和食の隠れ家「花遊膳」  

信州八ヶ岳山麓にこんな素敵な時空があると誰が想像するだろうか。
革工房メリーマックの石原夫妻にお招きいただいたその『花遊膳』さんは
「もてなしの心」の真髄というものを改めて知らしめてくれた。



 清里に到着したのは丁度午後5時、辺りはすでに陽も落ちて気温は5℃を下回っていたが、メリーマックさんはいつものように温かいコーヒーでボクらを迎えてドライブの疲れを癒してくれる。
制作いただいた作品の確認もこの日のメイン・イベントが控えているためか気もそぞろだ。打ち合わせもソコソコに宿のチェックインと花遊膳さんに向かう。
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 石原夫妻が宿までボクらを迎えに来てくれたが、そこからの道のりはすでに暗くなった別荘地の中を曲っては進んでゆくのでドコをどう走っているのか皆目見当がつかない。ほどなく目の前に現れた楚々とした構えのお店が花遊膳さんだった。
ちょっと隠れ家テキ雰囲気もあって思わず立ち止まって来るべき愉しみの想像にときめく。
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 笑顔でお迎えしてくれたのは店主で女将の白鳥ユリ子さんだ。銀座のクラブを長きに亘って経営していた彼女がこの八ヶ岳山麓を気に入ってとうとう移住してしまったという経緯を石原氏からうかがってはいたが、実際にお会いするとその柔らかな笑顔にサスガと思わせる一流の気配を感じる。
 ビールで乾杯突入のころ合いに先ずは鴨ロースのライトスモークが運ばれる。お料理をテーブルに運びながらちょっと気の利いた会話や冗談をさりげなく…のっけから客人をもてなすエッセンスに圧倒される。
献立の選定はもとより仕込みから調理までお1人で行い、なおかつ提供と接待までこなす彼女の素養はなんと素晴らしいものであるのだろう。

ズワイ蟹のシュウマイと爪付しんじょ。
出来上がった料理そのものも申し分のない仕上がりだが、添えられているポン酢醤油に感心する。辛子醤油などではなくカニの香りと身肉の淡白な甘さを引き立てるために選ばれたこの調味料は、彼女の食に対する思いからの手造りであることにスグ気づかなければならないだろう。
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根菜や生紅葉麩の煮物には信田巻もカオをのぞかせる。
派手な演出はないがしっかりとダシの染みた一皿に箸を休める気などまったく起こらない。石原夫妻との楽しい会話と料理の素晴らしさに右往左往するボクに女将のジャブがタイミングよく効いてくる。

味噌田楽は三種の素材でコンニャク,大根,厚揚げ…柔和な味の煮物の次に八丁味噌の個性をぶつける手腕は勇気が必要だ。酒杯を持つ左手がますます忙しくなるのは、こうしたメリハリがきちんと整理されているからに他ならない。
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 お酒でちょっと冷えたオナカにナルホドと唸らせる一品が運ばれる。冒頭の写真の蕎麦だが、コレがタダモノではない旨さだった訳は忍ばせてある魚にある。

蕎麦といえばフツー動物性蛋白質を合わせるならば鶏肉、せいぜい特殊なところでサバかニシンなのだろうが、これはなんとサワラを用いてある。
柔らかな身と淡白な脂、まさに茶蕎麦の風味を生かしきる卓越した演出に脱帽なのである。そしてトッピングの白髪葱と唐辛子が泣きにトドメを刺す。

 フィニッシュは鮪のヅケ丼…飲み介のココロに抜けないクギを打ち込むこの一品は、同席した女性のハートも見事に捉える力強さも持っている。
黒米を加えたゴハンは酢飯に仕立て上げられ、それまでの料理の余韻を払拭するかのように胃に納まってゆく。
自然薯の旨みが加わったのど越しの良さは、当家の小食な奥サマにもまるで騙されたかのように完食という喜びを満喫させてくれるのだろう。
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左より石原夫妻、白鳥さん、ウチの奥サマ


