中国共産党・政府は抗日戦争勝利60周年に当たる3日、北京の人民大会堂
記念式典を開いた。胡錦濤国家主席はこの中で演説し、小泉純一郎首相の靖国
神社参拝問題について、「歴史的に恥ずべきものとされたA級戦犯の魂を呼び
戻すことは、日本政府の歴史問題に関する約束を破るものであり、日中関係
政治的基礎に背く」と強く批判した。胡主席は、現在の日中関係に関して「中
国政府は一貫して重視している」とする一方、「指摘しなければならないのは、
日本国内に日本の発動した侵略戦争の性質や罪行を否認し、軍国主義戦争を全
力で美化する一部勢力がいることだ」と非難した。 

 

日中関係の基礎とは他国の慰霊の仕方に文句をつけると言う内政干渉まで許容
されたものではない。「A級戦犯の魂を呼び戻す」など小泉首相には出来ない
芸当であり、ありえない話であろう。中国共産党日中戦争で果たした役割を
考えると、蒋介石の率いた国民党軍とは比較にならないほど小さなものであっ
たはずだ。抗日戦争勝利と高らかに謳い上げるのは、本来中国共産党の役割で
はないが、独裁政権を続けていくには救国の党であったと偽らざるを得ないこ
ともあるのであろう。それぞれのお国柄とは言え、一方的に批判をされてはあ
まり気分の良いものではない。

 

さらに軍国主義戦争を「全力」で美化する一部勢力とは、どの勢力なのか。国
内ではそのような一部勢力の姿を見ることは大変難しいことなのだが、外から
見ると侵略戦争の性質や罪行を否認する動きが見えるらしい。例えばそれは読
んでもいない歴史教科書を「良くない」と言ってみたりすることと同義ではな
いのか。敵もいないのに軍拡を続け、膨張を続ける中国人民解放軍こそ現代の
軍国主義を体現しているのではと指摘されれば、胡錦濤国家主席はどう切り返
せるか聞いてみたいものだ。