仕事に使えるのかiPad

ipadはどうひいき目に見たって移動中の使用は相当に無理があるサイズで、だからまるで興味がなかった。そもそも私は、移動中でも必要なのはテキスト入力機器、出先で必要なのはネットワーク接続が可能な機器だと切り分けて考えており、常時携帯するのはポメラ、日帰り含めて出張や旅行の時にはEee-PCをかばんに入れておくという使い方で、現状とくに不満がない。……いやまあポメラのバカ辞書にはいい加減愛想が尽きかけてるとか、Eee-PCの電池の持続時間がこのところ目に見えて短くなっているとか、そういう不満はあるけどね。

とはいえipadは今の流行りもの。電子書籍市場の動向も気になるし、ともかく情報は入れとかねばなるまいと、日経ビジネスオンライン「川口部長の仕事に使うiPad」という、いかにも「一般ビジネスマン向けのipad入門」的な記事を読んでみたのだが……うーむ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20100802/215673/

第1話は、「クラウド三種の神器」の巻。「ファイルのやり取りはDropbox、ファイルの管理はGoodReader、アイデアの整理はEvernoteってわけだ」てな調子で3つの主要アプリを紹介しているのだが、こんなのがホントに三種の神器なんてご大層な物なの? というのが率直な感想だった。

Dropbox」はつまり、スタンドアロンではまるで実用にたえないことの裏返しで、しかもオンラインストレージなればこそのメリットが特に感じられない。「GoodReader」は「できて当たり前」レベルのファイル管理で、これがなぜ有償提供なのかと理解に苦しむ。「Evernote」について川口部長氏は「これなら、どこでもiPadを開いて、ササッとメモがとれる」とか言ってるが、メモを取るにはまずあのうすらでかい石板みたいなハードをかばんから引っ張り出す必要があるわけで、「どこでも」「ササッと」といくわけがない(ポメラだって、ズボンのポケットにギリギリで入るDT10が「どこでも」「ササッと」の限界で、上位機種のDT20ではたぶん無理)。

記事の狙いは「iPadという新しいデバイスを使うと、どんなことができるのか、実際に仕事に活用するにはどんな手順が必要なのかについて、川口部長と一緒に学んでいきます」とのことだが、それとは全く反対に「使い物にならないんじゃないのiPad?」という印象を受けてしまった。第2回以降でそのあたりは巻き返してくれるものと、期待して待つことにする(←おざなりなフォロー)。



余談。上に書いたような主旨の感想を(ポメラとかの脇道は抜きで)向こうのコメント欄にも投稿したのですが、スパッと無視されました。NBOが寄せられたコメントを公にしないのは今に始まったことでないし、私にはその際にバックアップとして機能するブログがあるから、さして気にしないのですが……。それにしたって、現状で公開されている唯一のコメントが「優良な記事だと思います。〜楽しみにしています」だというのは、苦笑いのレベルを通り越して呆れてしまう。アップされた8月4日にはアクセスランキング第1位の記事、5日のランキングでもベストテン入りしてるのに、コメントが一つきりのはずないでしょ。些細な批判も許さない、マンセーコメントしか公開しない方針をとったら、結果こうなったのだろう。こういうのって見透かされて、かえってバカにされるだけだと思うんだがなー。