UIの話。それはSONYから

XMB 2000年代はじめ


http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20040819/109255/
SONYが、情報の中心たるテレビを支配し、そして情報を制覇しようとした切り札がこのXMB。何故、このジョイスティック付きのリモコンで世界を制覇しようと考えたのか分からなかったが、いまならちょっと分かる。以前に書いた文章を転載すると、

押すと「決定」十字のスティックと、音量、チャンネルのシーソーキー。
スティックの周囲には、番組表、戻る、メモ、オプション、ホーム のボタン。中央部には、消音、テレビ電源という使用頻度の高いボタン。特に、テレビ電源は緑色で目立つようにしてある。
もちろん、折り畳み部を開けば通常のリモコンのようなスイッチが並ぶ。

で、ソニーがこのリモコンを廃止したことが、この議論の最終的な回答だと思ってる。ちなみに、このリモコン、上の記事によると末端小売価格は8000円以上するらしい。

http://d.hatena.ne.jp/REV/20151030/p2

ロータリーコマンダー 前世紀末より


これはSONYのカーオーディオにプラスできたリモコン。
ハンドルポストにネジと両面テープで固定するタイプだったかな。
目視なしで操作可能な逸品。前を見て運転し、片手でこのコマンダーに触れば、先端部が音量である。慣れれば一発で音量調整できるし、アップダウンを間違えても反対側に捻れば目的の操作ができる。これは、独立型プッシュボタンでは困難な操作だ。簡易的なシーソーボタンでも難しい。んで、基部に指を動かして捻じれば、曲の送りができる。さきっちょを前後に「曲げる」と、ディスクの交換だったかな。
http://www.sony.jp/cat/products/RM-X4S/image.html


まあ、ごちゃごちゃして格好良くないね。天国のスティーブ・ジョブズの乗るクルマは、ハンドルもなく、アクセルペダルもブレーキペダルもなく、ワイパーのレバーも、ライトのレバーも、エアコンのスライダーもなく、ただたんに、タッチパネルとホームボタンだけが付いていて、画面をスワイプしながら、天国の長く曲がりくねった道を運転していることだろう。

戦略と戦術

何回も書いているが、えー、大戦中の米軍に、M4シャーマンっていう戦車があった。背が高くて、主砲はそんなに太くも長くも無いし、装甲も厚くないし、スペック厨のドイツ戦車好きには人気の薄い戦車だった。一対一では、タイガーだのパンターだの、ドイツの猛獣には歯が立たないと言われていた。
 しかし、シャーマンの敵はドイツの戦車じゃなくてドイツの歩兵であって、ドイツの戦車は戦闘爆撃機が一方的に倒し、そしてドイツの工業生産力は四発爆撃機が倒していった。正面からの一対一なら負け無しのドイツ重戦車も、M4の数を集められると側面を抜かれたり、履帯を損傷して投棄したりと散々だったようである。
 だからといって、ドイツが生産性重視な戦車を作っても、燃料が足りないとか原材料が足りないとか、そんなオチになった気がするのでまあ。


 さて、レグザのリモコンが複雑な理由は、HDDを接続してテレビ番組を録画、再生することも一因になってる(同じレグザでも、録画非対応の機種?非対応リモコン??は、もっとシンプルである)。ジョブズなら、最初からテレビ番組はクラウドに置いておいて、録画に関する多大な操作を不要にしただろう。あと、レグザリモコンで便利なのは30秒送りのボタンだが、これは、CMスキップのために必要な機能で、「CMのある公衆放送を録画し再生する」っていうシステムに適応した、バッドノウハウ的な機能ではある。
 長くなったが、「現在での状況には、こういう多数のボタンがついた「シンプルでない」リモコンが便利だが、それは「シンプルでない」放送環境に適応しているからで、そっちを変えれば操作系もシンプルになる可能性がある、っていう話じゃないかな