てんむす 最終回を迎えて思う

てんむす
こんなに不思議な作品に出会えたのは何時以来だろうか。
この作品の魅力は一体なんだったのだろうか。
私が思うには、読者の予想や期待を裏切る時の、その絶妙なバランス感覚に有ると思う。
本域の、タダのクソ漫画という物はもっとわかり易く、力強くダメなものだが、てんむすは違う。
上手く転がせばいくらでも面白くなりそうなキャラクター達を用意して来て、台無しにする。
その台無しの仕方が、ジワジワと毒が回る様なやり方で、且つ致死量には至らない程度の毒で済ます。
それ故、読んでいる方としても完全には見限ることが出来ず、次こそは、次こそはと期待を
持ち続けて、読み続けたのではないだろうか。

なんだか具体的な事例も上げられず、あやふやな事しか言えていない。
てんむすが、どれ程すごい作品だったのかを表現できない事がもどかしい。


さて、先週は時間が無くて出来なかった、本編への突っ込み最終回。

P1 哲「おれは天子がいるから食道部にいるんだ」
おめー、食道部員じゃねぇから。
なにしれっと仲間に入ろうとしてんの?

P1 ラーメンをすする三ヶ月の、箸を持つ手が上下に動く
麺類をすする場合、箸は口元に近づけ、口の吸引力によって麺を引き寄せる。
そんな、実際にやって見ればわかる所作すらまともに描けないところに、
稲山氏の作劇姿勢が伺える。

P2〜3 お花畑に囲まれる7人の天娘候補選手達
天子のめろーん空間が伝播したのだろうか、7人全員がお花畑に囲まれている。
村上の、紅潮してイキイキとした表情が素敵。
ここまでの人物描写がぶれまくりなことに目をつむれば、本当にいいキャラ。
そして紅潮して乙女の様な眼差しの哲。
なんなの?大事な最終回の、3Pかけて哲のことを描くの?
恋する乙女の様な表情で、本当に、なんというか、キメェ。

P3 謎のドヤ顔を見せる井川が可愛い
本当に可愛い。天使。
くっきりした黒目なのだろうか、ぱっつんの前髪なのだろうか、お得に意地汚い性格なのだろうか
一体何がこんなに心揺さぶるのかわからないが、本当に可愛い。
と、喜んだのもつかの間、井川の出番はこれで終了。
以降は画面の端に映るか映らないか程度の、ヒドい扱い。

今年の東北を背負って来た秋田サンライズ、最早背景は一切不明の鮫島も同様の扱い。
本当に、一体なんのために7人による総当り戦(ry にしたのか理解できない。

井川は秋サンと鮫島に一杯差をつけられ、6位に。
部長矢部の不在に加え、ラーメンという題材にお得感ブーストが使えない中、むしろ善戦していると言える。
今更だが、矢部ちゃんのファースト・ネーム は”讃歌”。
こんな意味有りげな名前を見ると、稲山氏はそれぞれのキャラクターに思い入れを
持って造形していると、期待してしまうじゃないか。
井川”礼”と矢部”讃歌”。ミッション系のお嬢様百合ップルぽくない?
商業高校生だけど。

P6 満面の笑みでラーメンをすする天子
カピパラののっぺらぼうみたいな顔。稲山氏、アップ苦手?
立浪部長的には、キレイなんですね、あのツラが。
しかし、天子本来の、食べることを楽しむ心が全身からあふれているのは確か。
天子、優勝!!

7P ついに試合終了
そう言えば、クソ運営どもの登場は今回これが初か。
や、それでいいと思うよ。最初からそうしていたら良かったよ。

そして、拳を握り締める勝者。

P8 勝者、天子!
じゃなかった。
ポカーン、だよ。何が起きたのかわからねぇ。
かずえちゃんが勝ったの?なんで?天子が勝つ流れじゃなかったの?
ペダルで坂道が優勝したのは、毛の先ほども納得していないさ。
だけどてんむすでは腹をくくっていたんだよ、天子がめろーんしたらもう、優勝もやむ無しと。

なんだったんだろう。なんだったんだろう。
これまで描かれてきた天子の姿は、なんだったんだろう。
めろーん一本で、ただただ食を楽しんでいた天子。
長野女子との戦いで、楽しく食べるだけでは無い事を知り始めた天子。
伊勢日輪戦で舌を火傷し、大食い競技の厳しさを実感した天子。
尾張大付属戦ではめろーんを捨て、わんこそばのつゆを捨て、競技者として開花した天子。
そして決勝戦、ライバル花ぽんの叱責でめろーんを取り戻した天子。

ここまで来たら、競技者の自覚と楽しく食べる気持ちを併せ持ち、最強の天娘として覚醒、優勝。
でしょう?マンガ的に。

これだよなぁ。これが稲山節なんだよなぁ。
いや、うん。ある意味てんむすの最終回にふさわしい結末だったと思うよ。

かずえ「本戦決勝に向けて体力温存してきたおかげで勝てた」
ま だ い う か 。

かずえ「私が代わりにお願いしようか?天娘の願いが叶うなんて迷信だろうけど」
天子「お願いします」

あ、それで良いんだ。軽っ。
というか、結局かずえは何のために食道部に入ったの?
マネージャーや、2年レギュラーの喜ぶ姿が見たいってのは副次的なものだろう。
かずえが入部した動機が知りたい。

P12 「当たり前よ」花ぽんはキメ顔でそう言った。
なんか、うまいことライバルポジションに収まった風に描かれるともやもやする。

天子「ああ、食道部に入ってよかったなぁ」
なんで?

2年後
哲の頭がボリューミーに。
色気付いてんじゃねぇよw

カップを拭いている哲、と、傍らの携帯が振動して着信を知らせる。
これ、明確な突っ込みどころと考えていいのかわからないのだけど、ちょっと気になる。
どうして自分のポケットに入れていないんだろうか。
それでいて充電器に挿すでもなく、1〜2m程離れた窓際に置いているのもしっくりこない。
あと、2年後だけどスマホじゃない、というところにもそこはかとない違和感。

忍足の写メ。何故か尾張大付属と仲良くやってるOG達と元気そうなゆ〜じぃ。
結局、ゆ〜じぃは治ったの?かずえの祈りのおかげで?

なんか後ろの方で悔しそうにしている紫乃さん。
ハブられなかっただけ、マシ。

2年後の新生食道部
新キャラがみんなふくよかなんですけど。
1年生の大島美空。って、わざわざ名前を出すから、何か思いが有るんじゃないかと期待するんです。

最後はキレイな天子と大きな垂れ幕で締め
キレイな、、、
ちょっと面長になった天子と、自作の垂れ幕で締め。
というか、去年も天娘になれなかったの?
かずえもマリーも引退した後だろ、一体誰が天子の優勝を阻んだのだろうか。
ライバルとして覚醒し、かずえの跡を継いだ花ぽんあたり?

食べるの大好き大島1年生と共に、結日高校食道部の戦いはこれからだ!
稲山覚也先生の次回作にご期待ください。

てんむす 9 (少年チャンピオン・コミックス)

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