「ゲームシナリオライターの仕事 名作RPGに学ぶシナリオ創作術」
ゲームシナリオライターの仕事 名作RPGに学ぶシナリオ創作術
- 作者: 前田圭士
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2006/07/29
- メディア: 単行本
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結論から言うと、かなりオススメです。
同意できる点と同意できない点が入り混じってましたが、
なによりシナリオの基礎を判りやすくかつ丁寧に記してある点が素晴らしい!
私も改めて学習させてもらいました。
「シナリオライター目指す人向け」とされてますが、この本が言ってる事がちゃんと判るのはもうちょっと上、ゲームのプランナーかライターとして実務経験がある人じゃないかなぁと思います。
シナリオ=構成
この本は冒頭で、
シナリオとは「構成」である
と言い切り、さらには
ゲームにおいても、起承転結を知らずにシナリオを書くのは時間の無駄です。
と大胆に言い切ってます。
私も「シナリオはプロットで決まる」と思ってますので、これについては同感です。
そして、いいプロットはセンスで出来るものではありません。論理によって積み上げるものです。
このことについて、映画をメインに冒頭から20ページ目まで語られています。
ここより先に「起/承/転/結」のそれぞれについて解説が入りますが、
この20ページこそこの本の価値の8割ではないかと思います。
この20ページに書かれていることを抑えておけば、
そうそう面白くないシナリオにはなりません。
しかし、商用でもかなりの割合でここを抑えていないシナリオを見ます。そしてそれらは、やっぱり面白くありません。
それくらいシナリオを創るうえで重要なポイントだと、私は思ってます。
(と偉そうなことを言ってますが、実は私はそこまでシナリオでの実務経験は多くなかったりw)
その他
それ以降は、主に「天外魔境? 卍MARU」と「ルナ エターナルブルー」のシナリオを、それぞれ「起/承/転/結」に分けて解説してあります。
ここは「抑えておくべきテクニック」が書いてあるというより、最初の20ページの具体例+「抑えておきたいテクニック」&「小手先のテクニック」が紹介されているような印象でした。
個人的には、「抑えておきたいテクニック」と「小手先のテクニック」の多くは、これを読んで憶えるというよりも、自分で「どうやったら面白くなるだろう」と考えた先にたどり着くものかなぁと。
逆に言うと、作品を面白くしようとしたら意識せずとも自然とそうなってくる部分ということです。
よって、ある程度のレベルにいる人には汎化することで見えてくるものがあるとは思いますが、そこまで行かない人は「なるほど」と思うだけで、身にならずに終わる気がしますねー。
あと、著名な数人のインタビューが載ってますが、これは参考にするというよりも読み物として読むのがいいかと。
なかなかいい言葉が揃っていたので、私もいくつも下線引きましたが……正直、癖の強い人ばかりで考え方を真似するものじゃないと思いますw
まとめ&私の組み立て方(ミッドポイントとミスリード)
とにかく、20ページ読んでください。って感じですね。
時間がなければ他は読まなくてもいいので、そこだけでも。
シナリオを直接書く人以外にも、企画職であれば見ておくべきです。
きっと、映画などの見方も一つ上の次元で見つめることができるようになるはずです。
この本にはなかった点ですが、私がシナリオを創ったり読んだりするときに気にしてる点があります。
それは、ミッドポイント、そしてミスリード。この2つです。
私の場合は、起承転結(もしくは序破急)を含め、この3つを主軸にプロットを組み立ててます。
ミッドポイントとは、物語のちょうど真ん中あたりにある重要な出来事・ターニングポイントのことです。
このミッドポイントを境に、物語は違う方向へ転がします。
ミスリードとは、文字の如くユーザーに間違った推理をしてもらうために、わざと導くことです。
これらについては、解説サイトが色々とありますので興味ある方は調べてみてください。
私もこれらの視点を得てからは、作品を見る目が変わりました。
やっぱり、面白い作品はちゃんとこの辺りが抑えられてますね〜。
(昨日読んだ「狼と香辛料」も抑えられてましたヨ)
あ、そうそう、前回も言いましたが、コンシューマでゲームシナリオライターという求人はないので、その道を目指している方は注意してくださいね。そんな方は、まずは企画職で業界にもぐりこむことをオススメします。