安倍晋三官房長官は22日午後の記者会見で、靖国神社とは別の無宗教の国立
戦没者追悼施設に関する調査費の06年度予算案への計上見送りを公式に表明
した。安倍氏は「小泉政権として調査費を計上することはもうない」とも明言、
来年9月までの小泉純一郎首相の自民党総裁任期中に補正予算案や予備費など
の形で調査費が計上される可能性も否定した。現政権下での追悼施設論議を事
実上、終結したものだ。安倍氏は、追悼施設のあり方として「誰もがわだかま
りなくお参りできる施設という考え方と、外国に言われて作るものではないと
いう考え方がある」と説明。調査費計上を見送った理由について、「わだかま
りなく追悼施設に行くことができるかどうか世論の動向を見守ってきたが、現
段階では世論は割れている」と述べ、世論の不一致を理由に挙げた。

 

予算を計上しないことを表明するなど余り無いことであろうが、国立追悼施設
の建設を要求する公明党に配慮した形で、事実上の終結宣言ともなったのが今
回の安倍官房長官の記者会見でもあろう。靖国神社に参拝しないことで日中関
係やそれに悪乗りする韓国との関係改善が出来るかと言えば、先の前原民主党
代表の「中国脅威論」発言が表しているように、中国にとって耳の痛いことを
言う人間がいる限り、中国と我が国との関係は改善されることはない。隣国で
あるから、内政干渉にならない程度モノを言う関係が正常であろうが、中華思
想に染まった中国が相手となると、非常に厄介なものだ。特に国立追悼施設な
るものを建設したところで、日中間の問題の一つが解決するだけに留まり、次
から次へと問題が持ち込まれてくるのは目に見えている。世論が割れているど
ころではなく、世論は国立追悼施設の建設に興味などないのが現実ではないの
か。永久的にこのような案は葬り去ったほうが我が国のためでもあろう。