JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

自炊生活その後

前回、自炊(自分で電子書籍化)を始めるのを記事にしました。その後、暇があるときはひたすら自炊し続け、雑誌を含め約300冊自炊したところです(紙の枚数では5万枚程度)。まだ自炊しなければならない本が山ほどあります(汗)。
自炊システムとして、ドキュメントスキャナScanSnap ix500、裁断機Durodex200DXそしてAdobe Acrobatの組み合わせを使用しており、数百冊の蔵書を自炊するには最適といわれている構成で、結構気に入っています。ヘビーに使っていると幾つか思うところが出てきましたので、メモ代わりに記してみたいと思います。

一番の問題は裁断

まず自炊作業においてハードルとなるのは裁断です。裁断後の紙束をスキャナに放り込めばほぼ自動的にやってくれるのですから、律速となるのはやはり裁断であり、本の分解作業です。
裁断にはDurodex 200DXを使用していることもあり、そのパフォーマンスについては申し分ないのですが、綴じ部接着面ギリギリのところを裁断しようとすると失敗することが多く、これは薄い本になると顕著です。本の背から3mmくらい切り代がどうしても必要で、経験の浅い使い始めの頃は何冊か失敗しました(カッターで地味に切って対処しました)。
だいたい200冊くらい裁断した時点で刃の切れ味が悪くなり、急に使いにくくなりました。つまり、刃がなまってくると、裁断するのに強い力が必要になりました。また、切り代に十分な余裕がないと、本の厚さに対して垂直に切ることができなくなります。これは刃を本の厚さ方向に貫入する際に、本が滑って動いてしまうためです。接着剤が少ない平綴じの本では、この現象が顕著になり、切り残しができるなど処置がとてもやっかいになりました。垂直に刃が入らずに、後ろのページを切り残してしまった例。

下図は切り残した背の部分です。断面方向から見ると垂直に切れていないことがわかります。

刃を研ぎなおすか交換するかで対処するしかないでしょう。

ハードカバーや厚い本では分解する必要あり

薄いハードカバーの本ではカバーごと裁断できなくもないのですが、刃を長持ちさせたいとなると分解したほうがいいと思います。背の部分と綴じ部(花切れ)がくっついて取れなかったり、本が多くなると結構面倒くさいです。さらに状態の悪い古い本では接着剤が粉状に劣化していることもあり、分解作業が億劫になってきます。
裁断機の制約上、厚さが18mm以上の本では分割(分解)する必要があり、これも面倒です。本を分割すると、上記でも説明した「裁断中に本の位置が動いてしまう」ことが多発するようで、B4サイズで800ページ以上ある厚い本は自炊代行業者に依頼する方針にしています。

スキャン時の紙送りエラー

スキャナにScanSnap ix500を使っているため、非常に快適であります。しかし、付箋、栞や栞の糸(新潮文庫に多い)が紙束に入ったままスキャンすると確実に重送エラーになるので注意しなければなりません。また、ハードカバーの見返しの部分は綴じ部よりも厚く糊がついているせいか次の紙と付着しやすくなっているためか重送してしまうことがあり、スキャン前には紙を捌いてチェックする必要があります。
古い本をしばらくスキャンしていると、ローラーの部分に紙からの塵が付着してしまい、ローラーが滑ってしまい紙を送ることができずエラーが多発するようになりました。ローラーを取り外し、水洗いしアルコールで拭き取ることで復活しました。ScanSnapはメンテナンス性が良いのもFBですね。

排紙トレイに紙束が収まらない

これは紙質によるもので、新しい文庫本でよく見られる現象でした。パターンは二通りで、一つ目は紙が若干静電気を帯びて紙同士ががくっついてしまうか紙の滑りが悪いせいか、スキャンが終わって紙が送られる際に、すでに排紙トレイにある紙を引きずって手前のほうに動いてしまう現象です。二つ目は、すでに排紙トレイにある紙の端とスキャンが終わって排紙トレイに向かう紙の端がぶつかって、トコロテンのように紙を手前にどんどん押し出してしまう現象です。排紙トレイの構造を工夫するなどして改善して欲しいところです。下図は静電気で紙同士がくっついてしまった例。こうなるとどうしようもない。

スキャン後の紙束の処置

ヤフオクなどをのぞくと裁断後の本が出品されているのを見かけます。それほど需要があるわけじゃないし、出品するのはいろいろ面倒なので、スキャン後の紙束は資源ゴミとして廃棄することにしています。うちの自治体だと本を資源ゴミに出す際には「本を紐をかけて縛っておく」という決まりになっていますが、厚手の紙袋に裁断後の紙束を放り込んで資源ゴミに出しています。今のところ文句を言われていませんので、この廃棄法でよいものと理解しています。

スキャン後のデータの管理

表紙は300dpiフルカラー、本文は300dpiのグレースケールのPDFで格納しています。OCRで文字データ化する方針がないので、この程度の解像度でも十分と感じています。逆に高解像度にしすぎるとスマホタブレットにファイルを格納するのが大変になります。
スキャン後の紙束を廃棄していることから、スキャンデータは貴重なデータとなり、外付けHDDとDVD-Rへコピーして2重にバックアップをしております。クラウドドライブへの格納も一部行っており、出先からダウンロード可能にしております。

PDFファイルビューアー

PC上でPDFファイルを読む際には、Adobe Acrobatを使っておりますが、タブレット版のAcrobat Readerでは次のページへめくる(移動する)際に「右から左へスワイプ」という動作を強いられます。この動作を右綴じの本(つまり縦書きの本)でやると非常に違和感を感じます。Acrobatには右綴じ本に対応していないのでうが、Perfect Viewerでは右綴じのオプションが存在するので便利に使えてFBです。しかし動作が遅かったり、ハングアップしやすいなどの問題があり改善が待たれます。