先輩の美少女からいきなりこんなに親密にこられたら、思春期男子なんてイチコロですよ!
そしてそんな近い関係になったからこそ、彼女が変われることを信じたいという思いも人一倍強くなる。
もうギリギリだ、時間がない、指揮者を変えよう……そんな意見が部内で噴出する中、楡を変えてみせると言い放った康規はなかなか格好良かったです。
自分が無理矢理矯正することで、楡の才能を潰してしまうんじゃないかという不安もある。それでも、一度ぶつかってみなければ何も始まらない。
楡の音楽をもっと人々に広めたいという康規の強い思いが、彼女を変えます。音楽を愛し、音楽に愛された楡。でもそれは、楡には音楽しかなかったということでもあって……。その音楽への大切な思いも、ふたり一緒なら。君のためになら。
ラストの演奏シーンは、互いに目と目を合わせるふたりの姿がまるで恋人同士のようで、ドキドキしてしまいました。お話は綺麗に終わっているのですが、ここまできたら、せっかくなら続編も読みたいです! 幼なじみヒロイン・伽耶を交えた三角関係なんかにも期待しちゃう!


無表情系ヒロインの「ばか」ってどうしてこんなに破壊力高いの。

2016-07-29

[][]その10文字を、僕は忘れない

ストーリー
一日に10文字しかしゃべれない女の子・宮崎菫。
スケッチブックで筆談をする彼女は教室で浮いた存在だった。
島崎蒼はそんな菫と偶然一緒に雨宿りをしたことがきっかけで、次第に彼女に心惹かれていく……。



1日に10文字しか喋ることのできない女の子との運命的な恋を描く青春学園恋愛ストーリー。
スケッチブックで筆談する女の子とのゆったりとした恋愛模様にきゅんとする!
障害を抱えた相手との恋における思春期の少年の悩みや苦しみ、すれ違いも切実に描いていて、ぐっと胸に刺さるものがあります。


主人公・蒼が雨宿りのために飛び込んだ公園のベンチで出会ったのは、声が出ないために喋ることのできないクラスメイトの女の子・菫。
しかし彼女には、1日に10文字だけなら話せるという秘密があったのです……。
いやー、菫、可愛いですね。筆談だから自然と彼女との会話はスローペースになるのだけれど、一生懸命に思いを伝えようとするその姿にぐっと来ちゃいます。
筆談の相手とお喋りするのが大変だから、クラスメイトは彼女に寄りつかないということでしたが、それが気になる女の子となると、ふたりだけでゆったりと過ごすその時間がまた特別に思えたりして。
また、1日に10文字という貴重な言葉を、自分のために使ってくれたりするんだからもうたまりません。


晴れて想いを伝え合い、いつも一緒に過ごしながらも、蒼の心につきまとうやりどころのない不安。
自分の気持ちは、恋人へ向ける愛情なのか? もしかして、庇護欲やボランティア精神から来るものではないのか?
さらには菫の蒼への気持ちも、たまたま自分があのベンチで出会ったから、自分を選んでくれただけではないのか?
こういうバカみたいな考え、バカみたいだと分かっていてもやめられない思い、なんとなく理解できてしまいますね……。今、蒼が菫のことを好きで、菫も蒼のことを好きだということに、間違いはないのにね。
思えば最初から、幸せで楽しい日々の中に、少しずつ歪な関係が見え隠れしていたような気もします。全て終わってから本当のことに気付くというのも、まったくバカな話ですけどね。青春してるなあ……。
もちろん、最後はこういった形になりますよね。菫のラストの10文字は、ストレートだけれどそれだけに染みました。ああ、いいもん読んだ。


イラストははねことさん。この表紙力の高さよ!
なんていい匂いがしそうな女の子なんだ……。


お手製のタマゴサンドを無理矢理食べさせてくるクラスメイトの女の子が欲しかった。

2016-07-28

[][]メロディ・リリック・アイドル・マジック

ストーリー
国民的アイドルグループ・LEDに叛旗をひるがえした女子高生アイドルたちがしのぎを削る街・東京都沖津区。
高校入学に合わせて学生寮に入った吉貞摩真はそこが沖津区アイドルたちの根拠地であることを知る。
しかし彼にはアイドルを好きになれない理由があって……。



国民的アイドルをクソと言い放つパンクでキレキレのアイドルたちが住む街で、少女たちがアイドルグループを結成する青春アイドルストーリー。
石川博品×アイドルモノというだけでワクワクしてきちゃうわけですが、期待に違わず非常にエネルギッシュでパワフルなお話でした。
少年と少女が運命的に出会い、奇跡のきらめきを放ちはじめる。女の子が「アイドル」になる瞬間がここにある。


国民的アイドルグループ・LEDを蛇蝎の如く嫌うご当地女子高生アイドルたちが住まう街。
とある理由から音楽を遠ざけてきた少年・ナズマと、アイドルから逃げてきた少女・下火は、そんなアイドルたちが集う学生寮で出会います。
学年一の美少女・アーシャに誘われて、なし崩しにアイドルグループを結成する下火。そんな下火の姿を見て、ナズマは初めて「アイドル」のファンになるのでした……。
ヒロイン・下火はかなりユニークな女の子ですね。表向きは、いつもパーカーでチョコレートジャンキーなこと以外は、普通の物静かな女の子という印象なんですが、地の文が彼女の視点になると一変。実は心の中ではえらく饒舌な彼女、口には「うん」とか「へえ」としか言っていないのに心の声ではその十倍くらい喋っていたりして、誰にも聞こえないそのツッコミが妙に心地よく響いてくるのです。
一方のナズマは、音楽を聞くと目の前に謎の「幻」が見えてしまう男の子です。自分だけしか見えないそれが見えるのが嫌で、音楽を避けてきた彼。でも下火の歌声だけは、その幻が生まれて初めてうつくしく見えた……。アイドルとマネージャーの奇跡の出会いです。こんなの、ドキドキしちゃうに決まってる。


下火とアーシャで結成したアイドルグループ・メロリリ。プロデューサーはひとつ先輩の国速、そしてマネージャーはナズマ。
スタッフは全員身内の上、最初のライブはアーシャの妹の誕生日パーティという、本当に駆け出しも駆け出しのアイドル。
それでも、メロリリは間違いなくアイドルです。アイドルとして歌う女の子たちがいて、ナズマやアーシャの妹というファンがいるのですから。「やらなきゃアイドルじゃないし、やってしまえばアイドルだ」とは作中の一文ですが、とてもいいですね。名文句だと思います。
実はメロリリになる前から、アイドルとは深い因縁のあった下火。彼女が過去を乗り越えるのか否か、そして元々の夢とここでの夢とどちらを追いかけるのか。分岐点はいつも自分が今いるところです。
デビュー仕立てで、経験も喜びも失敗も何もかもがこれからのアイドル・メロリリ。願わくは、彼女たちの戦いをこれからも見守りたいものですね。期待してもいいかな?


イラストはPOOさん。実に求心力の高い見事な表紙! これは目を惹きますわ。
カラーもいいんですけど、モノクロイラストが特に可愛くて最高でした。


劇団一角獣の『運命』ごっことか最高かよ(ボクもやりたいです)。