『THE有頂天ホテル (2006)』

 
 あの宣伝量には
「え〜 『踊る大捜査戦』シリーズみたいな出来なのかなぁ… 」
 っと心配したものですが、流石に三谷幸喜作品でありますから、あんなクズと比べた事自体を恥じたくなりましたな… いやぁ、素直に面白かったですよ。
 確かに脚本の出来という点では『ラヂオのじかん』の方がよく出来ているとは思いますし、物語の核・柱となる役者(とその見せ方)という点では『みんなのいえ』ってなるんでしょうけどね… でも、三谷監督が… 舞台もTVも知っている彼があえて『映画』でやりたい事、ってのを考えれば今回の作品が三谷監督作品の映画としての現時点でのベストなんではないんでしょうか?
 貧乏臭くなく、ウェルメイドではなく、無理から笑わさせようとするのでもなくテンションの高さで誤魔化すのでもなく… 非常に昔のアメリカの喜劇が好きなのがよく伝わってきますし、そういうのがお好きな方には非常に心地良い時間を得られる映画なんじゃぁないんでしょうか? 特に役者の配役と配分が非常に巧くて、実はストリーそのものよりそういう映画の作りに私、喜んでましたから。
 そりゃまぁ欲を言えばキリが無いもので
「出来ればゲームの『街』のように、20人の主役が全どこかで絡むエピソードがあればなぁ… 」
 って思ったのも事実ですよ。
しかし、出来たであろうけれども、それをする事での無理やテンポが悪くなったであろう事を思えば、ね… って事で、私はこの作品、とても楽しかったですよ〜
 
 イチオシは津川雅彦
あの眼のあたりが覆われているにも関わらず、表情が見える演技が素晴らしい! ネットとかの評では西田敏行を褒めてる人が結構いますがそれは三谷監督好きを言いつつも『合言葉は勇気』を観ていない人と同じようなもんで彼の出演作を観て無いだけですな。あれくらいは彼なら出来て当然でしょぅ…