- これも小西康陽「マーシャル・マクルーハン広告代理店。ディスクガイド200枚。小西康陽」からのチョイス。「高校3年生のときに聴き、大学に入ったらこんなバンドを作ろう、と思った。この年齢になっても、こんどバンドを組むなら、と考える。現代の若いリスナーにも、この作品はいまだ力を持つのだろうか。就職なんかしないで生きよう、と思わせる説得力を」という、音楽内容はよく分からないけれども最上級にエモーショナルな紹介文には抗いきれませんでした。
- ザ・バンド風からアイズレー・ブラザーズっぽいものからミーターズ的なものからザ・バーズのような感じのものからとにかく多彩。1969年発売(録音は1968年)ですが、時代の割りには洗練されていて、スティーリー・ダンの先取りというかAORのさきがけというか。
- 「だがアルバムを聴けば、このバンドはやはりピーター・ゴールウェイというシンガー・ソングライターのものだった、ということは誰にでも理解できる。この若さでよくこれほど水準の高い曲を用意出来たものだ、と、何度繰り返し聴いても驚く」とのことですが、確かに、ギターのバッキングが格好良い「カラミティー・ジェーン」やファンキーな「コックアイド・シェイム」と、気に入った曲は結果的にピーター・ゴールウェイによるものが多いです(11曲中7曲も書いていれば当たり前ですが)。
- 何といっても冒頭「ファースト・フレイト」が最高です。こういうカントリー・ロック基調のアルバムなのかと勘違いし、最初に通して聴いた時には軽く失望したほど。
- 「カラミティー」という単語はフランク・ミラー「300」にも出てきましたが、曲のタイトルになっているのは「カラミティー・ジェーン」という愛称の実在の人物(本名マーサ・ジェーン・カナリー)で、アメリカ西部開拓時代の女性ガンマンにしてプロの斥候だそうです。
- ロウアー・マンハッタンのレストラン、デルモニコの前で撮影したジャケットも雰囲気があって最高。かつては5番街にも支店があったようですが、何らかの含意があるのでしょうか。
- 英語版ウィキペディアにはフィフス・アヴェニュー・バンドの記事がないのですが、なぜかドイツ語版にはちゃんとあります。ドイツ国内でソフトロックのムーヴメントでもある/あったのでしょうか。