「紅炎のアシュカ」感想
- 作者: 紫藤ケイ,Nardack
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/12/10
- メディア: 文庫
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〈あらすじ〉
「私はアシュカ。魔王アシュバルドの右手の小指の爪の先の化身だ!」
――かつてこの地上を荒らし回った《根絶者》アシュバルド。
その化身を自称する少女アシュカは、《駆神人》の少年ラティス、《小妖精の》リルと共に、街から街へと旅を続けていた。
他の化身たちと出会うために――。
人と精霊が共存する世界で、アシュカの奔放な物語が幕を開ける!
第3回『このライトノベルがすごい!』大賞受賞作家、受賞後第2作スタート!
第3回『このライトノベルがすごい!大賞』作家、三ヶ月連続刊行のラストを飾る作品。前二作のダークなイメージとは違い、イラストの華やかさもあって随分とライトな印象を受ける。中身も第一印象通りライトファンタジーではあるが、前作を思わせるダークさも合わせ持っていた。
かつて魔王と恐れられ五つの町を焼いたアシュバルドの化身が主人公。しかし正確には「魔王アシュバルドの右手の小指の爪の化身」という凄さを全く感じない部分の化身の上に、見た目は赤毛の美少女なのだから魔王らしさは一切ない。
そんな魔王の化身アシュカは、バラバラになった魔王の身体の化身たちを探し出す旅を続けている。胸にぽっかりと空いた穴…喪失感を埋めるため、本能に従い化身を探す道中、アシュカのこれまた「魔王らしさ無し」の筋の通った正義に苦労させられるのが、相棒である兄弟子のラティス。
考えなしで突き進むアシュカと、彼女を陰日向でサポートするラティスのコンビはバランスが取れていて、戦闘スタイルにもそれが現れている。
アシュカたちの前に現れた同じアシュバンドの化身は、目的は同じであるが化身を集める手段に大きな開きがある。前半のライトな展開から急変する後半の血の迸る展開。あまりの変化に一瞬キョトンとする。正直、油断してたよ。
一応の決着はつくものの、これまでの作品と違ってシリーズ化できる終わり方。化身を探し求める旅から旅へのファンタジー。ライトな語り口なのだから、もう少し展開をゆっくりにしても良かったのかな、と思いながら次の作品を期待して待ちます。