鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

「平田真夫/森山安雄の挑戦――ゲームブック『展覧会の絵』から小説『水の中、光の底』へ」の紹介

 『展覧会の絵』は、豊かな叙情性、物語性で評価の高いゲームブックです。創土社による絶版作品の復刊が開始され、80年代中〜後半のブーム再燃の兆しのあった2004年に発表されたWeb記事忘れじの80'sカルチャー「ゲームブック」が復活の兆し!?でも、ライターの方に高く評価されていたのを記憶しています。

 自分はゲームブック直撃世代なのですが、当時はウォーゲームに夢中で、気づいた頃にはブームが去っていました。創土社による復刊を機にソーサリー・シリーズなどを買い始めたのですが、主人公が死ぬ小説、完全二人称を実現した小説としてゲームブックに大きな魅力を感じました。
 まず主人公が死ぬというのは、戦闘がサイコロによる判定で行われるからなのですが、強敵に出くわすとたいてい死にます。そこでまた出直して冒険を続けるうちに、特定のアイテムがあれば多大な修正を受けてその強敵への勝率が大幅にアップすることがわかったりするわけです。
 また、ソーサリー・シリーズでは救済アイテムの配置がすばらしく、「やばい、次に戦ったら絶対死ぬ」という状況でうまい進路を選択するとポーションが見つかってヒット・ポイントを全回復できるなど、スリルと安堵の演出が絶妙でした。

 今回のインタビューは戦鎚傭兵団メンバーの岡和田晃さんによるもので、東京創元社のWebマガジンWebミステリーズに掲載されています。

 かつて森山安雄名義で『展覧会の絵』を発表された平田真夫さんが2011年3月に連作小説集『水の中、光の底』を刊行されたわけなのですが、平田/森山さんはもともと小説畑の方だったのですね。ゲームブックに小説の方法論を取り入れる試みの中で生まれたのが『展覧会の絵』だったとのこと。
 創土社による復刊版を入手済みでしたが、恥ずかしながら未読でしたので、これを機にやってみます。
 台風が去ってからぐっと秋めいて、読書には最高の季節がやってきましたね。子供が起きる前の早朝を利用して冒険をすすめるのが楽しみです!
 併せて『水の中、光の底』も読んで、平田さんから学ぼうと思います。

水の中、光の底

水の中、光の底

展覧会の絵 (アドベンチャーゲームノベル)

展覧会の絵 (アドベンチャーゲームノベル)