ラストサムライ(評価:★★★★)

トム・クルーズは侍を表現できるのか?
 
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※※※ 注意 ※※※
「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
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1.評価
俺的には良し。
★★★★
(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)
 
2.基本情報

 
(2003年/ワーナー/154分)
 
監督   :エドワード・ズウィック
脚本   :ジョン・ローガン
      エドワード・ズウィック
      マーシャル・ハースコヴィッツ
出演   :トム・クルーズ
      ティモシー・スポール
      渡辺謙
      真田広之
      小雪
 
明治維新直後の日本。政府は軍事力の近代化を図ろうと西洋式の戦術を取り入れることを決断。一方で前時代的な侍たちを根絶させようと企んでいた。やがて、政府と発展著しい日本市場を狙うアメリカ実業界との思惑が一致、政府軍指導のため南北戦争の英雄ネイサン・オールグレン大尉が日本にやって来る。彼はさっそく西洋式の武器の使い方などを教え始めるが、ある時、政府に反旗を翻す侍のひとり、勝元と出会った。そして、彼ら侍たちの揺るぎない信念に支えられた“サムライ魂”を感じ取った時、オールグレンは失いかけたかつての自分を思い出していく。

3.コメント
歴史物だとか時代劇だとかいうものは、昔っから結構苦手なジャンルだ。学業でも常に足を引っ張る科目だったし、大河ドラマだって幾度となく挑戦したが、未だに全話観賞し切った試しがない。歴史好きに「騙されたと思って読んでみろ」と勧められた本も、読んで「騙された!!」と思い投げ出すことしばしば。「覇王の家(司馬遼太郎)」、「三国志(吉川栄治)」クラスが駄目なんだから、これはもう向いていないと考えた方がよいのだろう。
 
その一方で、武士道には憧憬を抱くところがある。たとえそれがかつて実在した武士の実態とそぐわないものだとしても、そこには日本人として心のどこかに留めておくべきメンタリティーが潜んでいるような気がするのです。
 
そんなわけで、映画にしても時代劇というジャンルは大抵スルーされてきたのだけれども、この作品は見るからにキワモノだったので予てから気になっていたのだった。
 
 
唐突だけれども、たかだか2時間前後の時間帯で語れることなんて限られたもんだと思う。だから、個人的には映画にリアリティーだとか史実への忠実さみたいなものを求めすぎるのはいかがなものかと思っている。だって、そういう作品の多くは、そのリアリティーであるとか忠実さを追い求めるが故、僕にとって大事に思える部分、たとえばメンタリティーだとかテーマだとかいうものを些か粗末に扱う傾向にあるからね。
 
だから、この作品を酷評する人の多くが語る、「時代考証がおかしい」なんてコメントを見るにつけ、つくづく歴史が苦手で良かったものだと思う。そんなレビューを見るまで、幕末に忍者が出てきちゃいけないなんてこと、思いもよらなかったもんな。
 
さて、この作品に僕が求めていたもの、すなわち武士道はどうだったかと言えば、話の筋は少々強引なところもあったけれども、なんだかじんわりと伝わるものがあったなー。
もちろん僕は刀一本のために自分の部下たちと死亡フラグ立ちまくりの戦いを挑んだりする度胸はないけれども、それでも「自分の命より大切なもの」があるってのはすげえよな、と思うのです。
この作品では、それを守りきることができずに結局サムライさんたちはバタバタと命を落としてしまうんだけど、命をかけて守ろうとしたものの幾つかは、形を少し変えてしまったのかもしれないけれども、ちゃんと守りきることができたのかもしれないよねえ。
 
ところで、『武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり』ってのは葉隠のあまりに有名なフレーズだけれども、一度そのきちんとした意味をググっておくことをお勧めします。この言葉の意味はたぶん、「能動的に死を選択するのがエライ」でも「死ぬ可能性を常に考えておけ」でもなく、「選択肢には常に死を入れておけ」ってことなんだと思います。似て異なるよな。シビレるよな。
 

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