クリスマス未遂原稿

クリスマスの記事が書き上げられなかったので、仮置き
気が向いたら仕上げます



初体験の大家族のクリスマス
義男さんちを半日で切り上げさせてもらって、千里は午後からケーキ作り
昨夜は奥さんと年に一度の大奮発、高級フレンチレストランでクリスマスディナーだった義男さんは上機嫌
「ちゃんと作れよ」とOKをくれた


そういわれると、不安なんだけど
日常的な料理はできるけど、スポンジは高校生の頃に友達と出かけた、キッチンツールの会社が主催したお菓子作り体験教室以来
そのときはうまくできたけど、一人で全部作るのは初めて
千里、エプロンかけて作業開始

まずは下準備から
振るった薄力粉、常温に戻した卵、湯煎バター
型にバター塗って、粉をふるって、紙敷いて冷蔵庫へ
予熱は170度、と

レシピノートを確認しながら作業を進める

ハンドミキサー、あって助かった
卵をほぐし、最高速でボウルを湯に張った鍋にかけつつ泡立てる
なければ井上さんに泡立て係で出動してもらわなきゃならなかったよ
砂糖、水あめを入れて、もう少し湯せん
千里、湯せんのお湯の温度を確認し
あち!もういいのかな?
ボウルを湯せんから外して、更に冷めるまで泡立て続行


水を加えて泡立てたら、粉は半量ずつ…
ハンドミキサーでも千里疲れ気味
テーブルの上のレシピノートを再確認
溶かしバターは、1匙ずつね・・・


千里がケーキを焼いていると井上さんから聞きつけた智と優
女の子、手作りケーキと言う言葉に、乙女チックな妄想抱いてそーっとキッチンを覗き込む


千里、ボウルとゴムベラもって、楽しそうに作業中
なんか、結構手馴れてる感じ…
でも、なんか「お菓子作り」のイメージと違う…


最後にゴムベラで全体をあわせてー!
型の中心から一気に流しいれまーす!
そこにたまってた生地はふちのほうに!
千里風に元気よく、気合入れつつ進められるケーキ作りは、まるで工作でもしているみたい


表面にたっぷり霧を吹いてー
25分!
千里、オーブンをセット
さーて結果はどうでますかねー
ひと仕事終えたといった風情で両手を払う千里、キッチン入り口付近の視線に気づく
振り向いた千里は井上さんから借りた白いフリルのエプロン姿
千里がフリルを身につけた姿など見たことがない優と智、ドキドキ
か、かわいい…!
身につける人でここまで変わるとわ!
今度、メイド服フル装備が見て見てーなとか、思ってんじゃねーだろーな
智こそ、そう思ってんじゃないの?
ごちゃごちゃ言ってる二人に、千里首をかしげ
暇なら手伝う?
あ、うんうん
優、いそいそと千里の隣へ
あ、まー、そーいうなら、手伝ってやってもいーけどな
ぶつぶつ言いながらも結局キッチンに入ってくる智
いま、スポンジ焼き始めたから、あとでデコレーションの準備手伝って
何するの?
オーブン覗き込む優
シロップ作って、生クリーム泡立てて、イチゴをスライス。スポンジが冷めたらだけどね
ふーん
智は器用だから、絶対あたしより上手いと思うよ。デコレーション
んなわけあるかよ。したことねーよ、料理なんか
智、めんどくさそうに髪を掻く
ね、エプロン持ってる?
首を振る優と智
じゃあ、井上さんにあと二枚貸してもらお
え、それ着るの?
だって、他にないじゃん
え〜〜!
まじで!?
いいじゃん!初めてのクリスマスケーキ、みんなで作ろ!
千里、二人の背中をポンと叩いて、スポンジケーキの後片付けに取り掛かろうとシンクの前で腕まくり
あ、俺やる
智、洗剤のついたスポンジを手に取る
じゃあ、僕すすぎ!
優、蛇口の前に陣取る
じゃあ、あたしやることなくなっちゃったから、リビングの飾り付け手伝いに行こー
え!?
焼きあがる頃、戻ってくるから
千里、焼き上がり時間を合わせたキッチンタイマーをポケットに入れて、2人に手を振りキッチンを後にする
ちょっと待て!?
千里さん!?
千里と一緒にいたくて、後片付けを買って出たのに、本末転倒




