新型ワクチン問題は余りに切実なので、ここのところ続けてますが、読む方もそうでしょうが、書く方もブログとしては少々食傷気味です。間に息抜きの話題がないかと探していたら、格好の軽い話題が見つかりました。11/8付ロハス・メディカル「小児医療提供者は市民から直接支援受ける知恵を 鈴木・文科副大臣」より鈴木副大臣の発言を引用します。
鈴木寛・文部科学副大臣は7日、都内で開かれたシンポジウムの席上で「小児医療をやっている機関は、これまで厚生労働省に税配分を求めるロビー活動をしてきたと思うが、子供手当ての創設に伴ってお金の流れが変わるので、今後は子供を抱える家庭に対してプレゼンテーションして直接支援を求めていくということが可能になるし、そうなることを期待している」と述べた。(川口恭)
シンポジウムでどれだけ鈴木副大臣が発言したかは不明ですし、発言全体の流れがどうなっているかも不明ですが、非常に不思議と言うか不可解な発言です。小児医療の診療報酬ははっきり言って安く、開業医レベルでも内科より数を診察する必要がありますし、高度医療レベルは何をやっても赤字です。成人の診療報酬が良いとは言いませんが、小児は成人以上によろしくないというのが一致した見解です。
そのために引き上げを行ってくれるように運動はしているのですが、鈴木副大臣はそれを「子ども手当」から引っ張ってくるように構想されているようです。小児科に限らず医療機関の主たる収入は、
- 保険診療
- 自費診療
- 予防接種
- 検診
- 予防接種
- その他
予防接種も市町村によって異なりますが、最低限、DPT、MR、日本脳炎は公費です。神戸ではムンプス、水痘は自費ですが、市町村によっては公費のところもあります。ほとんどのところで自費であるのはインフルエンザぐらいでしょうか。そうそうHibや、これから販売されるという肺炎球菌ワクチンや子宮頚癌ワクチンもたぶん自費でしょうから、これを子ども手当から払ってもらうように医療機関が努力せよとの趣旨でしょうか。
しかし予防接種を自費で行なわせるために子ども手当が存在するというのも本末転倒の様な気がしてなりません。予防接種は公衆衛生的見地から、これを広く普及させる事により社会の疾病率を下げようとするのが目的で、子ども手当で「自費で接種しよう」と誘導するのではなく、出来る限り公費でカバーして接種率を高めようとするのが正道と考えます。
保険診療も、それこそ市町村によって差がありますが、かなりの年齢まで自己負担がゼロないし、低額のところは数多くあります。それと保険診療で受診するのは、あくまでも病気で困っているから受診するのであって、子ども手当が創設されたから「これでバンバン受診できる」として患者数が増えるとはチョット思えません。子ども手当が出来たからと言って、小児医療機関が病気を作り出せるわけでは無いからです。
・・・てな事を思っていたら、鈴木副大臣の本意はそうではないようです。
これからは子供手当てを受け取った市民に対するプレゼンテーションをして、パブリックサービスに対する支持を求めることが大切になる。寄付に不慣れな国民性はあるにせよ、来年でさえ一気に15万円収入が増える。
これは笑って良いのでしょうか、
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寄付に不慣れな国民性はあるにせよ
個人が寄付をする場合
個人が認定NPO法人や特定公益増進法人へ寄付をした場合、「特定寄付金」とみなされ、以下の税制優遇の対象となります。通常のNPO法人への寄付については、以下の税制優遇は受けることができません。
まずこうなっています。さらに付け加えて、
寄付金控除の対象となる、その他の特定寄付金
強引にまとめると、税制優遇の対象になるのは、
- 認定NPO法人
- 特定公益増進法人
- 国または地方公共団体への寄付金
- 指定寄付金:公益目的の団体等の行う事業のうち財務大臣が指定するものに対する寄付金
- 認定特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
- 政治活動に対する寄付金
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寄付した個人は単なる支出、寄付してもらった小児医療機関は単なる雑収入となる
寄付される方もそうで、寄付を単なる雑収入として税金に巻き上げられるのでは、寄付の活かし様が悪くなります。この辺は調べきれなかったのですが、寄付による税制優遇が発生する団体は、寄付収入に対する税制上の配慮も行なわれているはずと考えています。
それとなんですが、子ども手当には「子ども」と名が付いておりますが、手当の使用目的を厳しく制限されているものではないと思っています。つまり各家庭に於ては単なる収入です。意識として出来れば子供のために使おうと考える方は多いでしょうが、家計に組み込まれてしまうとお金に色は付きません。単なる生活費です。
せいぜい、収入として増えたので、服を買ってやろうとか、遊びに連れて行ってやろうを意識するかもしれませんが、現実には教育費の穴埋めに使ったり、医療費の補填に使ったりで「子どものために使った」で終わりの様な気がします。子ども手当を特別視して、家計の中でも別枠の特別扱いにして「子どものためだけ」に厳密に使用するご家庭は珍しいかと思います。
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来年でさえ一気に15万円収入が増える
子ども手当を受け取る家庭の多くは、小児医療機関を助けるための寄付も手当の中に含まれていると聞いたら、笑い出しそうな気がします。それであれば、子ども手当を削るなり、無くすなりして、その財源を有効に使えないかの意見も出てくると思います。各家庭に毎月支給される額は薄いですが総額は、
来年はまず1万3千円だが、それでも2兆5千億円
まあ、現在は絶対視されているマニュフェストの課題ですから、何があっても確保されるでしょう。しかし出そうな声として、小児医療機関への寄付を前提とするなら、他に考えようがあるだろうの声は出るでしょうねェ。それでも文部科学副大臣様の「ありがたい」お言葉ですから、子ども手当の支給が始まったら受付横に「樽」でも置く事を検討しておきます。