10月07日 丸裸のおはなし        佐藤愛子 新潮文庫


丸裸のおはなし (Quality of life series―女性の本棚 (1))
丸裸のおはなし (Quality of life series―女性の本棚 (1))佐藤 愛子

大和書房 1985-10
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 読んだことなかった人です。読み始めてしばらく曽野綾子さんの本を読んでると思ってました。曽野綾子さんも読んだことないので。

 このおねえさん、素晴らしく男前です。きっと心にちんぽついてます。特に同性に対する批評眼が素晴らしいです。もちろん、ちんぽついてる異性に対しての批評眼も素晴らしいのですが。

 なんか久しぶりに基礎が出来た地力あるハードパンチャーの試合見てるような気分になりました。読み薦めてると四十過ぎて数千万の借金抱え込んでほとんどひとりでそれ返した、と言うようなことが書いてありました。

 どうりで足腰しっかりしてるわけだと。

09月30日 剣客商売           池波正太郎 新潮文庫

剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)
剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)池波 正太郎

おすすめ平均
stars最高のチャンバラ物、秋山父万歳
stars傑作シリーズの第1作
stars買い直し
stars珠玉の時代劇小説にハメられました・・・
stars“引き込まれる”小説

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あこれだなこれは間違いなく今流行っているというライトノベルなのだろうなと思った。

ライトノベルなんて読んだことないし、読んだって間違いなくこういうのがライトノベルなのだと納得しないだろうということも間違いないのだが、これはいわゆる商業属性的にライトノベル要素と言われるものを満たしまくってます。

四十歳下の娘に萌えて結婚までしてしまった父ちゃんや、ツンデレの十九歳女剣士などが出てきます。

しかもとうちゃん思い切りエロい設定なのにぜんぜんやろうとしません。

新婚初夜でEDです。

濡れ場皆無なところまできっちりライトノベルです。

しかしそれよりなにより、主人公が二十五歳にもなって童貞だということがもうそれは紛れもなくラノベアキバ系です。

つうかこれ表紙を思いっきり萌え系アニメ絵にして売れば、新規読者層が開拓できるってマジで。

09月17日 内灘夫人           五木寛之 新潮文庫

五木寛之小説全集〈第12巻〉内灘夫人 (1980年)
五木寛之小説全集〈第12巻〉内灘夫人 (1980年)五木 寛之


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灘(なだ)という字を襞(ひだ)と言う字と読み違え、てっきり官能ものかと思いました。

似てるよね。

でもまたお話の内容も最初から濡れ場でその空目を助長しやがるんだこれが。

いわゆる思想的転向をしてそれで今は市井でブルジョワチックないい生活しつつ若い男つまみ食いしちゃったりするんですけど、それがそうそう精神的に安定をもたらすことなんかないからさて奥様これからどうなるんですか? という感じのお話です。 

まあ奥様ったら自由ってすてきよね。

09月09日 或る女            有島武郎 角川文庫


或る女 (新潮文庫)
或る女 (新潮文庫)有島 武郎

おすすめ平均
stars内なる世界の恐怖
starsタクト風?な女
stars運命に翻弄される女の生涯

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アントニオ猪木さんみたいですこの女。

憎めないのです。

好き勝手やってるようでその好き勝手に愛想を尽かすわけにもいかずいつまでも気になっている、そんな存在なのです。

この好き勝手を憎みつつも退けてしまえないのはひとえにこの女に作為的な打算が、あまり見え隠れしないせいでしょう。

いやたぶんそうです。

彼女はただやりたいようにやってるだけなのです。

それがなんとなく目が離せないのです。

だから、アントニオ猪木さんと同じなのです。

まあでもこのおはなしの結末だけは猪木さんと違いますが。

08月04日 赤毛の司天台         新田次郎 中公文庫


赤毛の司天台 (中公文庫)
412201459X新田 次郎

中央公論社 1987-10
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しびれました。

自分が社会に出て得た実務的知識を話のど真ん中に織り込みながら書かれたこれらの時代小説短篇の数々に。

そうだよなあもっと多くのひとがこういう風に身体張って書いてくれれば楽しいんだけどなあ。

コンビニ店長が商品管理とかPOSシステムの知識を織り込んで書いたSF小説とか、看護婦が注射とか点滴のやり方の知識を織り込みながら書いたハードボイルドとかそんなの。

なんかまっとうな日々の仕事で得た知識やスキルをふんだんに織り込んだお話など書いて欲しいのです。

いろんな方々に。

本読んでわかったようなふりして口だけのひとが書いたお話は最近とみにうんざりなのかもしれません私は。

07月29日 レキシントンの幽霊      村上春樹 文春文庫


レキシントンの幽霊 (文春文庫)
4167502038村上 春樹

文藝春秋 1999-10
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おすすめ平均star
star淡々。
star主人公がいつもの村上さんの長編みたいじゃなくていろいろいる
starうまく説明できないけど、わかる気がする。

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短篇集。

『氷男』って確か学生のとき読んだ。十五年前以上。学校の図書館で。

それぞれの短篇の初出年を見るとそんなに近くはない。

けっこう何年も空いてたりする。

それでいておのおのの短篇がが同じような雰囲気とトーンとテーマを包み込みつつ成立している。

これは、この短篇集を編むことを意図してそれぞれの作品を別の仕事をはさみながら作っていったんだろう。

このひとのこんな風に気が長くてしつこいところは、非常に筋が通っているので気持ちがいい。

われら青春の途上にて     李恢成 講談社文庫

われら青春の途上にて・青丘の宿 (講談社文芸文庫)
われら青春の途上にて・青丘の宿 (講談社文芸文庫)李 恢成


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短編集です。いやもう全部が重いです。在日朝鮮人樺太生まれでドストエフスキーの影響を受けてるらしいです。

この作者は、なんかもう絶対ここから抜け出さないんだろうなあって感じの藝風です。

設定自体は面白いんですが、話の流れとオチが重いのです。でも、日本語の文章が非常にいいので読んでしまうわけですちゃんと。

『われら青春の途上にて』なんかこの設定のままもっと長々と書いて花登筐とか落合信彦ばりの悪漢サクセスストーリーにしたらすげえおもしろいのにとか勝手ながら思ったりしました。