わ〜!!
暖炉脇の階段からリビングに入った千里、思わず目を見張る
脚立に上った明と、明にオーナメントを渡している井上さん、千里を振り向きVサイン
バーカウンターの脇の、いつもは地球儀がある辺りに、大きなツリー
天辺の星の変わりに、花にまとめた幅広のゴールドのリボンをセットし、そこから行く筋もリボンを垂らすいまどきなツリーのアレンジ
色とりどりのオーナメントボールが照明を受けてキレイに光る
新造さんがこういうイベントほっとくわけがなかったんだよね〜
千里、豪華に飾られたツリーに感動




ことの起こりは一週間前の昼下がり
雨降りで仕事が休みの千里と猛がいるところに、宅配業者がやってきた
井上さんに通された宅配業者が千里の名前を呼ぶ


峯田、千里様
はい
片手を上げて返事をする千里
大蔵新造様から、荷物です
は?
12月17日、本日期日指定の荷物です。 12個口。サインをお願いします
はあ…
送り状を見ると、依頼日は4月1日
エイプリルフール、だったんじゃないの、かな?
リビングに次々と積み上げられる段ボール箱を見上げてつぶやく千里
引越し業者の間違いじゃねーのか?
猛、千里のそばまで来て手元の送り状を覗き込む
親父から!?
猛びっくり
そう
千里、増え続ける段ボール箱に辟易
最後に大きな樅ノ木が運び込まれる
以上です
きちっと頭を下げて、宅配業者の一箇聯隊、リビングを退出


送り返そうにも、送り主が死んでるんじゃ、どーしようもねーなー
猛、遠慮なくダンボールのガムテープをはがし、中を見る
なんだこりゃ
中には、色とりどりのオーナメントボール
千里が開けた箱には雪用の綿がぎっしり
親父の奴、全っ然、死ぬつもりなかったんじゃねーか
クリスマス、やる気満々だね
千里と猛、天井に届きそうなツリーを見上げる
全部、飾りなのかな?
食いもんはねーのか?
2人でがさがさダンボールを開ける
なにこれ!?
千里が開けた箱には、パッチワーク生地のサイズにカットされている、チェックや水玉、クリスマスカラーのコットンやリネンの生地が、型紙と一緒に詰め込まれている
オーナメントを手作りしろって?
千里、頭を抱える
なんだこりゃ!?
猛が開けた箱にはクッキー型。ハート、星、おうち、ひいらぎ、ゆきだるま、そり、雪の結晶、ろうそく、くつ、ツリー、ベル、流れ星、クロス、アイビー、ジンジャーマン
お菓子なんか作ったことない猛、ステンレスの型を目に当ててきょろきょろ覗いている
クッキー型だよ。
食いもんか?
クッキーを作るときの道具だよ。
すぐ、食えねーのか
猛、不満顔
そっちもオーナメントってことかー
千里、くしゃくしゃと髪をかく
食いもん、食いもん
歌いながら猛どんどんダンボールを開ける
また食いもんじゃねーのかよ
猛があけたダンボールから取り出したのは、ハンドミキサー
まさか!
びっくりした千里が猛の前にある箱を覗きこむと、ケーキ型、ボール、ゴムベラ、薄力粉、粉糖、ベーキングパウダー、キルシュワッサー
ケーキも作るのー!?
また別の箱を開けた猛
こりゃなんだ?でっけー靴下。誰が履くんだ?
1,2,3,4,5,6,7と数えて、片方足りねーぞと下唇を突き出している
クリスマスソックス…
千里、新造のあまりの用意の良さにため息
まあ、最悪、クッキーもケーキも作んなきゃいいんだし。小麦粉、腐らないから…
お!クール宅急便
猛がうきうき発泡スチロールをあけると
無塩マーガリン、なんだよ生卵?生クリーム、ベリー類は23日の到着になります?
「食えるもんひとつもねーじゃねーか」と猛おかんむり
え!?
千里、発泡スチロールを覗く
材料揃ってんじゃん!
「え〜。ケーキ作れってこと〜?」床にへたり込む千里
ケーキという言葉に反応する猛
なんだ、ちびっこ、ケーキ作れるのか
自信ないけど、友達と一緒に作ったことはあるよ
それは、食える状態に仕上がったのか?
失礼ね。すっごくおいしくできました!
ほんとかね〜。言うだけだったら、なんとでもいえるよな
猛、挑発するようにニヤニヤ笑う
その手には乗らないよー
千里、そっぽ向く
んだよ。つまんねーな
それよりさ、どうする、これ
千里、リビングに広げられたダンボールを指差す




