飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「龍ヶ嬢七々々の埋蔵金 1」感想

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金1 (ファミ通文庫)

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金1 (ファミ通文庫)


はい、面白かったです。これが大賞なのは納得。
読み応えもあったし、何より主人公の重護と『名探偵』天災のコンビが良い。

家業を継ぐのを拒んだ結果、父親に家を追い出され島流しに同然の目に遭った八真重護。彼が送られた島は『人工学園島』と呼ばれる、天才少女龍ヶ嬢七々々とその仲間たちが作り上げた場所だった。新天地に降り立ち転校先も決まっているものの、親からの仕送りは厳しく不動産屋に消極的に紹介された月の家賃5000円の激安アパートに入居するのだが…勿論、訳あり物件。アパートの部屋で彼を待ち受けていたのは、美少女地縛霊。しかもその地縛霊は龍ヶ嬢七々々と名乗り、自分を殺した犯人を捜しているという。重護が七々々の同居人となったことから、彼女が島に隠した不思議な力を持つ埋蔵金『七々々コレクション』を巡る事件に巻き込まれ、その過程で出逢った『名探偵』壱級天災という少女が首を突っ込んできて更に事態が混沌とする。

主人公の重護の性格、泣いていたと思った次の瞬間にはからっと元気になっている彼が結構好き。この作品を読み続けられるかどうかは重護の性格に惹かれるかどうかが重要なポイントだと思う。プリン大好きのニート地縛霊である七々々はその可愛らしい見た目に反して、人工学園島を創り発展させてきた天才であるものの、やはりどうしてもそれが結びつかない。が、『七々々コレクション』に関する際にふと見せる七々々の不気味さが怖い。この作品のヒロインは七々々ではなく、間違いなく天災。天然が入ってちょっと…どころかだいぶ変わっている天災は大衆の前で堂々と『名探偵』を名乗る自信を持っている。ボケ倒しの天災にツッコミを入れる重護の図式はほんと良いわ。そして天災の付き人であるダルクはメイドさん姿の良く似合う男の娘。うむ、僕はイラストの時点で見抜いていました!(ドヤ顔)今やひとつの作品にひとりの男の娘が登場する時代。今回の『七々々コレクション』を巡る事件の真相は、ある意味卑怯ではあるけれど、まあ面白い話でした。このままでは重護、親父の呪縛から逃れることはできないぞ…。

しかし出版に当たって改稿しているのは分かるが、新人賞と謳っている作品が「明らかに続きを想定した」作りになっているのはどうなんだろ。