日本における発送電分離・電力の自由化

B4 片谷です。

昨日の全体ゼミで話した発送電分離・電力の自由化について書きたいと思います。

現在の日本では、皆さんご存じのように、発送電分離に関する議論が活発にされるようになってきています。

まず「電力の自由化」とは何かという話から始めたいと思います。

「電力の自由化」とは

これまで一般電気事業者と呼ばれている東京電力などの電力会社が独占していた電力供給に関して、既存の電力会社以外でも自由に売買できるようにしてきた規制緩和の動き。

いろいろと規制緩和はされてきているものの、未だ東京電力などの電力会社が電力供給において独占的な立場にいる理由にはいろいろとからくりがある。

まず規制が緩和されている分類に問題があると考えられる。

一つは電圧である。

電圧には7000Vを超える特別高圧、7000V〜交流では600Vまでの高電圧、わたしたちが家庭で使っている100Vを含めた低圧がある。

自由化されているのは特別高圧と高圧のみである。

また電力量も制限されており、当初2000kW以上の需要者のみからは大幅に緩和されたものの、依然50kW以上の需要家に対する売買のみと決められている。


「送電」は自由ではない。

電力系統と呼ばれるものがある、これは発電・送電・配電のシステムの総称である。

発電と配電については規制が緩和されており、東京電力だけではなくさまざま企業が風力発電などによって電力を発電できるようになってきており、電力を売買できるようにもなってきてはいる。

しかし送電については自由ではなく、電力会社が送電網を独占している状態である。

無論、電力を売買するには送電網を使用する必要があるので、電力会社に送電網を使わせてもらわなくてはならない。

ここでいろいろと制約が出てくる。

1つは30分同時同量と呼ばれているものである。

これは30分ごとに需要と供給の量を一致させなければならないという決まりである。


(出典:環境市場新聞http://econews.jp/electric/cat9/post_21.php)

発電量が不足した場合には電力会社から不足分を買い取ったとみなされてしまう。

2つ目は託送料金と呼ばれる、送電網を使用するために電力会社に払わなくてはならない料金があげられる。


(出典:東京電力http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/provide/engineering/wsc/ryoukin-j.html)

上図を見てもらうとわかるように、基本料金と電力量料金があることがわかる。

基本料金は月額のものであるので、もし1000kWの風力を持っており、特別高圧で電力を売買したいと思ったら毎月393,750円(!)払わなくてはならないことになる。

東京電力管内の高圧、特別高圧の詳しい電気料金はわからなかったが、9円〜14円/kWhだと考えられる。

このことから託送料金がいかに重いものかわかると思う。


この先送電網はどうなるのだろうか。

東京電力が民営化され、発電部門や送電部門ごとに民間会社ができるのか。

国が責任を持って送電網を管理するのか。

スマートグリッドの動きが活発になり、新たな送電網が構築されていくのか。

片谷鉄平