結局、新造さんの希望だし、一回くらいは派手にやってもいいんじゃないかって風さんの判断、正しかったのかもね
明が脚立から降りてきてツリーを見上げる
めずらしく明のわくわくした表情に、千里もうれしくなる
オーナメントにはいろんな型で抜いたクッキー
井上さん、ありがとね。クッキー手伝ってくれて
いえ、別に
今日はスポンジでオーブンを使うから、昨日のうちに千里と井上さんで製作した
アイシングで色とりどり
明も、ありがとね
アイシングを手伝ってくれた明にも感謝
僕たちも手伝ったでしょ?
優が暖炉脇の階段から顔を出す
わかってるって。感謝してるよ
千里、優に親指立ててグーサイン
優、うれしそうに笑うとツリーのそばまで来て、自分が塗ったギンガムチェックのハート型のオーナメントを見る
なんか、いちいち手作りだよね
僕、洋服は好きだけど、針を持つことしたことなかったから、苦労しちゃった
綿をつめちゃえば、わかんないもんだよ
千里も自分が縫った星型のオーナメントに触れる
急ごしらえにしちゃ、いいほうでしょ
うん
明、優、千里、ツリーを見上げて笑う
井上さんも満足気


おい!そろそろスポンジ焼けるって呼びに言ったんじゃねーのかよ
不機嫌そうな智の声がリビングに響く
あ!
優、思わず口元を覆う
ちょうどその時、千里のポケットのキッチンタイマーもピピピと鳴り始めた
うまく出来たかな?
ポケットからタイマーを出してスイッチ切る千里
千里、ちょっとドキドキ
明と優も顔を見合わせる
リビングの一同は、スポンジの様子を確認しにキッチンに大移動


いちいち手のかかる新造さん企画のクリスマス
みんなでわいわい作るのが、一番のプレゼントなのかも
それなら、大人組も早く仕事から戻ってきて、みんなでパーティーの準備をしなくちゃね
どうせだったら楽しまなきゃ


千里、新造さんの肖像画に手を振って、暖炉脇の階段を元気に上り、キッチンにかけていく




メリクリー
田辺家の玄関に声をかけて、返事がないことを確認し、そーっとネックにリボンをかけたワインボトルを置いて立ち去ろうとする男
ドロボーみたいなマネすんな!
背後から義男に声をかけられ、思わず固まる男
ドロボーじゃねーよ、サンタだよ
振り向いたのは、徹
はい、クリスマスプレゼント
義男の胸元に押し付けたのは、コンビニで買ってきた、スクリューキャップの安物ワイン
お?
いろいろ世話になったから
おお
義男、面食らう
やっぱあれ、冬は相当堪えるの?
徹、義男がかぶっている毛糸の帽子に気づく
頭髪が薄いことを揶揄された義男、眉をしかめて徹の頭をはたく
いて
千里がくれたんだ。風邪引かないようにって
俺が言ってるのと、同じことだろ?
義男、もう一発、徹の頭をはたく
ったく、お前って奴は…
徹、痛む頭をさする
ちょっと待ってろ
義男、家の中に入りすぐに戻ってくる
ほれ
徹の目の前にリボンの着いた小さな袋を差し出す義男
お、ありがたいね。クリスマスプレゼント?
千里からだ
千里?
お前にいつ会えるかわからないから、うちに預けてった
徹、無言で袋を開けると、中からは徹のイニシャル「T」のピンバッジが出てくる
お前がどこかで野垂れ死んだ時に、身元がわかるように、いつも身に着けているようにと、千里から伝言だ
口が悪りーな、相変わらず。もっと俺に優しい言葉をかけらんねーのかなー、あいつはよー
帽子にピンバッジつけながら、徹、ぶつぶつと愚痴る
お前の娘だからな
義男、無愛想に徹に言う
そのせりふを聞いた徹、苦笑いで義男を見る。
その表情に思わず義男も笑ってしまう
徹、さっさときびすを返し、歩き始める
ゆっくりしてけよ
いそがしーんだよ
一億円の借金チャラになったんなら、ちょっとは落ち着いたらどうだ
義男が徹の背中に声をかける
まだ細かい借金が残ってるから、かせがねーとな
徹、振り向かず、帽子を取ってと振る
しょうがない奴だな
義男、ため息ついて肩を落とす
それにな、もし、千里が峯田の苗字をしょって嫁に行くなら、なんか持たせてやりてーしよ
…徹!?
驚いて顔を上げる義男
まあ、その前に借金が返せたらの、話だけどよー
徹、再び帽子をかぶり
あいつによろしく言っといてくれよ。親父は借金でまだピーピー言ってるって
半身振り向いて軽い口調でそういうと、スキップしながら田辺家の庭を出て行く徹
徹の後姿を見送りながら、義男、千里が次に来たとき、この話をどこまでしてやろうかとうれしそうに思案する
サンダルを脱いで座敷に上がる義男
徹が千里のために働こうかと思っているってことは、俺がいわねーほうがいいよな
新造お得意の、サプライズって奴だ
義男、座敷に飾ってある新造の写真の前に、徹が置いていった安物ワインのボトルをの供える