落ち着いた風情を醸し出す玄関
移築したワケではなく
元々あった建築をそのまま用いている









別室には囲炉裏もある
食後のデザートはココで
時間の許す限り
こんな場所で酌み交わす酒も素晴らしいではないか

















照明は料理と会話が楽しめる限度まで落とされ
落ち着いた室内空間と
ゆったりした時間を創り上げている
また来たい…
そんな気にさせてくれる隠れ家か


白鳥ユリ子さん
気品と素晴しい笑顔
もてなしの心
料理の技
センシティブな会話
全てに長けたまさに才色兼備の女性経営者
彼女にお会いする方は
必ずその素晴らしさに
心打たれるだろう







そしてこの場所で
もう一人の彼女に会えるとは思わなかった
ダイアナ・クラール
白鳥さんが何気なくかけてくれたBGMに愕き振り返ったボク
聞けば石原氏もファンなのだという
JAZZの流れる和食のお店
なんてステキなんでしょう



























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花 遊 膳
山梨県北杜市高根町東井出155
TEL : 0551-47-6388
◎必ずご予約の上お伺い下さい。
  お昼の御弁当…¥1200
  夜のお食事は…¥3500より



今まで受けた最高のおもてなし教えてください!

革工房メリーマック(6)  

 間もなく雪の世界へ入ってゆく清里には今回が今年最後の訪問になるのだろうか。母君へのクリスマス・プレゼントをオーダーしたのは前々回の訪問、10月末のことだからまる一月で完成したワケだ。



 優雅なワインレッドに染められたバックスキンをボディーにし、クロコの型押し革をアクセントにあしらったリュックサック。
随所にポケットやスペースを配置し、見た目だけでなく実用的にも素晴らしい作品に仕上げてくれた。
非常に軽量にできているのも年配者の持ち歩くアイテムとして重要なポイントだ。
早く渡してあげたい気もするが、クリスマスはまだまだ先…母君の喜ぶ顔を思い浮かべてヨシとしようではないか。



毎年石原氏が制作するという作品
木の枝に着色や革細工を施し
命を吹き込んでゆく
かわいいのは言うまでもないが
自然に対する尊敬や愛着が表現されているようで
氏の懐の深さを感ずる













ご子息のオリジナル・ブランド「タミイラ」
前回の11月17日に訪問時にお願いしたシガレットケースも出来上がった。
ノーマルな色使いの作品もあるが、ちょっとアソビゴコロのあるこのグリーンもなかなか素敵ではないか。
あり得ないコトではあるが、万一タバコを止めるコトになったとしてもこのケースならコンパクト・デジカメやケータイのケースとしても転用できそうである。
試しにボクのケータイを入れてみたが、なかなかのフィット感が得られ
「もしかして…」
なのである。



今回お願いしたのはカメラのキャリーバッグだ。
カメラの実機を前に寸法や取扱いのしやすさを考慮して煮詰めて行く。
過去の様々な作品や経験、現在工房にある試作品とストックを基に新たな作品が検討される。
ボクのオーダーにもちょっと実験テキなテイストが盛り込まれ、またまたお楽しみなコトが増えてしまった。
教えてあげたいけど、やっぱりお披露目は完成してから…にしましょう。


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革工房 Merrimack(メリーマック)
http://www.eps4.comlink.ne.jp/~merimack/
〒407-0301
山梨県北杜市高根町清里3545-1
TEL : 0551-48-5455
定休日 : 毎週 火・水曜
E-mail : merimack@eps4.comlink.ne.jp


革工房メリーマックに関する日記↓

11月18日の日記
http://d.hatena.ne.jp/artfoods/20071118#1195351676


10月29日の日記
http://d.hatena.ne.jp/artfoods/20071029#1193626630


10/15の日記
http://d.hatena.ne.jp/artfoods/20071015#1192425522


9/3の日記
http://d.hatena.ne.jp/artfoods/20070903#1188777893


8/6の日記
http://d.hatena.ne.jp/artfoods/20070806#1186354115


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さて、ご子息の工房も紹介しよう。


革工房tamiira(タミイラ) 
バッグや財布・小物・アクセサリーなどレザーアイテムを制作
http://www.smallsealine.com/tamiira/index.html

〒120-0036
東京都足立区 千住仲町28-2
北村作業所
TEL/FAX: 03-5888-4645
営業時間 : 8:00 〜 20:00
※水金曜 :13:30 〜 20:00
休日:無し

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