E188CC

確定申告の打ち合わせに税理士を訪ねた帰り道に秋葉原に寄って、id:platycerusさんのお勧めのひとつであるオランダ製のE188CC(Philips)を買った。箱には7000円の鉛筆書きがあるが、売値のラベルは2700円。もとはそんなに高いのか? 6DJ8の仲間のくせに。

で、音だが、まだCD2枚目を聴いている段階での印象は、音にふくよかさと艶がある。音楽的でよく鳴るというか音にしっとりとした躍動感もある。これはいい球だ。弱点はわずかに低域側の中音が甘めになることと(Amperexの笛吹き童子ほどではないが)、Philips/JANのECC88と比べると、高域の抜けるような伸びがもうちょっと足りないかな。おそらくNOS管ということなので、いい方向に変化することに期待。しかし、いまのままでも、音楽的という言葉がすっと出てくる印象なのでポイントはひじょうに高い。これは、店に残っていた2本も買っておいて損はないかもしれない。
実装したときの抵抗値なんかを調べて、これまでのPhilipsのECC88と比べてみたいのだが、残念ながらそのノウハウがわからない。でも、問題はなさそうだし、音がいいからいいや。
ついでに、E188CCを含めて、きょう仕入れたものの写真

上は、工作する人ならおわかりのようにハンダ付けの際に使うHelping Hands(というんですね)。老眼の入っている俺はレンズ付きのほうを購入(0-0)。これもplatycerusさんのお勧めのじんそん真空管DACの製作をする際のIC工作用。ICチップのハンダ付けなど無謀かもしれないが、挑戦してみる気になっている。ハンダ鏝はいま使ってる55Wのものでいいんだろうかとか、先がもっと細いIC用のほうがいいんじゃないかとか、わからないことはあるので要チェックである。
このHelping Handsなるもの、税込893円で購入。ちなみに、これとまったく同じモノがヤフオクでは4〜5000円で落札されている。じつは、これを買うまでウォッチリストに入っていた(笑)。見かけた店で即購入したのはいうまでもなかろう。
そして、E188CCがのっているのは、下に書く予定の、きょうのコンサートのプログラム。

インバルが心配だ

エリアフ・インバル指揮ベルリン交響楽団によるマーラー交響曲第9番サントリーホール)を聴いてきた。最近は触手の動くコンサートが少ないのだが、これは昨年から楽しみにしていた。書きたいことはたくさんあるのだが、2,3にとどめる。まず、インバルの身体に関すること。脚がずいぶんと弱くなっているようで、指揮棒を持たず上半身だけで指揮をするようになってしまった(まだ、70歳手前なのに)。第1楽章と第4楽章のインターバルでは、指揮台の前におかれたイスに2分ほど腰をおろさなければならなかったほどだった。そのため、インバルの最大の特徴である偏執的ともいえるような細部への突っ込みがいくぶん後退する結果になっている。腕だけ指揮をしていると、本番での直感的な音楽への反応をオーケストラに伝達する手段の多くの部分がつかえなくなる。老練の手管や、(あまり意味のわからない言葉だが)巨匠風の円熟味といった方向性とは違ったスタンスを持つインバルのような指揮者の場合、こうしたことはかなりマイナスに作用する。実際、2000年のマーラーの5番や、2001年のプログラムのアンコールで演奏した「ウィーン気質」の末端肥大症的なデフォルメぎりぎりの危うい緊張感に酔った俺も、今回は、なんか見通しがよくなりすぎて、インバル流のマーラーのスコアの読み方を勉強させられているような気になることがしばしばだった。もし、インバルが意図的にそういう方向にシフトしているとすれば、ちょっとさびしい。次の火曜日に聴きに行く5番でその答えがある程度、見えてくるだろう。
あと、客の入りがひじょうによくないのはいただけない。客席の6割程度しか埋まっていなかった。これはプロモートする側の誤算だな。しかし、問題は有料入場者の数ではない。空席が多いとどうしても演奏者のモティベーションは下がってしまうから、こういった場合、招待券をバラ撒いてでもある程度、客席を埋めるのが普通だが、それをしなかったのは大きな怠慢だ。きょうの演奏も、第1楽章はあきらかにオーケストラのテンションが低かった。幸い、来ていた聴衆の反応はよく、団員が引けたあともインバルは2度ほどステージに呼び出された。つまり、本当にインバルのマーラーを聴きたい聴衆が多かったということなのだが、その数はかつてのクラシック・ブームやマーラー・ブームの比ではないのだから、そろそろサントリー神話から脱却して、もっと器の小さなホールで、演奏者と観客のインターフェースを重視することを考える時期にきているのではないか。
(追加)
あまりに気になるので、今朝、明日(9日)のメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ベルリオーズ幻想交響曲(すみだトリフォニー)のチケットも予約してしまった。明日のみのオプションとして武満の「弦楽のためのレクイエム」が前振り。…これで、来日公演曲目全曲制覇(笑)。にしても、今回の公演、とくに大きな協賛がついているわけでもないのに、価格設定が異常に低めだ。サントリーでもS=12000、トリフォニーだとS=10000。このコンビでコバケン/プラハ交響楽団と同じなんて、腑に落ちないなぁ。
(訂正)
メンデルスゾーンマーラーの5番の日でした。明日は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番《皇帝》(^^;