ダルフール情勢：国際刑事裁判所の文書より

国際刑事裁判所（ICC）が、スーダンのバシル大統領の逮捕状を請求したのは知っていたが、ダルフール地方で実際に何が行われていたのか、何が行われているのか、ICCの陳述書や関連ニュースを読んで、その凄まじさにあらためて愕然とした。特に心が痛んだ部分を翻訳してみた。

■ The full text of the International Criminal Court statement

Genocide by causing serious mental harm to members of the target group
攻撃対象である部族のメンバーに深刻な精神的な危害を与えることによる虐殺ジェノサイド

As a result of the attacks to the villages, at least 2,700,000 people, most of them members of the target groups, have been forcibly expelled from their homes. As survivors fled the attacks, they were pursued into deserts, killed or left to die. Those who managed to reach the outskirts of bigger cities and what would become IDP camps are submitted to physical and mental harm, and generally conditions calculated to slowly bring about their destruction.
複数の村への複数回の攻撃にり、少なくとも270万人の人々（その大部分は攻撃対象である部族のメンバー）が、強制的に家を追われている。生存者たちは攻撃を逃れようとしたが、砂漠に追い詰められ、殺されたり、放置されて死んだ。比較的大きな都市の周辺や、後にIDPキャンプ（国内難民キャンプ）となった地区に何とか辿りつた人々たちも、身体的な危害や精神的な危害を受けるなど、多くが徐々に絶滅に追い込まれる状況になったことがと推察される。

(i) Thousands of women and girls belonging to the target groups were and continue to be raped in all three States of Darfur by members of the Militia/Janjaweed and Armed Forces since 2003. Girls as young as 5 years old have been raped.A third of the rapes are rapes of children.Underreporting of rape is widespread.Nonetheless, periodic reports and testimonies conclude that rape has been committed systematically and continuously for 5 years. Women and girls going to collect firewood, grass or water are repeatedly raped by Militia/Janjaweed, Armed Forces and other GoS security agents:
(i) 2003年以来、民兵組織ジャンジウィードとスーダン陸軍の兵士たちは、ダルフール地方の3州すべてで、攻撃対象である部族に属する成人女性たちや未成年の女性たちを強姦している。5歳の少女たちも強姦されており、強姦の3分の1が、子供に対する強姦である。強姦を過少に報告することが横行しているが、それでもなお、定期報告書や複数の証言により、強姦が、組織的、継続的に、5年間行われていると推断できる。成人女性たちや未成年女性たちは、焚き木拾い、野草集め、水汲みの途中で、民兵組織ジャンジャウィード、スーダン陸軍、スーダン政府(Gos)治安部隊によって強姦され続けている。

“when we see them, we run. Some of us succeed in getting away, and some are caught and taken to be raped -- gang‐raped. Maybe around 20 men rape one woman....[…] These things are normal for us here in Darfur. These things happen all the time. I have seen rapes too. It does not matter who sees them raping the women -- they don.t care. They rape women in front of their mothers and fathers”.
『やつらの姿が見えたから、私たちは逃げたんです。逃げ延びることができた者もいたけれど、何人かが捕まり連行され強姦されました。輪姦されたんです。20人くらいの男たちが1人の女を・・・[・・・]ダルフールではどこでも起きていることです。こういうことは常に起きています。私も強姦現場を見たことがあります。やつらは人目なんか気にしません。誰の目の前でも平気で女を強姦します。やつらは、父親や母親の目の前で娘たちを強姦するんです。』

Rape is an integral part of the pattern of destruction that the Government of the Sudan is inflicting upon the target groups in Darfur.As described by the ICTR in the Akayesu case, they use rape to kill the will, the spirit, and life itself.
強姦は、スーダン政府がダルフール地方で攻撃対象である部族に対して行っている絶滅行為と不可分のものである。アカイエス事件*1でITCRが言及しているように、彼らは強姦によって被害者の意思、心、そして命そのものまでも断つのである。

Particularly in view of the social stigma associated with rape and other forms of sexual violence among the Fur, Masalit and Zaghawa, these acts cause significant and irreversible harm, to individual women, but also to their communities.
フル族、マサリット族、ザグハワ族における強姦や他の形態の性暴力に伴う社会的烙印を特に考慮に入れると、これらの行為は、被害を受けた女性たち一人一人に重大で取り返しのきかない危害を与えるのみならず、それらの地域にも同様の危害を与えるものである。

(page 5)

このことを知らせてくれたAvaazの新ページ"Save Darfur: Bring Genocide to Justice" や、Avaazから届いたメールによると、情勢次第では、ザイールの国内情勢が悪化し、さらなる悲劇や惨劇が繰り返される危険性が高まっているとのこと。国際世論も一致しておらず、国連職員の批難避難まで報道されている。中国はバシル大統領への逮捕状請求に反対を表明しているが、スーダンの石油を買い、中国の武器を売るという関係が強く滲み出たものだろう。

ネジレ「愛国」がまたぞろ”支那叩き”をしそうだが、叩くより前にすることがあることぐらい考えて行動しろよ！