大塚英志(2002)『「彼女たち」の連合赤軍-サブカルチャーと戦後民主主義-』角川文庫


「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義 (角川文庫)

「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義 (角川文庫)


連合赤軍の女性達と消費社会的なものの関係性。

総括による殺人と<かわいさ><乙女ちっく>の混在した女性たちなぜ
現れたのか。


■欲望-消費

彼女たちは、大衆としての女性たちが、「わたし」という輪郭を描き出す
手立てを「思想」ではなく「消費」に求めていく時代への過渡期にあって、
その欲望に忠実であったが故に殺されたのである。上野千鶴子は80年代
消費社会の欲望の本質が「消費による自己実現」にあったと看破するが、
その欲望を超克する思想を連合赤軍の人々は紡ぎだすことのできないま
ま自壊していったのである。
(pp.34-35)


■小物(ファンシーグッズ)の<かわいさ>と消費社会の萌芽:1970年代

これらの小物類の特徴は<かわいさ>にその第一の価値をおいたことだ。例
えばティーカップをその使いやすさという機能(使用価値)ではなく<かわい
さ>というカップに付加された記号によって売っていく、というのがファン
シー・ビジネスの思想だ。・・・いや正確にはサンリオや『りぼん』だけで
はない。昭和46(1972)年にはマクドナルドとミスタードーナッツが、そして
「まる子ちゃん」と同じ年、昭和49(1975)年にはアイスクリームのサーティー
ワンがそれぞれ日本に上陸する。いわゆるファーストフードがこぞって登場
する。・・・原宿に<マンションメーカー>が設立されDCブランドブームの
基礎がきずかれるのも実はこの時代であり、昭和49年という時代は1980年
代に狂い咲く消費文化が密かに準備され、モノから記号へ、使用価値から差
異へと消費の枠組みが変化していくきっかけとなった出来事が集中している。
(pp.202-203)

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■<かわいさ>と混在する暗さ:1970年代

ありとあらゆる少女文化が一斉に開花したこの時代は、しかし一方で昭和45
(1971)年の万国博を境に日本の高度経済成長がピークを迎え、昭和46(19
72)年のドル・ショック、昭和48(1973)年のオイル・ショック、あるいは
公害病の訴訟で国の敗訴が相次ぐなど、高度成長のツケが一気に回ってき
た時代でもあった。昭和47(1973)年の浅間山荘事件も含めて「万博」や「ア
ポロ11号」に象徴される高度成長の夢がことごとく挫折した。『終末から』
という雑誌が発行され話題を集めていたぐらい暗い世相の時代だったの
である。
(p.204)


■少女マンガによる「消費」のブリッジ:60年代-70年代-80年代

70年代半ばにおける少女まんがは、80年代消費社会の準備期間としての意
味をもっており、少女まんがは女性たちの60年代末における「ことば」によ
る自己表現の衝動を、80年代における「消費」による自己表現へとブリッジ
しているのである。山岳ベースで男たちが「ブルジョア的」と禁じた口紅を
始めとするモノや着飾ることへの欲望が、自己表現へとすりかわるのが80
年代消費社会なのである。
(pp.230-231)


連合赤軍によるあさま山荘における攻防:TVの視聴率は89.7%
(p.321)


70年代初頭→→→→→80年代
連合赤軍事件】  【「新人類」「おたく」】