あーあ
調理台に両手を付いて、千里ため息
ちゃんと、トンって落としたのにー
千里、粗熱取れたスポンジがしぼんでしまったを見てショックを受けている
スポンジはへこむもんですよー
井上さんが実物をよく見もしないで生返事
手元にはローストチキン用の丸鳥
塩・胡椒・スパイスを擦り込んでいる
優、智、明、千里と井上さんのどっちを手伝おうか思案中
肉好きな男子としてはチキンに手を貸したいところだけど、丸鳥のショッキングなルックスに腰が引けている
僕、頑張る!
普段オネエキャラと言われてる優、男らしいとこを見せなきゃとチキンのお手伝いに志願
邪魔しないでくださいよ?
うん
井上さんに釘をさされて、うなずくものの、こわごわ伸ばした指が丸鳥に触れると
うひゃあ!!
とへんな悲鳴を上げる優
つべこべ言ってないで、こうするんですよ、こう!
井上さん、優の手を荒々しく取り、スパイスを擦り込ませるスパルタぶり
うお、あぁあ、ひぃや〜
カンフースターみたいな声(悲鳴)を上げつつ、何とか作業する優の隣で、井上さん、職人のように黙々と鶏のおなかに味付けしたポテトを詰めて、爪楊枝で縫いとめている
2人の落差に笑ってしまう智と明
スポンジに落ち込んでた千里も優の剣幕に笑顔


明が千里の隣に来る
千里さん、ケーキも仕上げないと
そうだね
千里、気を取り直して腕まくり
じゃあ、智は生クリーム泡立てて。明はここの材料混ぜてレンジにかけてシロップ作ってね
はーい
千里はイチゴを薄くスライス
五人もいれば、広めのキッチンもやや窮屈
その上、優はさっきから悲鳴をひっきりなしに上げてるし
ぶつからない場所に移動して、千里、慎重にスポンジを三等分
氷水につけながら生クリームをハンドミキサーで泡立てている智に、「どお?」と声をかける
こんなもんでいいんじゃねーの?
智が千里にボールを傾けて見せる
ミキサー上げて
言われた通りにミキサー上げると、角がピンと立っている
いいかも
千里、OKサインを出す
じゃあ、明もおいで
三人揃って共同作業
まず明、刷毛でシロップ塗ってくださーい
了解
明、自分で作ったシロップをたっぷりと塗る
次は智、生クリームを塗ってくださーい
了解!
パレットナイフでクリームを丁寧に均す智
そしたらあたしがイチゴを並べまーす
お願いします!!
智と明が千里の手元を覗き込む
これ並べ終わったら智、また生クリームね。明は真ん中のスポンジにシロップ塗ってて
うん。わかった
これを繰り返すんだね
イチゴショートケーキの仕組みを知って上機嫌の智と明
千里、作業を二人に任せて、仕上げの生クリームを泡立てる。今度は七分立て
最後に千里が生クリームを流しかけて、智が回転台を回してきれいにパレットナイフで表面側面を仕上げる
やっぱり智は器用だね
千里、明、拍手
ちょっと冷蔵庫で冷やして、あとでイチゴを飾ろうね
うん
明ニコニコ
そこへ、抜け殻のようになった優がふらふらとやってくる
やっぱ、僕、男らしくなくていい〜
井上さんのスパルタが、相当こたえたんだね
明、いたわるように優を見る
よくやった
智、優の肩をポンと叩く
がんばったね
千里、手を伸ばして背の高い優の頭をポンポンと撫でる
うお!
優、パチパチと瞬き
充電完了した!
優、ガッツポーズ
恥ずかしくてうらやましいとはとてもいえない智と明が横目で見てる
その表情に気づいた千里、
2人もお疲れさん!
と、くしゃくしゃと両手で智と明の頭をいっぺんに撫でる
迷惑そうな恥ずかしそうな表情で顔をしかめる2人
と、そこに、井上さんが撫でてくれとばかりに千里の前に頭を突き出してくる
一番の功労者は、私ですから
とローテンションで自己申告
オーブンにはローストチキン、鍋にはシチュー、ボウルにはマリネ
そうだったね
千里、優、智、明、大きくうなずく
井上さん、ありがとー!!!!
4人がかりで頭を撫でる
井上さん、もみくちゃ
ちょ、ちょ、ちょっと、何するんですか!
感謝だよ感謝
い、嫌がらせとしか、思えないんですけど
それもそのはず、4人の手は撫でるからくすぐるに移行している




