ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

こゆび侍の標本vol.4『少年の日の思い出』〜ヘッセ青春小説集「少年の日の思い出」(草思社)より〜★★★★ 

 新宿眼科画廊へ。←朗読劇「巨大なウェディング・ケーキ」以来。
原作:ヘルマン・ヘッセ 訳:岡田朝雄(日本昆虫協会) 脚本・演出:成島秀和『木漏れ日の下、足音をたてないよう、そっと蝶々に忍び寄る――もうすぐこれが自分のものになる。胸をぎゅっとしめつける気持ちを、少年たちは感じていた。ぼくも他の少年たちと同じように、学校の時間も昼食の時間も忘れ、美しい蝶や蛾を探して捕まえて、古いつぶれたボール紙の箱に保管していた。裕福な家の連中にコレクションを値踏みされようと関係ない。それはぼくのなによりの宝物だった。「エーミールがクジャクヤママユの羽化に成功したらしい」クジャクヤママユは、古い蝶蛾図鑑でしか見たことのない珍しい蛾。ぼくは興奮を抑えられず、いてもたってもいられずエーミールの家へ――忍び込んだ。部屋には、図鑑で見たよりもはるかに美しく、めったに手に入らないクジャクヤママユ。目をはなすのがおしかった。見れば見るほど艶めかしかった。羽に描かれた瞳のような紋様が、じっと、ぼくを見つめていた。』http://koyubi.chips.jp/next.html
 
無邪気で切ない少年の日の思い出。少年の「少年の日」との決別。ラストシーンに涙が・・エーミールの言葉が刺さる。蝶の標本のようにピンで止められていた日々。私はすっかり忘れていた、過去の引き出しを開けちゃってセンチメンタルな気持ちに。ああいうことは大人になってからも忘れないんだよね。エーミールは自分が正義だから忘れてしまうだろう。でも「ぼく」は忘れないだろう。エーミールの言葉と、後悔を。
美術は大きな黒板と小さな黒板で作った箱だけ。その黒板を使った演出がステキ。黒板が蝶の標本になったり小道具になりました。そして教室だったり窓から森が見える部屋の中だったりの情景がちゃんと思い浮かびました。そして、観終わってからフライヤーの蝶を見ると・・・あぁこれラストに繋がっているのね。
とてもよかったです。メイドさん、楽しかったな。
私の隣は、お友達が出る舞台を観に来た学生さん、人生初の観劇だと言っていました。いい作品を観たね〜。就職試験に受かったら、またお芝居観に行ってほしいな。
ドイツ語で「蝶」と「蛾」は同じ単語であらわすらしい。