つみたてNISA投資家の半数が満足という結果

1月にスタートした積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」を個人投資家の4人に1人が利用し、その半数が同制度に満足していることが、雑誌「日経マネー」の調査で見えてきた。投資歴1年未満の層では、利用率が4割近くに達する。低コスト・低リスクで20年の長期にわたって非課税で運用ができる同制度が、投資未経験者を呼び込んでいる様子がうかがえる。

日経マネーが毎年実施する「個人投資家調査」は今年で12回目。4月13-30日にインターネット上で実施し、1万3137人から回答を得た結果によると、つみたてNISAを利用していたのは3172人。若い世代の利用者が多く、20代、30代の利用率はそれぞれ約3割に達した。投資歴が浅い層ほど利用率が高い傾向で、投資歴1年未満の利用率は37.6%、1-3年未満は24.9%にのぼる。
17年に制度が拡充された個人型確定拠出年金(iDeCo)は23.7%が利用。年代では40代の利用率が最も高く(31.7%)、30代(29.8%)が続いた。投資経験でみると、投資歴1-3年未満の利用率が28%と最も高く、次いで1年未満(25%)だった。
両制度とも、利用者の半数超が制度に「満足」「非常に満足」と回答。税制優遇を受けながら資産形成ができる両制度を評価している投資家が多数派だ。

コンピューターのアルゴリズムに基づき資産運用を行う「ロボアドバイザー」は12.1%が利用。利用者の6割以上を30~40代が占めた。
ロボアドバイザーを使った資産運用は比較的低コストなうえ、ポートフォリオの構築や定期的なリバランス(再配分)の手間を省ける。仕事と子育ての両立で忙しい世代の効率的な資産形成ツールとして普及しつつある。
ただ、利用した感想については、「非常に満足」「満足」が34.2%に対し、「不満」「やや不満」が36%と拮抗している。

17年に一大ブームとなった仮想通貨に投資していたのは、20-30代の投資初心者層が中心だ。調査を実施した18年4月時点で仮想通貨に投資していたのは17.2%。そのうち運用成績が分かる人のデータをまとめたところ、ピーク時には投資元本の2-5倍程度まで資産が膨らんだ人が多かったものの、調査時点では6割が含み損を抱えていた。
仮想通貨に投資している人の属性を見ると、その半数以上が30代以下で、投資歴は1年未満(26.5%)が最も多い。金融資産は500万円未満が52.3%(回答者全体では41.1%)と過半を占めた。「今後も仮想通貨投資を続けるか」との質問には、回答者の5割近くが「今後は投資しない」とした。

調査では、リスク資産(株、投資信託、外貨、不動産など)への投資状況や運用成績も聞いた。17年の1年間で運用成績がプラス(1%以上)だった人は55.5%。そのうち4割が投資歴10年以上のベテラン投資家だった。
15-17年の3年間にわたり年間5%以上のリターンを上げた人が保有するリスク資産をみると、日本株(95.3%)が最も多く、次いで先進国株投信(22.3%)、外貨預金(17%)、国内不動産投資信託(REIT、16.8%)の順。一方、3年間にわたり運用成績がマイナス(-1%以下)の人が保有する資産で多かったのは、日本株(81.5%)のほかは外貨預金(10.9%)、外国為替証拠金(10.7%)、バランス型投信(9.5%)だった。
好調な株式相場を背景に、日本株でもうけた人も多い。17年に日本株の運用成績がプラスだった人は、55.1%と半数を超えた。日本株で10%以上のリターンを上げた人の投資スタイルをみると「新興・中小型株狙い」「高配当・株主優待狙い」がいずれも23%と最多。銘柄選びで重視することのトップは「成長性」で、17年は堅調に推移した中小型株で有望銘柄を見つけ、大きなリターンを上げた投資家が多かったことが分かる。
一方、2月の相場急落の影響もあり、18年1-3月の日本株運用成績がプラスだった人は全体の4割にとどまった。

今回の回答者には、金融資産1億円を超えた「億超え投資家」が547人(男性508人、女性39人)いた。その詳細を見ると、年代は50-60代が中心で約6割を占める。職業はリタイアして無職という人が最も多く、会社員、経営者・役員が続いた。年収は1000万円以上が約3割。現役世代は潤沢なキャッシュフローを生かして資産を増やしている人が多いことが分かる。
直近5年のリスク資産運用の成績を見ると、5年連続でプラスの人が64%にのぼった。株式投資スタイルでは、(1)高配当・優待株投資(20.1%)(2)大型優良株投資(17.4%)(3)割安株投資(15.7%)の順で、中長期の構えで投資に臨んでいる人が多い。
興味深いのが、4人に1人が積み立て投資をしていたこと。回答者全体平均(37.5%)より割合は低いが、1億円を超える資産を築いてもなお、リスクを抑えて着実に資産を増やすことを心掛けている人が一定数いることが分かる。
億超え投資家の具体的な投資術や調査結果の詳細は、6月21日発売の「日経マネー」8月号に掲載される。