準備万端整って、リビングで大人組みの帰宅を待つことに


クリスマスソックスにそれぞれ用意したプレゼントを入れる
予算は1000円だったよね
そのかわり、私物出品、手作りOK
親父、プレゼントまで仕度しといてくれればいいのに
まあ、いいじゃん


ピンポーン


あ、帰ってきた
あいつらが呼び鈴鳴らすか?
そりゃそうだ
だれだろ
ドカドカと足音が近づいてくる


千里さん!メリークリスマス!
メリークリスマス!!!!!!
サンタとトナカイのコスプレをした国土と平次、そして千里親衛隊の面々
クリスマスソングを歌いながら、リビングになだれ込んでくる
国土くん!
千里、びっくり
お前ら、店は!
智も、国土と平次のコスプレにびっくり
ブリちゃんに任せて、中抜けしてきました
国土、満面の笑み
クリスマスはこのカッコで接客してるんです。
平次、トナカイの角の付いたフードを引っ張る
何しにきたの?
明、平板口調
冷たいなー。明くん
国土、苦笑い
すっごいツリーがあるって、智くんに写メもらったんで
見に来いとは言ってねーぞ
つれないなー。智くんまで
へこたれない国土、ニコニコ笑って千里の前に進む
今まで、ホームレスだから余計な荷物はいらないって、千里さん一回もプレゼント受け取ってくれなかったんです
だから、今年は千里さん、住所が定まってるから!
贈り物をしてもいいかと思いまして!
積年の思いを込めた!
われわれの気持ちを受け取ってください!
お願いします!!!!!!
親衛隊、芝居じみた口調で思いを告げると、いっせいに千里にプレゼントを差し出す
そのいきおいに面食らってしまう千里
あっという間に腕の中は贈り物でいっぱいに
何にも、おかえしがないんだけど・・・
千里さんの笑顔で十分です!
平次、断言
そうなの?
親衛隊と国土もうんうん頷く
じゃあ、
千里、こほんと咳払いして
みんな、どうもありがとう
と、はにかんだ笑顔でぺこりと頭を下げる
いつも元気な千里の照れる姿に、国土&平次&親衛隊ノックアウト
余波を食らって優と智も見とれてる


じりりりり、じりりりり


リビングの電話が鳴る
はい
1人冷静な明が応対
と、顔をしかめて受話器を耳から離すとスピーカーに切り替える


ケータイ。切ってんじゃねーぞ、国土ー!!
店番してるブリトニーから苦情の電話
ざけんじゃねーぞ!!はやくかえってこいっつーの!!
リビングに響き渡る罵声に、国土、体を震わせる
あたしだってなー、クリスマスの予定があんだよー!!
だいじょぶか?
智、心配そうに国土を見る
と、とりあえず、帰ります
国土、脱兎のごとく駆け出す
同じように青い顔して後を追う平次
親衛隊もぞろぞろと後に続く


親衛隊は客なのに、完全にブリちゃんの勢いにのまれてるな
千里と智、ネカフェのパワーバランスの妙に、顔を見合わせ苦笑い




この先、プレゼント交換など書ききれなくなっちゃったので放置してます