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湿地帯中毒

2016-05-24

日記

「湿地帯中毒」で書こうと思っていて、忘れていたのが「湿地帯が人間に及ぼす害悪」についてです。本の中では、湿地帯の生物の多くが絶滅しかかっていて、それらがいなくなることに対してなんとか保全をしたい、というようなことを多く書きました。しかし、そういうことを語る上で、湿地帯が人間に及ぼす害悪については、当然のことながらよく知っておく必要があります。

湿地帯が人間に及ぼす害悪、直接的なものとしてはやはり、増水・洪水・氾濫という部分でしょう。湿地帯の生物の多くが減少する直接的な原因として、河川の改修というものは大きな比重をしめていますが、それらは決して生物を減少させるためにしたものではなく、こういった部分を少しでも改善しようとして行われたものです。

それからもう一つ、湿地帯には人間に害悪を及ぼす湿地帯生物が多く存在することも忘れてはなりません。マラリアや日本脳炎等多くの致死的な病気を媒介するカの仲間は、幼虫時代は水の中で成長する典型的な水生昆虫で、その対策に多くの労力がさかれたことはよく知られています。現在特定外来生物となっているカダヤシが日本中にばらまかれたその理由は、まさにカの幼虫であるところのボウフラ対策にあったわけです(あんまり効果なかったけど)。それから、福岡県や山梨県の一部などで風土病として恐れられた日本住血吸虫症に関する出来事も、湿地帯生物の保全を考える上で忘れてはならないことであります。

日本住血吸虫の詳細はこのウィキペディアの記事(リンク)が非常に力作で読み応えがあります。ここを見てもわかるように、その撲滅にあたり行われた中間宿主であるところのミヤイリガイ(カタヤマガイともいう)の根絶大作戦は、それはそれはすさまじいものであったようです。生息可能な水路という水路はコンクリートで固められ、殺貝剤をまいて、火炎放射器で焼き殺す、という徹底的な駆除が行われた結果、ミヤイリガイはこれらの地域では完全に絶滅し、結果として日本住血吸虫症も根絶することに成功したわけです。

野生生物の保全と人間の生活は必ずも対立するものでなく、可能な限り共存を目指すべきだと思いますが、どうしても両立しないものあるということが、このような事例では見えてきます。

とは言え、そういう中でも両立できる部分については、事細かく両立のための努力をしていくのが、21世紀の人間社会と言えましょう。こういった事実は事実としてよく学んだ上で、湿地帯生物の保全と人間活動をどうやって両立させていくべきか、よくよく考え、最大限の努力を社会全体でしていかねばならないのでしょう。

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ミヤイリガイは私も興味をもっている湿地帯生物であり、その縁の地は訪問しています。上の写真は山梨県のミヤイリガイ終焉の地。解説パネルがありました。鳥類をはじめとする多くの湿地帯生物にとって良好な湿地帯(しかし地元の人たちにとっては恐ろしい死の湿地帯)が、日本住血吸虫症撲滅のため、完全に破壊されたことが、記されています。

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福岡県のミヤイリガイ供養碑。そうは言ってもミヤイリガイは単なる中間宿主であっただけで、根絶させられたのはとばっちりとも言える災難であったことでしょう。そういうことに心を痛めた人たちもいて、このような供養碑が建てられたということは、多くの人に知って欲しいと思います。今後の野生生物との関係は、このような心ももって、その方向性をしっかりと考えて行くべきだと思います。

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福岡県産のミヤイリガイ標本。筑後川流域の低湿地帯を代表する湿地帯生物の一つでした。福岡県版レッドリストでは絶滅とされています。

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宮入貝供養碑(生息最終確認の地)

我々人間社会を守るため筑後川流域で人為的に絶滅に至らされた宮入貝(日本住血吸虫の中間宿主)をここに供養する

2016-05-19

日記

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水路。改修間近。

2016-05-15

日記

九大総合研究博物館で今月23日からウナギ・ドジョウの展示がはじまります。私がかかわったドジョウ部分は概ね完成していて、すでに公開されています。監督の丸山さんのブログにて、少し紹介されています→リンク

