自民党総裁選は、予想通り安倍晋三氏の圧勝に終わった。今日の誕生日で5
2歳。戦後最年少、初の戦後生まれの首相が誕生する。英国のブレア氏が首
相になったのは43歳、クリントン米大統領は46歳だった。それに比べれ
ば、特に若さが際だつわけではない。でも、日本の一般的な企業社会で言え
ば、若手の部長が社長に抜擢されたような、世代を一気に飛び越えた感があ
るのは間違いない。それなのに、これから新時代の政治が始まるという新鮮
さがあまりわきあがってこないのはなぜだろうか。安倍氏が前面に掲げたの
は「戦後体制からの脱却」であり、祖父である岸信介元首相譲りの憲法改正
だった。戦後生まれが戦後の歩みを否定するかのようなレトリックを駆使す
る。そのちぐはぐさに復古色がにじむからかもしれない。

 


これは21日付の朝刊に掲載された朝日新聞の社説の一部である。見出しに
は「安倍新総裁 不安いっぱいの船出」として、これでもかと新総裁の誕生
をこき下ろす姿勢には呆れてしまった。朝日新聞安倍氏のクビを獲るため
にぶち上げたNHKの番組を圧力をかけて改変させたとの報道も、自ら勝手
に幕引きを宣言し、いったいなんだったのかと言うままにうやむやにしてし
まったことがあったが、クビを獲るつもりが自ら報道機関としてやってはな
らない、説明責任の放棄をしたことで読者離れが深刻なものとなった。その
ことで逆恨みをしているわけではなかろうが、自民党総裁選では徹底的に反
安倍を貫き、新総裁に決まった後もこのような社説を書き、新鮮味がないだ
の、復古色が強いなど言いたい放題である。

 

戦後体制の全てを否定しているわけでもなかろうに、朝日が築き上げてきた
論調に反することは許さないと強がっているようにしか読めない。朝日が今
でも我が国のオピニオンリーダーなどと思っている人は少ないだろう。自分
達が望まなかった総裁が誕生してしまったからとは言え、みっともない限り
だ。思考停止も甚だしい。