4AD からのリリースとなる 8th アルバム。アンビエント/ノイズ/ドローン。
ヴォーカルを多用している点がこのアルバムの大きな特徴。ただし明瞭なヴォーカルラインはなく、ノイズの一部のようにアンビエンスに溶け込む淡い要素として用いられている。
本人による説明としては、Rolling Stone Magazine でのインタビューがわかりやすい(Tim Hecker Reveals How He Made 2016's Most Anticipated Experimental LP)。やはり “ヴォーカル” をどう扱うかというところがコンセプトに定められているようだ。プロダクションとしては、ルネッサンス期のフランス人作曲家ジョスカン・デ・プレによる聖歌をオーディオ編集ソフト Melodyne で再構成したものを起点として、Jóhann Jóhannsson がアレンジしたアイスランドの聖歌隊によるヴォーカルを加えるというプロセスをたどっている。聖歌から意味内容を切り離したいという意向があったようで、ラテン語を逆読みしたものを架空言語のように歌わせているらしい。
ヴォーカルは相当に加工されていて、そもそも歌詞を孕んだものとは到底思えない。ほとんど楽器に近いものとして扱われているようだし、実際そのように聞こえる。それにもかかわらず、この楽曲からはヴォーカルを他のサウンドと明確に異なったものとして認識できるとも思う。つまり、ヴォーカルを他と区別するような、かぎりなく曖昧で、だけど決定的な閾値を狙ってつくられているという感じがあって、何かそうした際を攻めることによってヴォーカルの特質を描き出そうとしているかのようでもある。
Tim Hecker
Information
Origin | : Vancouver, Canada |
Current Location | : Montreal, Canada |
Born | : 1974 |
Years active | : 1996 - |
Links
Official | : http://sunblind.net |
SoundCloud | : https://soundcloud.com/timhecker |
: https://twitter.com/tim_hecker | |
Label | : 4AD http://www.4ad.com/releases/790 |