内容はパネル展示と水槽展示の2本だてでして、パネルの方でドジョウ類の概説、日本産全種・亜種、生息環境、保全、食文化、祭礼など様々な視点からドジョウのことを紹介しています。また、水槽のほうではドジョウ類17種・亜種を展示しています。九州でみられるドジョウ10種・亜種はすべてそろえました。加えて九州以外のものとして、フクドジョウ、ホトケドジョウ、トウカイナガレホトケドジョウ、ヒガシシマドジョウ、アジメドジョウを展示しています。フクドジョウはちょっと状態が微妙なので、見たい方は早い方が良いかも。。あとニホンウナギも立派な個体が水槽展示されています。

ということでお近くにお越しの際はぜひ。博物館の開館時間中はいつでも見ることができます。無料です。

ダトニオダトニオ 2016/05/16 19:17 はじめまして(。・ω・。)ゞ

チンカチンカって中国の淡水魚を調べていてたどり着きましまた

凄く趣味嗜好にあったので書き込みしました

宜しくお願いいたします(^◇^)

かくびんたかくびんた 2016/05/17 21:39 14日土曜日の午前中に中学生と幼稚園児とで見せてもらいました。初めて見るドジョウに感動しました。パネルの解説もあってなかなかこういう機会がないですよね。ありがとうございました。

OIKAWAMARUOIKAWAMARU 2016/05/17 21:43 ダトニオさん>コメントありがとうございます。ヨーロッパのコイ科の魚、Tinca tincaですか?ブログ楽しんでいただけたのなら幸いです。
かくびんたさん>コメントありがとうございます。まだ完成してないようですが、九州ではなかなかみられないドジョウ類を揃えたので喜んでもらえて良かったです!そのうちレイアウトも完成するので機会があればまたぜひ見に行ってみて下さい。7月15日までだそうです。

けいごけいご 2016/05/19 18:46 はじめまして、以前からブログをチェックさせていただいてました。さいきん書籍を読ませていただき、「やっぱり好きな世界にのめり込むっていいな」と感銘を受けました。福岡在住なんですが、シマドジョウは可愛くて大好きなので、ぜひ展示を見に行きたいと思います!

OIKAWAMARUOIKAWAMARU 2016/05/23 15:14 けいごさん>コメントありがとうございます。平日のみ10時〜17時と開館時間が限られていますが、ぜひ見に行ってください。

2016-05-14

日記

今日は某展示用ドゼウの採集のため県外遠征。

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はじめの地点にて、トゲナベブタムシ。超久しぶりに刺されて、超痛かったです。痛すぎます。そして目的のドゼウが採れません。痛すぎます。

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結局4地点目にて何とか目的のオオシマドジョウ!九州で採ったのは久しぶりです。今日は凄腕の助っ人も同行してくれたのですが、結局彼が3匹私が2匹で、なんとか展示用の個体を確保できました。

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帰り道に、もう一つ目的のヤマトシマドジョウを。ここは秘密の楽園ですが、相変わらずの楽園ぶりで、堪能しました。

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ということで5月23日から九大総合研究博物館でドジョウ・ウナギ展を行います。詳細はまた後日。

2016-05-13

日記

今日は観察会。いつもの某都市河川。

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オイカワ。とっても美しい。

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オイカワのメス。

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ムギツク。ちびっこに人気。

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カマツカ。世界一かっこいい魚ですがまだまだ布教が必要。

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イトモロコ。太陽光が当たると美しいのですが玄人向け。

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ギンブナ。ということにしておきます。

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カワムツ。本来の流程よりだいぶ下流にあたるので先日の出水で流されてきたのでしょう。

今日の観察会は質問も多く、熱心にとりくんでくれたちびっこが多かったので楽しかったです。そろそろ観察会シーズン・インです。