民主党・政策調査会廃止は正しいのか

民主党小沢一郎幹事長は7日、党本部で記者会見を行い、衆院選後の新体制となる党役員人事について述べていましたが、その中で政策調査会が廃止されることが明らかになりました。小沢氏は、

「政調というのは、ネクストキャビネット(次の内閣)だ。それが本物になったから、いらないでしょう」

と説明していますが、この方針は正しいのでしょうか。私はまず「政調=ネクストキャビネット」論からして誤っていると考えます。


日本は三権分立国家ですから、国会議員は三権のうちの立法府を、閣僚は三権のうちの行政府を担います。党組織も同じく、政調は立法府を担う議員によって、ネクストキャビネットは未来の行政府を担う人材によって、それぞれ構成されると考えるのが自然でしょう。


したがって、今まで政調とネクストキャビネットが重なっていたとしても、それは一つの部門が二つの異なる性質を担っていたということで、「次の内閣」が役割を終えたからといって、政調の役割までが終わるわけではないのです。


鳩山政権は「政策決定システムの内閣一元化」を掲げていますが、党の政策立案部門を幹事長が独占してしまう政調廃止は、むしろ二人の実力者が並び立つ双頭の二元体制への突入を懸念させるものとなりかねません。


民主党が民主主義政党であるならば、党としての政策立案は、多数の議員が参加するオープンな場所で、国民の声も参考にしながら議論を尽くして行っていくことが大切です。本当の「一元化」とは、内閣の政策決定をその議論の成果の延長線上に置いていくこと。全てを内閣で囲い込んで他の者には手を出させないという独占が一元化ではないはずです。


民主党は先の衆議院議員選挙で多数の新議員を誕生させました。人数が増えたら、その分、活躍の場を増やすのが普通です。ところが小沢さんは逆に減らすと言う。これでは国民は、何のために多数の議員を誕生させてやったのか、と言いたくなってしまいます。


議員の後ろには、その議員を後押ししてきた多数の有権者がいるのです。選挙民はみな、自分の推してきた議員が、自分たちの意見の代表者として活躍することを望んでいます。その支持者の願いを踏みにじるような党組織の縮小は、せっかく大きくなった民主党をしぼませてしまうことにつながります。幹事長には、議員の後ろに国民の姿を見る民主感覚が望まれます。