『火垂るの墓』
テレビで鑑賞。
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2008/08/06
- メディア: DVD
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【ストーリー】
戦争で孤児になった兄妹が死ぬ。
【見所】
な、涙で画面が観られねぇ……
【感想】
もう観たくないと悶絶した。
でも、観たくないと思いつつ『火垂るの墓』はもう5回くらい観ているので、冒頭部分の清太の死体がでるところで、もう目頭が熱くなる。なんでかというと、バッドエンドが確定していて、バッドエンドに到る過程も解っていて、しかも、今回観てもやっぱりバッドエンドが確定しているから、ここで観ていて苦しくなる。
『かぐや姫の物語』ではかなりマイルドになっているけれども、やっぱり「理想を夢見るけれども、現実に妨げられる」系の話を描かせると、高畑勲はラース・フォン・トリアーくらいには名人だと思う。
ストーリーはもう今更語るところはないと思う。父親が出征(戦死)して、母親が焼夷弾で死んだ兄妹が、親戚に預けられたものの上手くいかず、二人だけの世界に逃避するが、結局妹を餓死させてしまい、兄も死んでしまう……という話。今更語るところもない鬱アニメで、wikiを読むと『エンパイア』誌が発表した「落ち込む映画ベスト10」の第6位にランクインしているらしい。
表面的に観れば戦争が生んだ悲劇だし、原作者の野坂昭如や高畑勲監督が語るところによれば、極限状態での人間のエゴ的なものを描いたものだというのも頷ける。反戦アニメでもあるし、現在的な見方もできるアニメというのは、様々な角度で作品を観ることができるという名作の条件にも適ったものだと思う。見終わったあとにおばさんを殺したくなる気持ちになるのは分かるけれども、やっぱり誰だって生きるのに精一杯なんだよね。そういう現実に目を背けてしまった清太の生き方も、あの時代には沢山あったことだろう。今だって、育児放棄がニュースになったりするし。
映画を観ていて思うのは、節子が不憫すぎるということに尽きる。節子は本当にヤバいね。やっぱり4才くらいの女の子が、状況も解らず死んでしまうというのは、観ていて本当に胸が締め付けられる。戦争だろうが、なんだろうが、女の子を死なせるようなことはダメだよ! ぜったいダメだよ! と思った(通り一遍でゴメン)
個人的には、『火垂るの墓』は清太が死んだ冒頭で、もう終わっている話だ。どう転んでも悲劇にしかならない話を、どんどん積み重ねられて、やっぱり悲劇で終わる映画。泣けるけれど、これで泣きたいとは思わないんだよね〜泣いてしまうけれど。そういう騙された感じを含めて、僕は高く評価している。