ミトコンドリアが進化を決めた

邦題はやや大げさだと思うけれど、例えば細胞の自死アポトーシス)などにミトコンドリアが深く関わっていることを示す。「真核生物において、ミトコンドリアと宿主細胞が主導権を競い合ったことからアポトーシスが進化した」(p.281)。細胞内のミトコンドリアが殖えると、エネルギー効率が上がる反面、フリーラジカル漏出による老化も起きやすくなる(鳥類はミトコンドリアが多いのにフリーラジカルの漏出が少なく、長命だ。人間も鳥のようになれればさらに寿命が伸びるか)。
ミトコンドリア遺伝子は、母から子へとのみ受け継がれ、変異がないものと思っていたが、他の遺伝子と同じように、突然変異などを起こすこともあるそうだ。現代のスリリングな生物学の一端を垣間見ることができる。
ミトコンドリアが進化を決めた