gooラボのウェブデスクトップ実験を眺めてみる

 gooラボさんから3月15日にウェブデスクトップが発表されましたね。
 企業の知名度からでしょうか、様々なニュースサイトで紹介されてます。
 ちょうど良いタイミングなので、少し具体的に見てみましょう。

提供機能

  • ウェブ検索機能

 タブ切り替えで「サジェスト」「履歴」「総合ランク」「注目」「ディープ」といった候補リストを選んで検索できます。また、web、blog、画像、ニュースなど、最大10種のウインドウに検索結果が表示されます。

 既存のWebメール(gooとOCN)をタブ切り替えで使えるようにしています。

  • ファイル管理機能

 100MBまでのオンラインストレージ。ファイル管理機能は、Startforceと類似した使い勝手ですが、イメージビュアーを含むファイル内容の表示アプリケーションは搭載されていません。ダブルクリックすると、Webブラウザでダウンロードしてローカルアプリケーションを起動する様になっています。
 ストレージサービスは、デスクトップサービスと一体化されている様に見えますので、YouOSがAmazonS3を使っているようにcocoa等の外部サービスと連携する形態では無いようです。

  • カレンダー機能

 シンプルなカレンダー。
 特徴は検索機能かな?IE7では、予定の追加が出来ませんでした。

  • OCNフォトフレンド機能

 検索ウインドウの検索キーワードに連動したコンテンツが表示されます。

  • マルチデスクトップ機能

 用途別に複数のデスクトップを使用できる機能。デスクトップに名前を付けて、リストから切り替えて(又は複数同時に起動して)利用できる様です。IE7では、エラーが発生して十分確認できませんでした。
 この機能の目的がまだ良くわかりません。


技術面の特徴

外見などから判る技術上の特徴
  • goo検索サービスを応用した検索アプリケーション
  • マルチデスクトップ機能の提供
  • AJAXライブラリとしてBindowsを使用
  • 固定的なアプリケーション管理機能
  • goo/OCNの他のサービスと連携したSSO(シングルサインオン

 SSOを実現しているかと期待したけど、そうではなかったみたいです。

といったところでしょうか?

Bindowsについて

 参考までにBindowsのプライスリストを見ると無制限ユーザのランタイムライセンスフィーは企業の規模に応じて3段階に分かれていて、大手企業の場合年間 945,000円/CPU、(翌年以降50%)との事。資本や売り上げが小さければ、1/10ということです。
 いずれにしても、AJAXライブラリであるBindowsだけでは何も出来ないので、ここに大きなお金を使うのはつらいかもしれませんが、こうした機能をゼロから作り込む事に比べれば十分安価かな。gooラボさんの事ですから、独自の条件でのライセンス契約かもしれませんね。

 それにしても、なぜBindowsなのでしょうね?
 他のWebデスクトップ系サービスの多くもそうですが、Windows UIのメタファを踏襲する事が、こうしたサービスにとって有るべき姿なのでしょうか?
 Windows UIを作るなら、マイクロソフトが一番得意なはず。そのマイクロソフトを真似るのは・・・・。この件は、また別の機会に触れることにしましょう。

 脱線ですが、マニュアルによれば、Bindowsにはサーバサイドのモジュールは無いようです。Bidowsのライブラリを置くサーバを限定して、フロントにキャッシュを置けば1CPUのサーバでもほぼ無限のサービス規模に拡張できるけど、これは違反かな?

アプリケーション管理の仕組み

 アプリケーション管理の仕組みは汎用化されておらず、固定的に設計されているように見えます。これは、「デスクトップ設定」ウインドウの「ウインドウ選択」タブで、どのアプリケーションのウインドウを表示するかを選択する仕組みを持つ事(下図)、1種類のアプリケーションを2個以上起動できないことなどからの推定です。
 アプリケーション管理は、Webデスクトップとしては、重要な基本機能なので、設計ポリシーが問われるところでしょう。

アプリケーションの特徴

 ファイル管理機能とカレンダー機能は、既存のWEBサービスに頼らない新たなサービスの様です。
 ウェブ検索機能についてもWebサイトで直接提供していない機能を提供しています。
 ウェブメール機能に関しては、単純に既存のWebサービスをインラインフレーム内に表示しています。
 OCNフォトフレンド機能についても、インラインフレーム内に表示して検索キーワードに連動した表示をしている様です。

gooがWebデスクトップを提供する事の意味

 「ウェブデスクトップ実験」と命名しているとおり、技術的にもサービス的にも実験の域を出ませんが、Startforceなどの他のWebデスクトップサービスとは明らかに違う点があります。
 それは、既に多くのユーザを擁するgooのサービスと連動している点です。
 充実したサービス群を持つgooが、今後Webデスクトップという概念をどのように発展させてゆくのか、楽しみです。

 Alexaによれば、gooのアクセスランキングは国内10位
 YouTubeなどの非ポータル系新興勢力の影響からか、2006年は下降気味の様子。
 新興勢力に押されぎみの既存のサービス事業者にとって、様々なサービスをまとめてその強みを引き立てる事のできるWebデスクトップ(又はWebOS)は、新たな突破口となる可能性を持っているのかもしれません。

その他

  • FireFox2.0でアクセスしてみたところ、対象外という事で、アクセス出来ませんでした。
  • IE7では、スクリプトエラーなどが頻発しました。
  • 一部正常に動作しない機能がありました。

 こうした点は、いずれ改良されてゆく事でしょう。

 他の公開サービスと比べて、Webデスクトップとしての完成度はまだ低く、アプリケーションも少ないので、これを使うメリットがまだ見えません。Webデスクトップのメタファーの必然性にもちょっと疑問を感じます。
 これからどのように発展させるべきか、ユーザに問いかけているのかもしれません。

 サービス提供元企業の事を思いながら、さらに妄想して見ると、光サービス拡充後の新たな収益源に繋がるプラットフォームをWeb上に確保することを模索していると捉えることもできそうです。