読書録

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不屈 盲目の人権活動家 陳光誠の闘い

不屈:盲目の人権活動家 陳光誠の闘い

不屈:盲目の人権活動家 陳光誠の闘い

 映画『キリング・フィールド』を思い起こした。ポルポト派とは違うのかもしれないが、表現の自由が奪われる社会のひどさ、著者の意識と「裸足の弁護士」としての訴え、暴力をうけ刑務所と自宅軟禁状態、そして脱出へと、経済成長著しい中国の、負の一面に考えさせられる。このところ読んだ本の中では、最も衝撃を受けた一冊で、表現の自由とメディアの存在がいかに大切か、ということも改めて認識した。

 本著を読むまでは、著者について詳しく知らなかったが、以前読んだ、ヒラリー・クリントンの自叙伝『困難な選択』 http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/mobile?date=20150918 に、中国でのこのくだりがあったことが、おぼろげながら記憶に残る。
 

発刊した白水社のサイト⇒ http://www.hakusuisha.co.jp/book/b281875.html


 印象に残った点をいくつか引用しながらメモ
◇生後5か月で高熱が出て失明、父が読んでくれた中国の古典作品『水滸伝』や『西遊記』『三国志演義』『封神演義』など、権力者を批判する物語によって、党公認の学問に批判的な目を持つようになった(p68)「忍耐の持つ力、正義のために戦うことの重要さを理解した」

◇障害者保護法で視覚障害者は大都市の公共交通機関を無料で利用できることになっていたが、認められず、行動をおこす(p102)

◇中国の一般市民が当局の人間から不当行為を受けた時、それをメディアに取り上げてもらうことは、強力な武器になる。(p120)暴行事件対処

◇村で病気が流行るのは飲料水が汚染された問題だと認識し、英大使館に働きかけながら、深い井戸を掘ることに成功する(p125)

◇南京視覚障害者学校の卒業証書を人質にとられ、支援してもらったお金を国家公安部に提出させられた経験から「共産党に対して断固反対の立場をとった。党の本質的な非人間性と腐敗を確信したからだ。そして心に誓った。私は絶対に屈しないとp141」

◇障害者や困窮者のための「裸足の弁護士」として、不正を正していく(p162)、2002年の初めニューズウィークの国際版で特集記事にp167

◇刑務所では、囚人服を裏返しにして着て、当局が法を無視するなら自分も従わないと心に決め、「犯罪を犯しているのはあなたたちだからだ」と訴える(p274)

◇自宅軟禁状態になったが、村に来て支持を表明しようとした。バッドマン役のクリスチャンベールも追い返された(p306)

◇中国とアメリカ両国民の関心、メディアの注目、そして議会公聴会がなかったら、どうなっていたか見当もつかない(p387)

◇人権活動家に対する弾圧は強まるばかりで…迫害、自宅軟禁、投獄、暴力などに直面している(p396)


 アムネスティのホームページには、<世界の人権問題(トピック)>→ <危機にある個人>→の最初が中国の活動家で、「中国国内は、正当な活動をしているだけで、政府から嫌がらせや脅迫を受けている人びとが多くいます」として、著者の「陳光誠(ちんこうせい)さん Chen Guangcheng 」をはじめ、最近、病状の悪化で国外で治療を受けさせることを認めるかどうかが報道されている、ノーベル平和賞受賞者の「劉暁波(りゅうぎょうは)さん Liu Xiaobo 」たちが紹介されている。
http://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/individual/
 きちんと事実関係を把握し、注目していきたい。


{2014/7/4-8読了、記入は9}